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行政法【目次】

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行政法は隅から隅までまとめたわけではなくて、完全に自分の頭の中の整理用。

特に記述問題ではなく択一対策。大学の授業もほとんど出ていなかったし、試験の時の論述の点数もひどいものだった。ここにはアップしきれていないのか、どうも項目が少ないように感じるけれど、もはや行政法を勉強し直そうという意欲はないので、更新はできなさそう。取消訴訟と義務付け訴訟+無効等確認訴訟を押さえておけば良いのでは。不服審査は沖縄の件でちょっと話題にはなったけれど、改正されたばかりだし、どうだろう。 

※この記事を書いた時点(2016年)以降の法改正、判例等についてはフォローしていません。それでもベースの理解には役立つと思います。

目次

(1)処分性(取消訴訟の訴訟要件 I

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(2)原告適格(取消訴訟の訴訟要件 II )

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(3)無効等確認訴訟 

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(4)義務付け訴訟 

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(5)教示制度 

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参考

 使用した教科書など。 

【国際法判例】在テヘラン米国大使館人質事件(ICJ仮保全措置命令)

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国際法判例シリーズ。この記事では、在テヘラン米国大使館人質事件のICJ仮保全措置命令についてまとめています。

【事件名】在テヘラン米国大使館人質事件

【当事国】米国 v. イラン 

【決定日】国際司法裁判所(ICJ)仮保全措置命令:1979年12月15日

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事実と経過

  • 1979年のイラン革命によりホメイニ政権が誕生し、国王(シャー)は国外脱出、米国は病気療養のために国王を受け入れ。
  • 11月4日、これに対し首都テヘランの米国大使館周辺でデモ行進していた過激派学生は、大使館内に侵入し大使館員及び米国国民を人質にとる。
  • 米国代理公使は、イラン当局に大使館員の安全確保を要請したが、救済措置はとられず。また、他の米国領事館も攻撃を受けるが、休館中であり館員は無事であった。
  • 11月29日、米国は、外交関係条約、領事関係条約、外交官等保護条約、イランとの友好条約、国連憲章を根拠にイランを相手にICJに提訴。
  • 本案の請求内容は、人質の解放、損害賠償及び実行者の処罰であり、同時に、人質の解放、大使館の明渡しを求める仮保全措置も要請。これに対し、イラン側は裁判所に出廷しなかった。

命令要旨

  • 被告の欠席により仮保全命令の指示が不可能になるわけではない。
  • 外交関係条約、領事関係条約、外交官等保護条約、イランとの友好条約は、一応(prima face)管轄権の基礎を提供している。
  • 保全措置を命令しても本案の主題を決定することにはならない(先取りすることにはならない)PCIJのホルジョウ工場事件とは異なり、本件では原告は損害賠償を最終判決で求めている。また、仮保全措置が本案と関連していても、それが権利保全を目的とする以上当然である。
  • 保全措置は一方当事者の権利のみを保全するものであってもよい。裁判所規則41条及び73条により、仮保全措置の要請は性質上一方的なものである。
  • 外交及び領事関係条約により法定化された義務は認めなければならず、国家間関係において外交使節団及び公館の不可侵は基本的な必要条件である。現在、大使館員等の生命・健康に危害がもたらされかねず、回復不可能な損害が生じる可能性が大きい。
  • 裁判所は、イランに対し、大使館の明渡し、人質の解放、米国外交領事職員に対する特権免除の付与を命じ、さらに両当事者に対し、紛争を拡大させないように命じる。

提訴後の経過

  • イラン側は出廷しなかったが、一方的に書簡を送付し見解を表明。それによると、本件人質問題は、25年以上にもわたる米国のイランの国内問題介入という「全体的な問題」の二次的な問題に過ぎず、それは国家主権にかかわる問題であって、単なる条約解釈の問題ではないと主張した。(政治的紛争理論→司法裁判には馴染まない)
  • 米国は、裁判係属中に出入国管理法違反のイラン学生の国外退去、イラン石油の購入停止、イランの在米資産の凍結などの様々な一方的措置を実施。

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(11)単位法律関係 I 自然人及び法人【国際私法】

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この記事は、単位法律関係の個別論点(各論)のうち自然人及び法人についてまとめています。大学時代のノートを元に書いていたのですが、なぜ法人が尻切れトンボになっているのは定かではありません(おそらく力尽きたか。。。)

