Dancing in the Rain

Life is not about waiting for the storm to pass but about learning how to dance in the Rain.

(4)国際法と国内法

Ⅰ 序論

 近代憲法行政権に条約締結権を付与
 19世紀後半までは国内法との觝触なし
  背景ー君主政治により一元的に管理され、国際法の規律対象は限定的であった
 産業革命から国際交易の拡大=国内法と競合
 一方で、国内法と国際法の協働調和が必要な領域:人権保障の普遍的実現、地球環境の保護、国際犯罪の規制
 しかし、歴史的にはそれぞれ異なる生成発展の系譜
 
Ⅱ 伝統的理論
 
(1)二元論 戦前の有力説 トリーペル「国際法と国内法」(1899)で展開 
   規律対象:国内法=個人相互間ないし個人と国家 国際法=国家間の関係
   妥当根拠:国内法=一国単独の意思  国際法=国家間の意思の合致
    国際法の国内適用性が認められるとしても妥当根拠が異なるから変型が必要
    オッペンハイムは国内法への編入(adoption)が必要とする
   両者が觝触する場面は存在するとした判例 判) アイスランド漁業管轄事件
 
(2)一元論:バリエーションあり 
  ①国内法優位論 :ベルグホームら19世紀末ドイツ法学者
   国際法の効力は国家の意思表示の限度で認められ、その国家意思は憲法に依存している 国家意思の至上性=ヘーゲル哲学の影響
   反論:国際法の自律的存在を否定することに繋がる
  国際法優位論 :ケルゼンらウィーン学派
   国内法の妥当根拠は国際法によって与えられる
   反論:現実から乖離・国際法に反する国内法が当然無効とはならない
 
(3)調整理論 (co-ordination theory ):近時有力説
  フィッツリーモス:国際法と国内法はそれぞれの領域で最高の法として機能 体系としての觝触はないが義務の觝触はありうる 国家責任の問題へ(1957)
   →国内法援用禁止原則と両立しない、義務の觝触と体系の觝触
 
国際法体系における国内法の地位
 
1国内法援用禁止原則 
 国際法上の義務を免れるために自国の国内法を援用できない ex.アラバマ号事件の仲裁判決(1872)
 ウィーン条約法条約27条:当事国は、条約の不履行を正当化する根拠として自国の国内法を援用することはできない
 cf.立法の欠如も 引渡しか訴追かの請求事件
 
2国際裁判における国内法の効力
 国際法と合致しない国内法上の措置があってとそれを理由として直接国内法を無効とすることは避ける傾向
 ①国際的効力の否認 
  ノッテボーム事件:リヒテンシュタインが与えた帰化の効力否定 国籍付与が国内管轄事項であっても、そのことが直ちに国際的効果をもたらすものではない
 ②対抗力の否認
  アイスランド漁業管轄事件:アイスランドの50カイリ漁業水域拡大立法は12カイリ水域を確認したイギリスとの漁業協定に対抗できない "not opposable to the uk"
 ③国内裁判への判断関与
  国連人権委員会特別報告者の訴訟免除事件:国内裁判所は訴訟で、免除問題を決定する義務がある
  ラグラン事件では、再発防止のためアメリカの裁判制度に踏み込む
  逮捕状事件では、ベルギーに撤回を命じる
 
Ⅳ国内法体系における国際法の地位
 
 1慣習国際法の国内的受容:一般に、特別の措置を必要としない
  尹秀吉事件=確立した国際法規を遵守すべきことは憲法98条2項に定めるところであり、同条項の趣旨とするところは、確立された国際法規をの国内法的効力を認めるということにある
 2条約の国内的効力
  ①変型方式 イギリス:国内的適用のためには議会の立法が必要
  ②一般的受容方式 日米:公布を条件に国内的効力を一般的に認める
   国内裁判所における直接的適用を可能ならしめるものではない
  フジイ事件(加州最高裁) :国連憲章55・56の規定は将来の立法活動の指針を述べたものであり、自動執行的でなく個人の権利義務を創設しない
  自動執行性の可否:国内直接適用のための要件
   ①当該条約ないし締約国の意図 ②条件の定める権利義務の性質 ③条約規定の具体性と明確性の度合 (シベリア抑留事件)
  国内判例:塩見事件では、社会権規約は否定 指紋押捺拒否損害賠償事件で自由権規約は肯定