Dancing in the Rain

Life is not about waiting for the storm to pass but about learning how to dance in the Rain.

統治行為論ないし「政治問題の法理」

昔まとめたものが今活きてきそうなので自分の中での整理のため久々にアップ。

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◯意義:直接国家統治の基本に関する高度に政治性のある国家行為については、法律上の争訟として裁判所による法律的な判断が理論的には可能であっても、その高度の政治性ゆえに司法審査の対象から除外されるべきとする理論。

判例
 ①砂川事件判決最大判昭和34・12・16刑集13巻13号3225頁)

(事案)Yらは、米軍飛行場の拡張計画への反対運動の際、境界柵を破壊して飛行場内に入ったため、この行為が、刑事特別法2条違反(正当な理由なく米軍施設に立ち入る罪)として問われた。第一審の東京地裁判決は日米安保条約憲法違反としたうえで、被告人を無罪としたが、検察側は最高裁に跳躍上告した。

(判旨) 破棄差戻し。
「本件安全保障条約は、主権国としてのわが国の存立の基礎に極めて重大な関係を持つ高度の政治性を有するものというべきであって、その内容が違憲なりや否やの法的判断は、その条約を締結した内閣及びこれを承認した国会の高度の政治的ないし自由裁量的判断と表裏をなす点が少なくない。…従って、一見極めて明白に違憲無効であると認められない限りは、裁判所の司法審査権の審査外であって…」

 ②苫米地事件上告審最大判昭和35・6・8民集14巻7号1206頁)

(事案) 吉田内閣が1952年(昭和27)年8月28日に行ったいわゆる「抜き打ち解散」に関し、衆議院議員であったXは、本件解散によって議員としての地位を失った結果、歳費を受けられなくなったため、任期満了までの歳費の支払いを求めた。第一審は、Xの請求を認容したが第二審は、請求を棄却したので、Xが上告した。

(判旨) 上告棄却。
「直接国家統治の基本に関する高度に政治性のある国家行為のごときはたとえそれが法律上の争訟となり、これに対する有効無効の判断が法律上可能である場合であっても、かかる国家行為は裁判所の審査権の外にあり、その判断は主権者たる国民に対して政治的責任を負うところの政府、国会等の政治部門の判断に委され、最終的には国民の政治判断に委ねられているものと解すべきである」「司法権に対する制約は、結局、三権分立の原理に由来し、当該国家行為の高度の政治性、裁判所の司法機関としての性格、裁判に必然的に随伴する手続上の制約等にかんがみ、特定の明文による限定はないけれども、司法権憲法上の本質的に内在する制約と理解すべきである。」

 ☆砂川事件判決では、政治的裁量論と統治行為論を合わせた理論を展開。(ただし合憲判断を行っている)
 ☆苫米地事件判決では、純粋な統治行為論を採用したと言える。論拠としては内在的制約説を採る(後述)

【学説】
 (Ⅰ)自制説
  統治行為は重大な政治問題であり、司法審査を行うことによる混乱が生じて収拾がつかなくなる恐れがあるため、そのような混乱を回避するために、政策的観点から裁判所が判断を控えるべきであるとする説。
 (Ⅱ)内在的制約説(判例
  三権分立下の司法権の本質に内在する制約であるとする説。すなわち、政治的に無責任な(民主的正統性の乏しい)裁判所は高度に政治性を帯びた国家行為を審査するべきではなく、国民の意思を尊重し、政治部門に判断を委ねるべきであるとする。
 (Ⅲ)折衷説(芦部) 

統治行為論に対する批判
 裁判所は「統治行為論」の術語を用いたわけではない。そもそも統治行為論とは、行政裁判制度を前提とするフランスの理論であって、一元的な裁判制度をとる日本国憲法とは相容れるものではない。

 また、統治行為を認めるとしても、裁判所による司法審査を制限するものであるから、その概念と範囲を厳しく制限すべきである。

 統治行為は憲法の明文上の根拠もなく、内容も不明確な概念であるから、機関の自律権・自由裁量論で説明できるものは除外されるべきである。

 (上記2判例を対比して)純粋な国内的問題であるにもかかわらず司法裁判権は及ばず、対外的・国際的問題についてはそれが及ぶという一種のアンバランスが生じている(大石)

 ※なお、統治行為論を言及した最高裁判例は少ない。議員定数不均衡訴訟では、被告国側は援用するも、採用されていない。下級裁判所においては、主に自衛隊の合憲性につき統治行為論が採用された。(長沼ナイキ事件、百里基地訴訟等)

◯団体の内部事項に関する行為
 地方議会、大学などの内部紛争に関して、法律上の係争であれば司法審査に服するという原則の例外を認め、純粋に内部事項の場合には、事柄の性質上、それぞれの団体の自治を尊重して、司法審査を控えるべき場合がある。

 ☆部分社会論
 ここでは部分社会論という考え方が援用されている。これは大学であれば大学内での法規範、協会であれば協会内での法規範、というように多様なコミュニティーの中に各々ある自律的な法規範の存在を認め、法秩序の多元性を認める考え方である。このような考え方のもとでは各コミュニティー内での自律な法規範による組織と運営が尊重される。
 