 

自然人

  • 自然人について、法の適用に関する通則法(通則法)は、行為能力(4条)、後見開始審判等と失踪宣告(5条・6条)について規定。
  • 権利能力の準拠法は、4条ではないが、条理または同条類推適用説がある。ただし、これは、例えば相続など他の単位法律関係と密接不可分なことがあるため、それが含まれる単位法律関係の準拠法によって決定されるべきとするのが多数説

行為能力

  • 原則として、人が単独で有効な法律行為を行うことができるかという問題は、その人の本国法によって決定される(4条1項)大陸法の伝統、国籍という確認が容易な連結点で合理性あり。
  • 同条は財産的行為能力に関する法的問題に適用され、身分的行為能力及び不法行為能力については他で規定されている。ex.成年・未成年に関する規定、成年年齢、未成年者の能力補充、未成年者による瑕疵ある法律行為、営業を許可された未成年者の法律行為
  • 婚姻による成年擬制は含まれるが、婚姻による行為能力の制限に関する問題については争いあり。
取引保護の例外
  • 取引では迅速さが要求される一方で、本国法主義の原則を貫けば、調査に時間が不足し、相手方や第三者に不利益。能力制限者と取引保護の利益のバランスが必要となる。
  • このため4条2項は、行為地法によれば行為能力者となるべきときには、当該法律行為の当時すべての当事者が法を同じくする地に所在していた場合に限って、その者を行為能力者とみなす
  • 異なる法域に所在する者の間の取引は、特別の注意を払ってしかるべき。また、主観的要件(善意等)は要件としていない。
  • なお、3項に適用除外規定あり。 

第4条(人の行為能力)
1 人の行為能力は、その本国法によって定める。
2  法律行為をした者がその本国法によれば行為能力の制限を受けた者となるときであっても行為地法によれば行為能力者となるべきときは、当該法律行為の当時そのすべての当事者が法を同じくする地に在った場合に限り、当該法律行為をした者は、前項の規定にかかわらず、行為能力者とみなす。
3  前項の規定は、「親族法又は相続法の規定によるべき法律行為」及び「行為地と法を異にする地に在る不動産に関する法律行為」については、適用しない。

法人

法人については、適用される法の決定に関する国際私法上の問題と外国法人に関する各国法における特別規定がどのように適用されるかという実質法上の問題が考えられる。

国際私法上の問題

  • 通則法に明文規定なし。立法の基礎とするほど議論の蓄積がない。
  • 明治期は法人設立の問題が各国の公益と深く関わっており、法人は各国法によって初めて存在するようになり、他の国はその法人格を認めるか否かであるとされた。
  • 現在では、法人の国際的存在という問題が、私法的な問題と解され、法人の従属法という問題につき、設立準拠法主義と本拠地法主義との対立が見られるようになった。
(1)準拠法の決定
  • 法人においてはその内部関係において様々な法的問題が生じるが、これらの問題に適用される法人の準拠法は単一である必要性が高い。
  • 設立準拠法主義が通説となっているがその根拠は明らかでない。最近では、契約における当事者の選択の尊重という観点から説明されることが多い。裁判例は、設立地と本店所在地の双方に言及しており、その態度を明確にしていない。
(2)準拠法の適用
  • 法人設立要件、設立無効原因、法人の機関・種類、性質、解任、対内的職務権限、責任、社員の資格、法人と社員の関係、社員の権利義務など。
  • 設立前発起人の第三者との間でした行為の効果が法人に帰属するかについては、4条2項を類推するという説も有力。

実質法上の問題

  • 民法第35条1項は、外国法人について規定。「認許」の意味は、法人格の承認を意味していたが、法人に関する国際的法律関係を法人の準拠法選択の問題として捉える一般的見解のもとでは、内国において法人として活動することが認められることを意味する。
  • 外国会社に対する規制という国際的な強行法規の適用の問題、また、法人の従属法として選択される実質法の解釈の問題がある。
  • 外国会社に対する規制:会社法817条から827条に規定される外国会社に対する規制はわが国における取引秩序の保護などを目的とした国際的な強行法規である。従属法のいかんを問わず適用される。
  • 擬似外国会社に対する規制(省略)

