処分性とは
行政庁の処分またはその他公権力の行使(行訴3条2項)に該当するか
判例によると「公権力の主体たる国または公共団体が行う行為のうち、その行為によって、直接国民の権利義務を形成しまたはその範囲を確定することが法律上認められている行為」に限って取消訴訟の処分性が肯定される。
公権力性
法が認めた優越的地位に基づき、行政庁が法の執行としてする権力的な意思活動
ポイント:
- その行為によって法律関係を一方的に変動させる法的仕組みがあるか
- 根拠法令上その行為につき不服申し立て等の行政訴訟が認められているか
- 当該行為の根拠法令上、申請に対する処分と解する要素があるか
ケース:
(1)私法上の契約との区別=根拠法の解釈による
否定:国有財産法における普通財産の売払い 農地法に基づく農地の売払い
肯定:託金取戻請求への供託官の却下 国税通則法上の還付金の国税への充当
(2)公共施設の建設・稼働=内部的手続行為+私法上の契約にすぎない
否定:東京都によるごみ焼却場の設置行為
(3)給付行政における決定=個別法上、不服申立てを許容しているか
直接性
法的規律の直接性・個別具体性=行政庁が法的見解を表明したにすぎない場合と区別、不利益だけでは不足
(1)表示行為:単なる事実行為にすぎない
否定されたケース:
- 交通反則金制度における通告(通告それ自体は行政機関の意思表明)
- 海難審判庁による原因解明裁決
- 知事による保険医に対する戒告
- 地代家賃統制令に基づく家賃台帳の作成・登載行為
- 公務員の採用内定通知の取消
- 都市計画法における開発許可申請の過程での公共施設管理者の同意拒否
- 市町村長が住民票に世帯主との続柄を記載する行為
肯定されたケース
- 関税定率法上の税関長の輸入禁制品該当の通知(実質的な拒否処分)
- 税務署長のする納税告知(滞納処分の不可欠の前提)
- 登記官が不動産登記簿に記載する行為
- 食品衛生法に基づく食品の輸入届出をした者に対し検疫所長が行う通知
- 登記機関が還付通知できない旨を申請者に伝えた通知(利用できる地位を保障しているため)
- 医療法に基づき都道府県知事が行う病院開設中止の勧告・病床数削減の勧告(行政指導)
※判例は、関連する法令の仕組みの解釈に基づき救済の必要性を考慮して処分性を拡大:①それが法律に根拠を置く仕組みであり、②関連する法的仕組み全体の中で法的効力を有するか、を判断基準とする
(2)規範定立行為:原則として特定人の具体的権利義務変動なし
①条例の制定行為:行政処分と実質的に同視できるか否かがポイント
肯定されたケース
- 市が設置する保育所廃止を定める条例の制定行為
(I)効果発生の直接性=行政処分を待つことなく発生
(II)特定可能な法的地位の剥奪
(III)第三者効の必要性=紛争解決の合理性
否定されたケース
- 水道料金の改定を内容とする供給規定を定めた簡易水道事業条例
②告示などの一般行為:特定人に具体的な法的効果を発生させること
肯定されたケース
- 建築基準法に基づく2項道路の指定が一括指定の方法で告示された場合
③内部行為=行政機関を拘束するのみ ex.通達
否定されたケース
- 異宗派であることのみを理由とした埋葬拒否を認めないとした通達
- 消防法に基づいて消防長が知事に対してする同意
- 全国新幹線鉄道整備法に基づき運輸大臣が鉄道建設公団にする認可
④段階的行為=一連の行政過程を経て進行する場合の中間段階の行為の処分性
肯定されたケース
- 土地区画整理事業計画の決定
(I)一定の限度での具体的な予測可能性
(II)換地処分を受けるべき地位に立たされる=直接的な影響
(III)事情判決の可能性=実効的な権利救済 - 土地区画整理組合の設立の認可
- 市町村土地改良事業の事業の認可
- 第二種開発地再開発事業の事業計画の決定・抗告
否定されたケース
- 都市計画法に基づく用途指定
ポイント:実効的な権利救済を図る必要性
国民
外部効果がない場合は否定
権利義務を形成しまたはその範囲を確定する
行政不服審査法では明文で「継続的権力的行為」を規定 通説では取消訴訟でも肯定
※申請に対する応答:拒否決定は処分性を有するが、申請権があることが必要であり、また、事実上の応答では足りない。
参考