(Ⅰ)地方議会
   村議会出席停止事件(最大判昭和35・10・19)において、「自律的な法規範をもつ社会ないし団体に在っては、当該法規の実現を内部規律の問題として自治的措置に任せ、必ずしも、裁判にまつを適当としないものがある」とし、本件懲罰はそれにあたるとした。その一方で、議員の除名処分は単なる内部規律の問題にとどまらない(=市民法秩序につながる)ため司法審査が及ぶとしている(最大判昭和35.10.19)

(Ⅱ)大学
   国立大学の単位認定が争われた富山大学事件(最判昭和52.3.15)で最高裁は、大学は「一般市民社会とは異なる特殊な部分社会を形成している」とし、「単位授与行為は、他にそれが一般市民法秩序と直接の関係を有するものであることを肯認するに足りる特段の事情がない限り、純然たる大学内部の問題として大学の自主的・自律的な判断に委ねられるべき」とした。また、同時に学生が専攻科修了の要件を充足したにもかかわらず、大学がその認定をしないときは司法審査の対象になるとしている。
(Ⅲ)政党
   党員の除名処分の効力が争われた共産党袴田事件最判昭和63・12・20)において最高裁は、政党が結社の自由に基づき任意に結成される政治団体であり、かつ、議会民主主義を支える極めて重要な存在であるから「高度の自主性と自律性を与えて自主的に組織運営をなしうる自由を保障しなければならない」としたうえで除名処分も自律的な解決に委ねるのが相当とした。

※なお、「憲法講義Ⅰ」(大石)では、団体の内部問題について「司法権の限界」として位置付けるのではなく、「法律上の争訟」の成否の問題として考えるべきだとしている。

 

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リギタン島・シパダン島に対する主権事件

インドネシア vs マレーシア 

国際司法裁判所 2002年12月17日

<事実>
 マレーシアは、無人島だったボルネオ島北東のリギタン島シパダン島に観光施設を建設し、自国領として主張。
 インドネシアは、英蘭条約(1891年)4条を根拠に領有権を主張。同条によると、ボルネオ島内の蘭領と英保護領の境界線は、東岸北緯4度10分の地点からスバチク島を横切り同緯度に沿って東方に続くものとされたが、インドネシアは、当該境界線がスバチク島東岸にとどまらず、さらに東方の2島まで続き、同緯度より南の2島はボルネオ島の付属として自国に帰属するとした。
 マレーシアは、2島に対する主権は、スル王からスペイン、アメリカ、イギリス、自国へと承継されてきたと主張。また選択的に、もし2島がオランダ領であったとされた場合でも実効的支配によって権原が自国に移ったとした。また英蘭条約4条の「スバチク島を横切りacross」とは、同島西岸から東岸で終わるという意味であり、その東方にある2島は含まれないとした。
 両国は国際司法裁判所の管轄権を受諾していなかったため、2島の主権の所在を裁判者に付託する協定を1996年に締結。

<判決要旨>

(1)1891年の英蘭条約4条は2島に対する主権を確定する領土分割線を定めたものか。
 ①条約法条約第31条及び第32条は国際慣習法を反映。よって条約法条約の当事者でないインドネシアにも適用可能
 ②同条約第4条の「横切りacross」という文言からは、境界線がスバチク島東岸で終わるのか、そこから東方まで続くとも明らかでない。曖昧ないでない規定も可能であったのにそうしていないのはマレーシアに有利である。よって条文(text)の解釈では決定できない。
 ③同法批准のためにオランダ議会に提出された法案付属の地図は、2島について触れていない。また、英国に伝達されておらず、反応もなかったため黙認されたとも言えない。よって同地図は条約法条約31条2項の関係合意でも関係文書でもない。
 ④「趣旨及び目的(object and purpoe)」について、同条約の前文は「ボルネオ島内(in)」という文言から同島より東方についてまで定める目的を持つものではない。

 したがって、英蘭条約4条は2島に対する主権を確定する領土分割線を定めたものではない。

(2)マレーシアに権原承継はあるか

 ①1878年にスル王からスペインに譲渡した島に2島の名前はない。
 ②1900年米西条約で、スペインがアメリカに譲渡した島にも2島の名前はない。
 ③1930年英米条約で、アメリカは2島への主権を主張しておらず、それがイギリスに譲渡されたとは明言できない。
 したがって、イギリスから独立したマレーシアによる権原承継の主張は認められない。

(3)条約上の権原がない場合、実効的支配(effectivites) はあるか

⒈考慮すべき要素
 ①実効的支配に基づく主権の主張は、主権者として行動する意図と意思(intention and will)及び主権の行使(actual ecsercise)が必要である。
 ②人口の希薄な地域(thinly populated or unsettled countries)については、他国が優越する主権を主張していない限り主権の行使はわずかで良い(PCIJ 東部グリーンランド事件判決)
 ③決定的期日(両国が権利を主張し始めた1969年)以前の行為が考察されるが、それ以降の行為であっても、以前から続く行為であり、自己の法的立場(legal position)を有利にするため取られたものでない行為は考察される。
 ④考察される行為が一般的性格の立法的・行政的行為の場合、その文言や趣旨から2島が特定される場合は、実効的支配を構成する行為といえる。