民法第35条(外国法人)
1 外国法人は、国、国の行政区画及び外国会社を除き、その成立を認許しない。ただし、法律又は条約の規定により認許された外国法人は、この限りでない。
2 前項の規定により認許された外国法人は、日本において成立する同種の法人と同一の私権を有する。ただし、外国人が享有することのできない権利及び法律又は条約中に特別の規定がある権利については、この限りでない。

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(9)反致 【国際私法】

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国際私法解説シリーズ。この記事では、国際私法における反致の概念についてまとめています。

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反致の意義

  • 反致とは、法廷地の国際私法によって指定された準拠法が所属する国の国際私法が、法廷地法または第三国法を準拠法としてしている時に、その外国法の立場を考慮して、法廷地または第三国法を準拠法とすることを認めることである。
  • 国際私法の国際的不統一:国際私法は各国の立法に委ねられ、相互に内容の異なる各国の国内法として存在するため、同一の法律関係について、国ごとに指定される準拠法が異なるという事態が生じる。
  • これには、(1)同一の法律関係について、両国が自国法を準拠法として指定する場合と(2)両国の国際私法が相互に相手国法を準拠法として指定する場合が考えられる。後者の場合に反致が認められる可能性がある。

反致の種類

(1)狭義の反致

A国の国際私法によればB国法が準拠法となるが、B国の国際私法によればA国法が準拠法となる時に、A国でA国法を準拠法とする場合。

例:ある法律関係について、日本の通則法によれば米国法が準拠法となるが、米国の国際私法によれば、日本法が準拠法となる場合に日本法を準拠法とする。

(2)転致(再致)

準拠法国の国際私法が第三国法を準拠法とする場合にその法による場合。

例:ある法律関係について、日本の通則法によれば米国法が準拠法となるが、米国の国際私法によれば、フランス法が準拠法となる場合にフランス法を準拠法とする。

(3)間接反致

回り回って自国に戻ってくる場合。

例:ある法律関係について、日本の通則法によれば米国法が準拠法となるが、米国の国際私法によれば、フランス法が準拠法となる場合に、フランスの国際私法よれば日本が準拠法となる場合に、日本法を準拠法とする。

(4)二重反致

A国の国際私法によればB国法法が準拠法となるが、B国法の国際私法によればA国法が準拠法となり、かつ、B国法の国際私法に反致の規定がある場合にはその反致規定までもを考慮し、A国でB国法を準拠法とする場合。結局は、元の準拠法と同じになる。

例:ある法律関係について、日本の通則法によれば米国法が準拠法となるが、米国の国際私法によれば、日本法が準拠法となり、かつ、米国の国際私法に反致規定がある場合に米国法を準拠法とする。

反致の根拠

このような反致がなぜ認められるべきかについて、理論的根拠と実際的な根拠が考えられる。

論理的根拠

(1)総括指定説
  • 準拠法として指定される外国法には実質法規則だけでなく抵触規則(国際私法)も含まれるとする立場。
  • しかし、国際私法による準拠法選択の対象になぜ觝触規則も含まれるのか十分な根拠がない。
  • 論理的には法廷地と準拠法所属国との間で無限の循環が生じ、準拠法が決まらないという事態に陥る可能性。これに対して通説は実質法の指定とする。
(2)破棄説
  • 前提として、国際私法は各国法の適用範囲を定めることにより国家主権の発動たる立法権の範囲を確定するものと解する(国際私法=国際法説ないし主権理論)
  • そして、指定された外国の国際私法が当該法律関係についてその国の法以外を指定している場合は、それは事案に対する管轄を放棄しているということであり、それにもかかわらずその国の法を適用することは主権の侵害になるとする。
  • しかし、外国法の適用意思によるものではないし、主権の侵害にもならなとする反論。

実際的根拠

(1)狭義の反致による内国法の適用拡大
  • 内国法が適用されれば、外国法の内容の調査・解釈・適用の困難を免れ、勝手知ったる内国法を適用して裁判を行うことができ、裁判の便宜・質という観点から有益である。
  • 一方で、内外法平等の精神に反し、反致を認めることでかえって外国の国際私法を調査・解釈・適用しなければならないという煩雑さが生じてしまうとの批判。
(2)国際的判決調和
  • 同一の事案について法廷地と準拠法所属国との間で準拠法の一致がもたらされ、国際的に跛行的な法律関係の発生を防止できる可能性がある。また属人法をめぐる本国法主義と住所地法主義の対立を緩和できる。
  • しかし、準拠法所属地国の国際私法が同様に反致を認めている場合、準拠法が入れ替わったにすぎない。反致によって国際的判決調和が実現される場合があったとしてもそれは限られた国の間での話にすぎない。
  • 一般論として広く認めることは問題があるが、いかなる場合にも他国の国際私法を考慮してはならないとする理由もない。各国の国際私法は各種の法律関係の性質に最も適した準拠法を指定しようと努力していると同時に、同一の渉外的法律関係について規律が国際的に調和することも目指している。反致を認めることが合目的であるかを個別的に検討していく必要がある。

