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Dancing in the Rain

Life is not about waiting for the storm to pass but about learning how to dance in the Rain.

(13)海洋法①

国際法

Ⅰ 海洋法の歴史
1近代海洋法の発展
 ローマ法で、海は私的所有の禁止された=万人の共有物 中世後半にイタリア都市国家による地中海海域の領有権主張
 大航海時代にはスペイン・ポルトガルによる広大な海洋の領有宣言 対エリザベス女王1世
 オランダのグロティウス「自由海論」海洋領有の排斥・航行の権利・通商の自由 17世紀、海洋論争
 18世紀、「狭い領海」と「広い公海」の二元構造 沿岸国が実際に支配・管理しうる沿岸海域においては領有権あり
 領海の幅員と法的性質において不安定要素を含んでいたが国連海洋法条約で最終決着
 性質につき、所有権説、主権説、管轄権説、地役権説、防衛権説等乱立

2海洋法の現代的状況
 1930年、ハーグ国際法法典化会議は条約の採択に失敗
 1958年、第一次国連海洋法会議:領海・接続水域条約、公海条約、公海生物資源保存条約、大陸棚条約
       性質につき、主権説、幅員は合意に至らず
 1973年、第三次国連海洋法会議:途上国の参加・国連海洋法条約(1982)採択
  領海、公海、大陸棚等伝統的制度に加え、国際海峡、群島水域、排他的経済水域、深海底、海洋環境の保護、海洋の科学調査および義務的裁判による紛争解決制度の創設など、「海の基本法」としての性格
 1994年、深海底制度に関する実施協定、1995年、国連公海漁業実施協定

Ⅱ 領海の地位と無害通航
1領海の地位
 ⑴領海の幅員
  18世紀、着弾距離説 19世紀、3カイリ説 20世紀、国際法会議を3度行うも合意に至らず=沿岸国の安全保障と漁業資源をめぐる利害対立が背景 海洋法条約で12カイリへ、ただし排他的経済水域無害通航権などと抱き合わせ
 海洋法条約3条:いずれの国も、この条約の定めるところにより決定される基線から測定して12海里を超えない範囲でその領海の幅を定める権利を有する。

 ⑵領海の性質
  主権説(2条):沿岸国の主権は、その領土若しくは内水又は群島国の場合にはその群島水域に接続する水域で領海といわれるものに及ぶ。
 背景:①国家の包括的な主権を認めることが沿岸国の経済的利益と安全保障の要請にかなう 
    ②領海を国家領域の一部とする認識の一般化
 ただし、領土の割譲とともに移転「不可分の従物」

 ⑶基線 baseline 領海幅を測定するための起点となる線 内水と領海を区分する
  通常基線=低潮線(5条)領海の幅を測定するための通常の基線は、沿岸国が公認する大縮尺海図に記載されている海岸の低潮線とする。
 「もっとも有利であり、領海の従物たる性質を明確化」(ノルウェー漁業事件)
  直線基線:一定の地理的条件を満たす必要(7条)
  ノルウェー漁業事件(1951)でその有効性が争われ、海洋法で条文化
  カタールバーレーン事件(2001)では、直線基線は「例外」であり、「制限的」に認められるとした
 
無害通航権 right of innocent passage

 ⑴概念
 17条:すべての国の船舶は、沿岸国であるか内陸国であるかを問わず、この条約に従うことを条件として、領海において無害通航権を有する。
 船舶の航行利益と沿岸国の法益保護との調和:沿岸国は領海における外国船舶の無害通航を妨害してはならない

 ⑵無害性の判断基準
 「沿岸国の平和、秩序または安全を害しない」=無害(19条) 行為基準、船種基準、通航目的基準など
  19条②は無害とみなされない活動(activity)を具体的に列記

 ⑶沿岸国の対処処置
  沿岸国は無害通行を妨害してはならない反面、無害でない通航の防止に必要な措置を取ることができる(25条)

  一定の法令制定(21条) 航路帯あるいは分離通航方式の設定(22)通航のみの目的とした課徴金の禁止( 26条) 

  刑事管轄権行使の制限(27条)民事裁判権(28条)

   27条:1沿岸国の刑事裁判権は、次の場合を除くほか、領海を通航している外国船舶内において、その通航中に当該外国船舶内で行われた犯罪に関連していずれかの者を逮捕し又は捜査を行うために行使してはならない。
    a 犯罪の結果が当該沿岸国に及ぶ場合 b 犯罪が当該沿岸国の安寧又は領海の秩序を乱す性質のものである場合
    c 当該外国船舶の船長又は旗国の外交官若しくは領事官が当該沿岸国の当局に対して援助を要請する場合
    d 麻薬又は向精神業の不正取引を防止するために必要である場合
  軍艦・非商用目的に使用される政府船舶は免除 ただし損害賠償を負わなければならない

 ⑷軍艦の通航権 一致した見解なし
   コルフ海峡事件(1990):当事国は軍艦の通航権につき争ったが、国際司法裁判所は判断回避
   各国の取り扱いに委ねる

Ⅲ 内水の地位 internal waters

基線の陸地側における水域 無害通航権が認められない 直線基線に例外(8条②)

1湾
 定義=10条 定義の客観化 特に24カイリ もとは10カイリであったが、ノルウェー漁業事件で否定
 例外として、歴史的湾(10条⑥):テキサダ号事件では、瀬戸内海を歴史的湾の類推

2港
 ⑴外国船舶の入港
  入港させる義務はないが、一般的に国際交易に供される港は開放されている
 
 ⑵外国船舶の地位
  入港中の外国の民間船舶は沿岸国の裁判権に服する
  フランス主義によれば、船舶の内部規律問題や港の平穏を害さない行為は旗国の管轄
  軍艦とその乗組員については裁判権免除 ただし、上陸中に公務外で行った犯罪には及ぶ(神戸水兵事件)

Ⅳ 群島水域 archipelagic waters
 多数の島で構成される国家の外側の島の外端を結ぶ直線基線の内側にある水域 49条
 群島:島の集団、相互に連絡する水域その他天然地勢であって、極めて密接に相互に関連しているため、これらが本質的に一体としての地理的・経済的・政治的単位を形成しているか、または歴史的にそのような単位としてみなされてきたものをいう(46条)
 群島基線の外側に、領海、排他的経済水域、接続水域、大陸棚を測定
 群島水域においては、領海と同じ無害通航権を有する 航路帯と航空路を指定した場合は、すべての船舶と航空路を群島航路帯通航権を享受する=国際海峡における通過通航権と同じ
 
Ⅴ 接続水域
 1沿革
  18世紀以来、管轄権を行使するための法令を制定してきた 密輸取り締まりのためのイギリスの徘徊法 米仏も同様    ex.12カイリの関税水域 

 2沿岸国の規制権
  海洋法条約33条:
   1治岸国は、自国の領海に接続する水域て接続水域といわれるものにおいて、次のことに必要な規制を行うことができる。
    a 自国の領土又は領海内における通関上、財政上、出入国管理上又は衛生上の法令の違反を防止すること。
    b 自国の領土又は領海内で行われた(a)の法令の違反を処罰すること。
    2接続水城は、領海の幅を測定するための基線から24海里を超えて拡張することかできない。
  通関、財政、出入国管理、衛生上の法律違反を防止規制する水域であって、法令違反を取り締まる水域ではない。

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