⒉具体的検討
 ①オランダ=インドネシア海軍による偵察及び漁民の活動は、2島がその主権下にあるとみなしていたとを証明しない。
 ②群島基線を定めた1960年のインドネシア法は2島に触れていない。
 ③米国が1930年条約で諸島を放棄したとき、どの国も主権を主張せず、北ボルネオ=イギリスの管理に抗議しなかった。
 ④北ボルネオは、1917年ウミガメ保護令によりシパダン島等でのウミガメ捕獲と卵の採取を許可制にし、1954年の許可の対象には2島が含まれていた。
 ⑤北ボルネオによる、1933年の土地令の鳥類保護区の対象にシパダン島が含まれていた。
 ⑥マレーシアが2島に灯台を建設した際(1960年代初頭)、インドネシアはその土地が自国領であると指摘しなかった。(ただし、通常は灯台建設は主権の行使とはみなされない cf.カタールバーレーン事件判決)

 したがって、マレーシア=イギリスによる立法的・行政的、準司法的行為(legislative, administrative and quasi-judicial acts)は相当期間( a considerable period of time)継続し、かつ、2島に主権を行使する意思が明確に示されている。よって、実効的支配を根拠に2島に対する主権はマレーシアに帰属する。

 

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(3)国際法の法源②

法の一般原則
(1)本原則の採用の意義
  ICJ規程38条①c「文明国の認めた法の一般原則」(general principles of law recognized by civilized nations)PCIJ規程を踏襲 文明国は無意味
  意義:各国の国内法(とくに私法や手続法)に共通する一般的な法原則であって国家間の関係にも適用性のあるもの 
  自然法との関係:明らかでない 起草過程からはこれに対するものとして考えられたか cf.38条2項の「衡平と善」は自然法
  例として、責任発生の諸原則、エストッペル、信義則、権利濫用、証拠能力、既判力、訴えの利益
  直接の契機は裁判不能=適用法規不在の防止
 
(2)本原則の法源上の地位
  ①法源性否定論:あくまで国内法の原則にとどまり、それが当然に国際法規範性を有するものではないので、それゆえ条約や慣習国際法に受容されることが必要とされる(トゥンキン)
 国内法の規則が国際裁判の準則になったからといってただちに国際法規範性をもつことにはならない(横田、高野)
 法の一般原則は裁判所規程という条約によって受容されたことで国際法としての効力を有するにすぎない(田畑)
  ②法源性肯定論:たしかに裁判規範と行為規範は法的には区別されるが、通常は裁判規範は同時に行為規範をなすものと認識されるはず
  →今日では国際裁判一般の裁判準則になっており、またその規範内容の実体は条約や慣習国際法とは別の淵源をなしていることから、独自の形式的法源としての地位を認めても良いのではないか(杉原)
 
Ⅲ 実質的法源
 形式的法源をなす法規の生成原因、その基礎または証拠をなすもの 
  ex.裁判例、学説、決議、宣言、未発効条約、条約採択会議の作業記録・報告書
1 国際判例
 ICJ規程38条①(d):補助的手段として「裁判上の判決」 judicial decisions =国内裁判も当然に排除されるわけではない
 実際にはICJの判例は形式的法源同様の働きがあるが、判例はなにが法であるかの補助的手段でしかなく、また規程は判決の先例拘束の原則を認めていない(59条参照)
 判例の機能:
  ①多数国の条約解釈に影響 ex.国連憲章国連経費事件等)、外交関係条約(テヘラン事件)、領事関係条約(ラグラン事件)
  ②慣習国際法の存否または内容の確定機能 ex.国際海峡における無害通航権(コルフ海峡事件)、集団的自衛権ニカラグア事件)、国家責任条文における違法性阻却事由(ガブチコボ事件)
  ③判例の法創造機能 創造的に宣言され法がのちに一般条約に受容あるいは慣習法化 ex.領海の直線基線方式と海洋法・領海条約(ノルウェー漁業事件)、留保の許容性と条約法条約(ジェノサイド条約留保事件)
 
国際法学説
 ICJ規程38条①(d):権威ある学説を補助的手段に ICJは特定の学説を直接引用しないことを慣例としている
 
3 国際機構の決議
 一般には勧告的性質を有するにすぎないが、すべての国を対象とする一般的内容の決議、とりわけ国連総会が採択する決議・宣言で普遍的な規範創設をめざすものもあり。
(1)現行条約解釈決議:友好関係原則宣言(1970)、侵略の定義に関する決議(1974) 前者につき、「本決議自体によって宣言された規則の妥当性の承認」たる意味を持つ(ニカラグア)=法明確化機能
(2)慣習国際法宣言決議:領域内庇護宣言(1967)、拷問禁止宣言(1975)、天然資源に対する永久主権決議で示された国有化の諸原則(1962)
(3)国際法生成促進決議:世界人権宣言(1948)ー国際人権規約(1966)、深海底原則宣言(1970)ー海洋法第11部(1982)
 