我が国における反致

通則法41条の解釈論:特徴として、第一に、「本国法によるべき場合」として、通則法が「本国法」として外国法を指定した場合にその適用を限定。ただし段階的連結による場合の本国法には例外。第二に、狭義の反致のみを認めている。

第41条

当事者の本国法によるべき場合において、その国の法に従えば日本法によるべきときは、日本法による。ただし、第25条(第26条第一項及び第27条において準用する場合を含む。)又は第32条の規定により当事者の本国法によるべき場合は、この限りでない。 

本国法によるべき場合

肯定:行為能力(4条)、婚姻の成立及び方式(24条)、嫡出・準正・養子縁組(28〜31条)、その他の親族関係(33条)、後見・相続・遺言(35条〜37条)

否定(41条但):婚姻の効力(25条)、夫婦財産制(26条第1項)、離婚(27条)、親子間の法律関係(32条の段階的連結)

(1)段階的連結と反致
  • 平成元年法例改正により追加。
  • 段階的連結の場合には、関係当事者に関する準拠法を厳選・精選しているから、その法律によるのが適当と考えられることや本国も段階的連結を採用し、最密接関係地法の指定を認めるような場合にその認定が困難となるため。
  • 例えば、同一本国法が夫の住所地として日本法に反致してくるような場合、両性平等の見地から望ましくない。
(2)選択的連結
  • 多数説は、41条は限定的に列挙しており、当然に反致すると解する。
  • 一方で、選択的連結の場合に反致を認めると、準拠法の選択肢の数が減少する恐れがあるため、それが選択的連結を採用した趣旨に反するとして一律に否定したり、実質法目的に適う限りで反致を肯定あるいは否定する立場がある。
(3)セーフガード条項

否定説は、セーフガード条項の場合の準拠法指定の趣旨が特定の国の実質法を強行的に適用するところにあることを理由に反致は認められるべきではないとする。

その国の法に従えば日本法によるべきとき

その国の法とは、外国法上の抵触規則であり、いかなる資格で指定されるかは問わない。

(1)間接反致と二重反致
  • 間接反致については、本国国際私法の転致規定まで考慮すれば、日本法を準拠法としていると解釈する余地もある。
  • 二重反致については、「その国の法」に反致規定も含めて考えれば、41条の反致が成立しないとして結果的に二重反致と同様の結果となる。
(2)隠れた反致
  • アメリカの諸州の法制において、養子縁組等の問題については、裁判管轄権に関する規則のみ存在し、準拠法決定の規則は存在しない。すなわち、裁判所は自州に裁判管轄があるかどうかについて判断し、それが認められれば、準拠法選択について考えることなく、法廷地法である自州の法をただちの適用する(管轄権アプローチ
  • すなわち、裁判管轄の有無の判断の中に、準拠法選択の問題が吸収されている。この管轄権を認める際の基準には当事者の住所が用いられているため、反致について抵触規則が存在しないとしても、国際私法全体から総合的に判断して日本法に準拠すべきものと定められていると解される場合、その成立が認められる。
  • 隠れた反致とは、このような州法が準拠法として定められた場合に、そこに当事者の住所地法主義という抵触規則が隠されているものとして、当事者の住所(ドミサイル)等が日本に存在する場合に日本法への反致を認める立場である。
  • 批判として、そもそも当事者の住所が自州になければアメリカの裁判所は事案を審理する管轄権を持たず、アメリカの目から見て住所が日本にあるからといって日本法を適用する事態は考えられないとして否定する見解がある。 

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(10)国際的な強行法規及び統一法と渉外実質法【国際私法】

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この記事では、国際的な強行法規及び統一法と渉外実質法についてまとめています。どちらも渉外法律関係を直接に規律するものであるので狭義の国際私法(抵触規則)との関係が問題となります。