 ※慣習法の生成は困難:核兵器使用の合法性事件では、核兵器禁止決議が相当多数の賛成によって決議が採択されてきた事実はその使用を違法とする広範な社会的願望を示す、他方で法的確信が育まれつつあるものの、核抑止力に依然として依存する勢力が存在する事実により、その成立は阻まれるとした。
 
4 ソフトロー論
 現行の法規範を意味する「ハード・ロー」に対比される概念であって、厳密な意味での法とは言えないものの、なんらかの規範性を持つことが期待されるもの
 ex.ヘルシンキ最終議定書、環境と開発のリオ宣言、経済的分野についての行動綱領(codes of conduct)、国際法生成促進決議
  =国際法規範の相対化、国際裁判の不安定化
 
5 その他の実質的法源
 (1)衡平(equity):19世紀仲裁裁判において、裁判準則として国際法に加えて適用が求められてきた
 裁判不能の防止と厳格な実定法規適用の緩和 多義性:法に内在する衡平、法に反する衡平、法の外の衡平 ICJ規程38条の「衡平及び善」とは区別された「法の一般原則」として適用 cf.「衡平及び善」=超法規的正義は当事者の合意による
 
(2)人道的考慮(humanitarian consideration)
 領海内に敷設された機雷の存在を通報しなかったことが沿岸国の義務違反とした、コルフ海峡事件では、その義務は「人道の基本的考慮」に由来するとした。
 ジェノサイド条約適用事件では、人道的・道徳的性格を考慮して、本条約の規則が「対世的権利義務」たる性質をもつとした
 核兵器使用の合法性事件では、国際人道法は「人間の尊重と人道の基本的考慮」にとって根本的な要素を含むので、ハーグ・ジュネーブ諸条約の基本的規則は「侵すことのできない慣習国際法の原則」とした
 
(3)一方的行為(国家の一方的宣言):核実験事件のフランスの一方的宣言が多く引用、しかし特異なケースで一般化は避けなければならない
 しかし、一国の国家行為が、諸国の一般的需要を通して慣習法成立の契機になることはある
 
国際法法典化と国際立法
 法典化条約の特質:国際法委員会(ILC)による法典化作業 広範な国家実行や先例により既に存在する規則を定式化・体系化すること=現行法の成文化
漸進的発達progressive development)」:未だ国際法が規律していないかあるいは国家実行が十分でない事項について発展的に条約化をはかること=法創設的作業
  ①宣言的効果(declearatory effect)
  ②結晶効果(crystallizing effect)
  ③生成効果(generating effect)

(15)海洋法②

国際海峡
 領海12カイリ制の確立にともない、国際的航行に使用される多くの海峡は領海化されることになる一方で、海峡は海上通商の要衝として船舶の通行がとくに重視される

 伝統的国際法の下では領海化された国際海峡には「強化された無害通航権」が適用されてきたが、海洋法は新たに「通過通航権」を創設

1強化された無害通航
 通常の領海の通航に比べて強化:
  ①沿岸国はその海峡の無害通航制度を停止することはできない(45条②)沿岸国による当該海峡の閉鎖等の措置を禁止
    cf.通常の領海では、自国の安全の保護のために不可欠である場合(25条③)

  ②軍艦の通航権が認められる「平時においては国家はその通行が無害であることを条件に、公海の2つの部分を結ぶ国際航行に使用される海峡において沿岸国の事前の許可を受けることなく自国の軍艦を通行させる権利をもつ」(コルフ海峡事件)

  ③潜水艦を含む潜水船は浮上航行しなければならず、外国の航空機は海外上空の飛行権を有しない

 国際海峡の基準
  ①地理的基準=公海の2つの部分を結ぶ海峡 →領海条約で、一方が他国の領海とのあいだにある海峡も
  ②機能的基準=「国際航行」に(international navigation)に使用される海峡であること

2通過通航制度 transit passage

 第三次海洋法会議で米ソは伝統的な海峡制度に批判的 ①無害性判断の恣意性②潜水艦の潜水航行③軍用機機の上空飛行

 スペイン、モロッコ、インドネシア等海峡諸国は逆に無害通航の厳格な適用要求 英は通過通航制度を提唱
 意義:国際海峡における「継続的かつ迅速な通過の目的のための航行及び上空飛行の自由」(38条②)
 ①無害性が通行可否の直接の基準とされていない②上空飛行(軍用機含む)の自由が明記③潜水航行の可否については明示規定なし
 公海または排他的経済水域の一部分とそれらの他の部分を結ぶ海峡で国際航行に使用されるものに適用 
  それ以外には無害通航(他の国の領海との間にある海峡も含む)(45条)

3日本の海峡問題 領海法(1977)により領海を12カイリに拡大する一方、5つの海峡(宗谷津軽対馬東水道、同西水道、大隅)を3カイリに凍結 →非核三原則との関係が指摘→「自由な通航を確保することが総合的国益の観点から是非とも必要であること、‥本問題がこのような方向で国際的に解決されるのを待つのが望ましい」→海洋法条約発効後も3カイリを維持

Ⅶ 大陸棚
1制度的発展
 大陸棚が国際法上問題となったのは第二次世界大戦後のこと=大陸棚に関するアメリカのトルーマン宣言(1945年)
 同宣言は、アメリカの沿岸の大陸棚の海底と地下資源は米に属し、同国の「管轄と管理」に服するものとする
 各国は相次いで大陸棚宣言・立法、国際法委員会は不統一と混乱を収拾するため大陸棚条約の草案作成に着手

 1958年大陸棚条約 北海大陸棚事件では、同条約の1条から3条までの規定は慣習法規則を反映したものとした
 1982年国連海洋法条約第6部:大陸棚の範囲等を修正して58年の条約を踏襲

2範囲
 ①領土の自然の延長をたどる大陸棚辺縁部の外縁まで(棚状部分、大陸棚斜面、コンチネンタル・ライズを含む)
 または②領海基線から200カイリの距離までの海底(76条)
  延長幅の最大限度は、基線から350カイリの線または2500メートルの等深線から100カイリ沖の線まで
  いずれも沿岸国の判断に委ねられるが、措置は国連大陸棚限界委員会の承認を得なければならない
 ②につき、200カイリに満たない場合でも、200カイリまでの海底までの一律に沿岸国の大陸棚とする

3沿岸国の権利
 沿岸国は「大陸棚を探査し及びその天然資源を開発するため」の「主権的権利」を有する(77条①)
 オデコ会社事件(昭和57年、東京地裁):大陸棚での外国法人の活動に対する「主権の一側面たる課税権を当然に含む」
 主権的権利:大陸棚に対して沿岸国に対して沿岸国が排他的で独占的権利を有すること、またそれが、無主物でも共有物でもないことを示す概念として導入 cf.主権とは区別 大陸棚そのものに対する主権的権利ではなく機能的権利にすぎない
 

排他的経済水域

1沿革
 1970年国連総会は73年から第三次海洋法会議を開催することを決定 中南米諸国は領海外の広い沿岸海域に対する資源管轄権を主張する構想を相次いで発表

 72年、アフリカ諸国のヤウンデ宣言は、200カイリ水域の排他的経済水域を提唱 当時台頭しつつあった新国際経済秩序構想の下に、自国の天然資源に対する永久主権の観念を海に投影

 74年、国連海洋法条約第5部に取入れ 早い段階でコンセンサス 一人歩きで各国の立法措置

2法的性格

 ⑴沿岸国の権利
  ①天然資源の探査、開発、保存、管理のための、および経済的目的のその他の調査・開発活動のための「主権的権利」
  ②人工島、海洋構築物の設置、海洋の科学調査、海洋環境の保護・保全のための「管轄権」(以上56条)
  主権的権利は上部水域のみならず、海底とその地下にも及ぶが、条約は海底部分は大陸棚の規定によるとする
  資源の「最適利用」を促進する目的で各国はその「最大持続生産量」を維持しつつ自国水域内での許容漁獲可能量と自国の漁獲能力を決定するものとし、そこに余剰分が生ずる時は協定を通して他国の入漁を認めなければならない(61・62条)

 ⑵諸外国の権利
  資源に対しては沿岸国が主権的権利を有するものの、同水域の利用、船舶航行、上空飛行、海底電線及び海底パイプラインの敷設についてはすべての国に自由な使用が認められ、追跡権の行使や海賊の取り締まりなど他国の権利行使も可能(58条)

 ⑶性格
  資源の利用と管理に関するかぎり沿岸国の権限に服する海域であるが、他方、交通・通信等についてはなお従前の公海としての性格を止めている。

 ⑷大陸棚の権利との異同
 ①権利の発生原因とその性格
  大陸棚:領土の自然の延長をなすものであり、それゆえに大陸棚の存在という自然的事実によって沿岸国は「当然かつ原初的」に、すなわち「特別の法的手続」を要することなく排他的かつ固有の権利を有する(北海大陸棚事件)
  EEZ:沿岸国のその設定意思の表明が必要
  リビア・マルタ事件では、経済水域の制度は慣習法の一部をなすとしたが、それは条約発効前でも効果を有するということを表現したにすぎない 後天的権利としての性格
 ②排他的権利性
  大陸棚:主権的権利は完全な排他性を持つ(77条②)
  EEZ:上述の制限 また余剰分がなくとも途上国たる内陸国との地理的不利国の継続的な開発参加の規定(69条)
 
排他的経済水域と大陸棚の科学調査
 沿岸国による同意方式:もっぱら平和目的でかつ全人類的利益のための科学知識を増進させるものは「通常の状況においては同意を与える」ものとし、他方、それが天然資源の探査開発に直接影響を及ぼすもの、あるいは採掘、爆発物の使用等を伴う場合は「裁量により同意を与えないことができる」とした(246条)