 

定義 

国際的な強行法規とは、通常の強行法規よりも強行性の度合いが高い法規の中には、たとえ事案が渉外的であっても、法の適用に関する通則法(通則法)などの通常の抵触規則が指定する準拠法が別の国内法であろうともなお強行的に適用されるべきもの。

問題の所在

例えば、以下のような場合、通則法第7条により、契約の準拠法はオランダ法となり、契約の成立及び効力の問題一般についてはオランダ法が適用される。よって日本の強行法規が適用されることはないのが原則。しかしこれでは日本の禁輸措置の趣旨・目的を達成することができない。

日本企業甲は、ブラジルからコーヒー豆を輸入する契約を締結し、オランダ法を準拠法とする管轄条項を設定した。その後、日本政府はブラジルに経済制裁を実施し、同国との契約を無効とする法律を制定した。甲は当該契約の有効性を主張できるか。

国際的な強行法規の性質

  • 国際的な強行法規は、通常のそれよりも国家による公権力性を強く反映しており、外交関係や経済関係に対する国家の政策的意図を実現するためのものとなっている。
  • また、国際的な強行法規は、それを遵守することが、ある国の政治的社会的経済的構造のような公的利益を保護するためにその国にとって決定的に重要であるような強行法規であり、準拠法がいずれの国の法であろうとも自己の適用範囲に入る事案には常に適用されることを要求する。
  • このように強行法規が通常の抵触規則が指定する準拠法とは別枠で適用されることを強行法規の特別連結という。  

強行法規の特別連結の必要性

法律関係からのアプローチ(双方主義)によっては、法規の趣旨目的を考慮せずに内外法を平等に扱っていることから、強行性の度合いの高い強行法規については、例外的に法規からのアプローチ(一方主義)によることになる。

特別連結の法律構成

  • 通則法には明記されておらず、どのような規定が強行規範といえるか困難。
  • 解釈論として、法廷地である我が国の強行法規については特別連結することが可能とするのが多数説。
  • 禁輸措置等の法規は、自分が適用される範囲について、その趣旨目的から、契約準拠法のいかんを問わず、強行的に適用されることを要求していると解釈でき、これは一般的に定める通則法との関係では特別法であるから、原則優先すると考えることができる。
  • 一方で、第三国の強行法規についてこのような説明は困難。この点、「考慮」はされ、無視されるのではないとする。
  • 具体的な例として、禁輸措置や労組法7条1項(不当労働行為)が考えらえる。

統一法と渉外実質法

国際私法によって準拠法(実質法)を指定することで間接的に問題を処理するのではなく、渉外的法律関係をもっぱら規律することを目的としている実質法として、統一法渉外実質法がある。 

統一法の意義

  • 統一法とは、内国の実質法(私法や民事手続法)を国際的に統一することを目的とする条約を指す。ex.ウィーン売買条約
  • 国内の私法を各国で共通のものとすることができれば国際私法(抵触規則)によって準拠法を選択するという処理は必要としなくなることになる。
統一法の種類
  • 万民法型統一法:国際的な法律関係に限定して締約国の実質法の内容を統一する条約。国内問題についてはその法的効力が及ばない。
  • 世界型統一法:国内的な法律関係についても各国の法を統一する条約。
統一法と国際私法の関係
  • 統一されているのはすべての法分野ではなく取引法の一部であり、また、締約国も限られていることを考えれば、依然として国際私法は必要。国際私法と統一法の関係では、統一法条約がどのように考えているかによる。
  • 直ちに統一法を適用すべきか、それとも国際私法により準拠法を選択し、そのように指定された準拠法が締約国法である場合には条約を適用する、とすべきかについては、条約は法律たる通常の国際私法に優位する。

国内法による渉外実質法

渉外実質法とは、国際的な法律関係の規律を目的として特別に規定されたものであって、かつ、規律内容を直接・具体的に規定している国内法。ex.国際会場物品運送法

通常の抵触規則との関係
  • 外人法:内国における外国人の私法上の地位、権利享有を定める法規範のことであり、外国人土地法や民法2条がこれにあたる。
  • この外国人を直接規律する外人法と抵触規則のどちらが優先するかにつき、通説では、抵触規則により内国法が準拠法として指定されて初めて外人法が適用されるとする。

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