4島と排他的経済水域
 島「自然に形成された陸地であって、水に囲まれ、高潮時においても水面上にあるもの」(121条①)
 島は、独自の領海、大陸棚、排他的経済水域を有する。ただし、「人間の居住または独自の経済的生活」を維持できないものはとして、それらを有することはできない。

 

 

hiro-autmn.hatenablog.com

 

(14)単位法律関係③法定債権(1)

第1節:不法行為

(1)総説
 法例11条は、不法行為法主義を採用。新たな類型の国際的不法行為に関して適切な準拠法を選択しない、偶然に決まる不法行為地が連結点として必ずしも適切ではないという点から批判。これに対する学説の主張は、①個別的不法行為に関する特則の導入、不法行為に関する準拠法のより柔軟な決定、③当事者自治の導入
 通則法では、原則として加害行為の結果が発生した地の法による。ただし、通常予見可能性がない場合は、加害行為が行われた地の法による。個別的不法行為の特則として、製造物責任(18条)及び名誉または信用の毀損(19条)についての特則がある。さらにこれらの規定により指定された法よりも明らかにより密接な関係を有する地がある場合の例外条項が置かれている(20条)当事者による事後的な準拠法の変更も認められている(21条)
(2)一般不法行為 
 原則:結果発生地 法例11条は、隔地的不法行為に関して不明確
  加害行為地の秩序維持というよりも損害の公平な分配という点を重視
  結果発生地とは、法益侵害の結果が発生した地である。この点、二次的(後続)侵害は含まれないというのが一般的理解。
  結果発生地の特定が困難な場合、20条により個別的に最密接関係地法を探求
  単一の行為により複数国で損害が発生する場合:個々の被害者ごとに決定可能
  これに対し、ネットや衛生通信を通じた知財侵害や不正競争などにおいては、困難
  例外:結果発生地における結果の発生が「通常予見することができないものであったとき」(17条但し)は、加害行為地法。被害者と加害者の利益の公平を図り、準拠法につき加害者の予見可能性を確保する趣旨。予測可能性は一般的・平均的なものが予測できたかどうか。対象は結果発生地における結果の発生。

(不法行為)
第17条:不法行為によって生ずる債権の成立及び効力は、加害行為の結果が発生した地の法による。ただし、その地における結果の発生が通常予見することのできないものであったときは、 加害行為が行われた地の法による

(3)個別的不法行為:不正競争または競争制限行為に基づく不法行為知財権の侵害に基づく不法行為について個別規定が検討されたが、現行法は、生産物責任と名誉または信用の毀損の2つだけである。
  ①生産物責任(18条)
   原則:被害者が生産物の引き渡しを受けた地の法
    生産物責任の場合、生産から事故の発生まで原因となる生産物が転々とする。17条の一般則を適用すると、結果発生地は偶然に左右されることから適当とは言えない。18条は生産物で引き渡しがされたものの瑕疵により他人の生命、身体または財産を侵害する不法行為によって生ずる生産業者等に対する債権の成立及び効力の準拠法を、原則として「被害者が生産物の引き渡しを受けた地の法」としている。これは被害者が生産物を取得した時点での当該生産物の所在地を指し、通常は市場を意味する。市場は生産者と被害者の接点であるという点で中立的であり、かつ密接に関連する。生産者は市場の安全基準をに従うと考えられ、生産業者等の行為を不法と評価する規範も市場地法に因るべきであるとする。当事者間のバランスに配慮した連結点であり、市場における競争の平等といった公益的観点に立つものではない。
    例外:生産者等の主たる事業所の所在地法
     予見可能性がなかった場合。一般則の加害行為地法に対応。例として、中古車市場。製造地や販売地なども考えられるが、むしろ生産物を市場に投入する意思決定を行う地である主たる事業所所在地の方が、市場地を原則的な連結点とする生産物責任における加害行為地としてより適切であると考えられた結果といえよう。
    引き渡しを受けた者以外の者が被害を受けた場合、18条の「被害者が生産物の引き渡しを受けた地」という連結点は、被害者が事前に生産物や生産事業者等と直接接触したことを前提としているところ、生産物の引き渡しを受けた者ではないバイ・スタンダーは、このような前提を欠いており、市場地法の適用を予測できる立場にはない。とすれば、一般則である17条が適用されるべきである。例外として、生産物の引き渡しを受けた者の従業員や同居家族のように、引き渡しを受けた者と一体しできるような場合は、18条の適用が認められるだろう。

(生産物責任の特例)
第18条 前条の規定にかかわらず、生産物で引渡しがされたものの瑕疵により他人の生命、身体又は財産を侵害する不法行為によって生ずる生産業者(生産物を業として生産し、加工し、輸入し、輸出し、流通させ、又 は販売した者をいう)又は生産物にその生産業者と認めることがで きる表示をした者に対する債権の成立及び 効力は、被害者が生産物の引渡しを受けた地の法による。ただし、その地における生産物の引渡しが通常予見することのできないものであったときは、生産業者等の主たる事業所の所在地の法 による。

②名誉または信用の毀損(19条)
   被害者の常居所地法:同時に複数の法域ぼとに不法行為がなされたとして、それぞれについて結果発生地法によりとすると、当事者間の紛争処理が複雑になるため単一の準拠法とした。被侵害利益である名誉又は信用は物理的所在を持たないため、連結点としていずれの地を選ぶかが問題となるが、被害者の救済に資すること、加害者の予見可能性にも配慮し、何より常居所において最も重大な社会的損害が発生していると考えられることから、被害者の常居所地法が選ばれた。

(名誉又は信用の毀損の特例)
第19条 第十七条の規定にかかわらず、他人の名誉又は信用を毀損する不法行為によって生ずる債権の成立及び効力は、被害者の常居所地法(被害者が法人その他の社団又は財団である場合 にあっては、その主たる事業所の所在地の法)による。

 

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(12)国家領域②

Ⅲ 国家領域の取得

1領域権限の意義と類型

  権原 title:国家が領域を法的に取得するための淵源をなす根拠及び証拠

 19世紀から20世紀初頭にかけては、先占、添付、割譲、征服、時効 のちに併合も含むとする見解

 区分:原始的取得 original mode of acquisition と承継取得 derivative :取得地域が他国の領有下にあったかどうかで区別 ただし、効果が異なるわけではない。

2原始取得

 ⑴ 先占 occupation:無主の地に対して実効的な支配・占有をすること。

  17世紀、スペイン・ポルトガルによる「発見」の権原性主張に対する対抗概念 cf.グロティウス「現実の占有を伴わなければならない」

要件:①国家が主体であること 私人が授権される場合も含む

   ②無主地であること 19世紀には文明国でないことは無主地であるとされた

   これに対し、当時の国家あ実行では社会的政治的組織を持った部族の領地に対しては、当該部族の首長との協定による承継取得であったとする見解(西サハラ事件)

   しかし、国際法主体性が認められていないにもかかわらず、条約としての効力を認めることは不合理ではないか

   ③実効的占有 effective possession 国家権力の実効的な表示ないし行使が必要 

   1)物理的占有説:土地の占有、定住など

   2)社会的占有説:支配権の確立があれば良い(判例)居住困難な無人島でも成立。東部グリーンランド事件でも確認。

   cf.「発見」は合理的期間内に実効的占有によって権原を完結するための「未成熟な権原」である(パルマス島事件判決、なお時際法の原則を採用している)

   ④国家による領有意思:なければ「占領」となる。

 ⑵ 添付 accretion:新しい土地の形成による領域拡大

 事実により領有の効果 自然現象によるものと人工的造成によるもの

 ただし、人工島や海洋構築物によるものは例外(海洋法60条8)

2承継取得

 ⑴ 割譲 cession        ex.樺太割譲、米のアラスカ購入

  国家の意思、とくに条約による領土の移転 有償・無償を問わない

  移転時期につき、19世紀は実効的占有の実現や引き渡しを要件とする 現代では、条約の発効日とする見解 しかし、条約の内容など個別的に対応する必要性

  住民投票の問題:ナポレオン戦争以後正統性を高めるために多用されてきたが、法的要件としては考えられていない

  一方、植民地その他非自治地域においては本国の領域とは「別個かつ異なる地位」が認められていることに留意(植民地独立付与宣言)

 ⑵ 征服 subjugation 

  武力の行使によって他国の領土の全部または一部を強制的に取得 実効的支配の確立と領有意思の存在が必要とされた

  現代国際法における征服:武力不行使原則の確立→違法から権利は生まれない

  合法性を承認してはならないとする不承認主義の一般化 

   ①武力不行使原則が強行規範ないし対世的義務となった(ニカラグア事件)

   ②不承認義務が一般国際法上の確立したとみれる実行 ex.友好関係原則宣言、ヘルシンキ議定書、

  ナミビア事件「すべての国は南アフリカの占拠の「違法性を認める義務」と同国の行為の「合法性の承認を包含する」あらゆる行動・取引を慎む義務がある

 パレスチナの壁事件「イスラエルによる壁建設はパレスチナ地域の「事実上の併合 de facto annexation」に相当するものとし、友好関係原則における違法な領土取得の不承認義務の規定を再確認しつつ、「すべての国は壁の建設から生じる違法な状態を承認してはならない義務を負う」

⑶ 時効 prescription

 土地の領有の意思を持って相当の期間、継続的かつ公然と占有することによって領有権を取得する形態

 長期の時間の経過に一定の法的効果を付与することは法秩序に内在する要請とも言えるが、国際法上、時効制度の本質的要件が明確にされておらず、要件充足の判断機関も存在しないため機能していない=学説では否定的 

 cf.「黙認」と同視されることもあるが、これは主観的意思を重視

 カシキリ・セドゥドゥ事件で、当事国は時効を援用したが、裁判所は判断回避

⑷ 領域権の歴史的凝固論 historical consolidation of title

 ノルウェー漁業事件で示唆 単に時間の経過だけを重視するのではなく、あらゆる歴史的・地理的・国際的要因を考慮して権限の凝固を認定する法理

 領域主権の確定を関連する諸要素の総合的評価に依存する点で伝統的領域権限とは異なる

 領土紛争の解決基準の判断要素として考慮されるべき

 

 

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(11)国家領域①

Ⅰ 領域主権の法概念 territorial sovereignty
1定義とその性格
 国家領域とは国家主権の及ぶ範囲の空間をさすが、この立体的空間に及ぶ国家の権限を特に領域主権と呼ぶ。

 ①立体性:領土・領海・領空で構成 ②包括性:当該地域すべての人・物・事象を支配 ③排他性:領域主権の結果として他の国家に対して排他的に主張が可能 

2法的性質

所有権説 dominium(客観説)
 私人と同様に国家がその領土を自由に使用し処分する権利、すなわち所有権に類する権利を有するとする立場 
 ローマ法から近世の絶対王政時代の家産制時代の支配的考え=国家の領土は世襲財産

権限説 支配権説 imperium
 領土主権とはその領域内の人と物に対する「支配権」そのものを意味する。
 パルマス島事件仲裁判決:国家間の関係においては独立を意味する。地球上の一部に関わる独立は、他国を排除して、そこに国家の機能を行使する権利である。
 支配権説は有力であるが、「割譲」という現状がある以上、所有権という考えも排除できない=今日では両説が包括的に認められる。

2国家領域の不可侵ー領土保全原則 territorial integrity

 伝統的には領域国の意に反してその領土を武力的に奪取されないことを意味 ex.1815年の議定書におけるスイスの永世中立とその領土保全クリミア戦争後のトルコ

 20世紀以降、連盟規約や国連憲章が「領土保全と政治的独立」を標榜、武力不行使原則とともに確認、その後、植民地独立付与宣言や友好関係原則宣言等で言及、一般国際法
 「領域主権尊重の原則の効果は、武力不行使原則と不干渉原則と不可避的に重なる」(ニカラグア事件)

 人民の自決権行使の場合:施政国の領土保全の侵害を構成しないものと解するべき ケベック分離事件「植民地人民及び外国の姿勢下にある人民あるいは内的自決を否定された人民は分離権を有する」

領域管理責任の原則:自国の主権行使によって他国の権利を害することは許されない
 「他人のものを害さないように自己のものを使用せよ」の命題に由来する義務 国内法の相隣関係の法理のアナロジー

①領域国内にある他国の権利侵害:パルマス島事件判決では、領域主権はそのコロラリーとして、領域内において他国の権利を保護する義務があるとした。

 1)人による侵害:外国人を相当な注意をもって保護する責任

 2)物による侵害:他国を侵害する危険を了知している場合に必要な措置をとる責任

  コルフ海峡事件:「他国の権利を侵害する行為のために自国の領域を使用させてはならない、というすべての国の義務」の存在を指摘し、アルバニアの責任を認める。

②領域国外における他国の権利侵害

 元来は自国領域内の外国ないし外国人の権益を保護の対象とするものであったが、近年では、領域外の外国権益の侵害を防止すべき原則として発展し、かつ、その侵害行為が私人や企業によるものであっても国家の管理責任を生じせしめる原則へと発展 さらに、環境損害に関する独自の法原則へ(1972年ストックホルム人間環境宣言原則21→1992年リオ宣言原則2)

 トレイル溶鉱所事件仲裁判決;「いかなる国も他国に重大な結果をもたらす形で自国の領域を使用したりその使用を許容する権利を有しない」
 
Ⅱ 国家領域の構成

1国家領域と国際領域
 特定の国の領域主権の及ぶ国家領域:領土とそれに付随する領水(領海と内水)、及びそれらの上部の領空
 いずれの主権または領有にも服さない国際公域:公海、公海上空、深海底、南極大陸、宇宙空間等 cf.国際化区域:国家領域のうちでとくに国際的利用に供された特別の法的地位を持つ区域

領土
 国家領域の中核であり、国家の存立要件 割譲すれば、それに付随して領海と領空も移転 領土に対する領域主権は排他的かつ包括的性質 国際法上の制限として、主権免除、外交特権など

領水
 内水 internal water と 領海 territorial sea を合わせた水域 後者につき、外国船舶の無害通航権が認められるという違い(後述)

領空
 第一次世界大戦後、航空国際条約「すべての国はその領域上の空間において完全かつ排他的な主権を有する」シカゴ国際民間航空条約(1944)でも確認
 水平的限界:領土ないし領域の外側の限界
 垂直的限界:争いあり 実効的支配説、地球引力説、大気圏説、航空機揚力説、人工衛星最低軌道説

 cf.1967年宇宙条約は宇宙空間に対する「主権の主張」を禁止、そこでの活動の自由を求める

 

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