Dancing in the Rain

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(1)労働契約(国家公務員試験対策:労働法)

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国家公務員試験択一試験用にまとめたものです。2015年度以降の法改正については反映されていません。

労働条件基準

  • 労基法で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分について無効=最低水準としての労働条件基準(労基13条)
  • 法の定める労働条件基準は、たとえ労働契約が無効であったとしても、事実として労働が行われている限り適用。
  • 使用者には労働条件明示義務(労基15条①)
  • 書面交付必要5項目①期間②就業場所と業務③労働時間・休日・休憩④賃金⑤退職・解雇(労基則5条)※退職金は含まれない
  • 明示条件と異なる場合、労働者は即時に契約解除が可能(期間制限なし)(労基15条②)この場合、就業のために住所を移した労働者は解除から14日以内に帰郷する場合に、使用者は必要な費用を負担しなければならない(労基15条③)
  • 就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、部分的に無効 労働者に有利な規定が適用される(労契12条、7条但)

労働契約

  • 当事者の合意のみで成立する諾成契約(労契6条)
  • 親権者・後見人は未成年者に代って労働契約を締結することはできない 同意を得て自らする必要(労基58条①)
  • 親権者・後見人・行政官庁は、労働条件が未成年者に不利であると認める場合は、将来に向かってこれを解除できる(同条②)
  • 使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、または損害賠償額を予定する契約をしてはならない(労基16条)
  • 使用者は、前借金その他労働することを条件とする前貸しの債権と賃金を相殺してはならない(労基17条)
  • 強制貯金は禁止(労基18条)だが、任意貯金は許容 ただし厳格な要件=労使協定と管理に関する規程 前者は行政官庁へ、後者は周知

労働法上の当事者

労基法上の「労働者」
  • 使用されるもので、賃金を支払われるもの」(9条)ただし、①同居の親族のみを使用する事業に使用される労働者②家事使用人は除外
  1. 使用性(仕事依頼の諾否の自由の有無、業務遂行の指揮監督の有無等)
  2. 賃金性
  3. それ以外の要素(事業主性の有無、公租公課の負担等)

判例)トラック持ち込みの傭車運転手は否定、奨学金等を得て大学病院で臨床研修していた研修医で肯定、代表取締役で否定

労組法上の「労働者」
  • 「賃金、給料その他これに準ずる収入によって生活する者」(3条)
  1. 現在使用されていることを問わない。
  2. 厳密な意味での労務対称性は問われず、賃金に準ずるものでも良い=経済的に弱い立場の労働者に団結を認める趣旨
  • 判例上、経済的従属が主たる判断基準であって、労基法の人的従属性は補充的な要素に過ぎない   

判例)自由出演契約によりコンサートに出演している楽団員、トラック持ち込みの傭車運転手、自宅でヘップサンダルの賃加工を行う職人で肯定

労契上の「労働者」
労働契約上の「使用者」
  • 「労働者に対して賃金を支払う者」(2条②)=労働契約の締結当事者たる者=相手方たる企業=法人そのものであって、管理責任者や取締役を含まない
労基法上の「使用者」
  • 「事業主または事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者」 

労働契約の期間

  • 長期は原則として「最長3年」(労基14条):例外として①一定の事業完了に必要な期間を定める場合には完了までの期間②高度の専門知識を有するものとの契約や満60歳以上の者との契約の場合には最長5年。
  • 期間途中の解約は、労使双方ともに、やむを得ない事由があれば即時解除できる(民法628条)→期間中はやむを得ない事由がない限り解雇できない(労契17条)
短期労働契約が反復更新された場合の雇い止め
  • 実質的には期間の定めのない契約となっている場合は、雇い止めは解雇に当たる=解雇法理の適用
  • 未だ期間の定めが「形式的なものに過ぎない状態」にはなっていない場合、雇い止めは更新拒絶の意思表示となる=期間満了によって終了
  • 期間を定めていない場合、使用者による解雇は、解雇権濫用法理(労契16条)や解雇制限(労基19条)などの制約に服する

 労働者の採用・使用

採用・内定
  • 採用内定があれば「始期付・解約権留保付労働契約」が成立する(判例)=明示された日に労働契約が成立する。
  • 採用内定通知は、労働者が応募としてなした労働契約の申し込みに対する承諾判例
  • 内定取り消しは、取消事由が「知ることができないまたは知ることが期待できない事実」であって、「解約権留保の趣旨目的に照らして客観的に合理的な理由が存在し、社会通念上相当として是認することができる場合」のみ許される(判例電電公社近畿電通局事件)=書面に取消事由として限定されている必要はない。
  • また、解雇予告手続は不要(ただし精神的損害に対する慰謝料請求は認められる可能性がある) 一方、応募者側からの内定辞退は自由であって、申入れから2週間で解除の効果が発生(ただし信義則上契約責任を負う場合がある)
  • 自治体における採用内定の通知は事実上の行為に過ぎず、採用の確定的な意思表示ないし始期付または条件付き採用行為ではない 
試用
  • 試用は解約権留保つき労働契約であり、試用期間中の解雇には、「解約権留保の趣旨目的に照らして客観的に合理的な理由が存在し、社会通念上相当として是認することができる場合」のみ認められる(三菱樹脂事件
  • 試用とは、雇用契約に期間を設け、その趣旨・目的が労働者の適正を評価、判断するためのものであるとき(神戸弘陵学園事件)
使用者の不法行為責任
  • 政党党員であるかの調査で書面交付を要求することは違法行為とはいえない(東京電力塩山営業所事件)
  • 特定政党の党員であることを理由として職場の内外で監視、私物の写真撮影などは不法行為責任を構成する
  • 採用につき思想信条を考慮しても違法ではない(三菱樹脂事件

 配転・出向

  • 配置転換:同一企業内における職務内容や勤務場所の変更のための人事異動
  • 使用者は業務上の必要性があれば配転命令可能「企業の合理的運営に寄与する」と認められれば良い(東亜ペイント事件)「余人をもっては容易に替えがたいといった高度の必要性に限定されない」
  • 転勤命令につき、業務上の必要性が存在する場合でも、当該命令が他の不当な動機・目的を持ってなされたものであるときは、権利の濫用として無効(東亜ペイント事件)

出向:異なる企業間で行われる人事異動

  • 在籍出向:出向元との労働契約は存続、期間中は休職扱い。
  1. 関連会社等の日常的な出向は、就業規則の規定と包括的な同意で足りる 転勤命令も同じ(東亜ペイント事件)。就業規則に明白な出向義務が規定されていない場合=「他社出向の必要があるときは特命休職を命ずる」は否定(日東タイヤ事件)
  2. 労働条件の大幅な変更を伴う場合、労働者の個別の同意あるいは労働協約が必要。復帰命令には労働者の同意は必要なし
  • 移籍出向:出向元企業を退職、出向先と新たな労働契約締結。命令には個別の同意が必要

短時間労働者・派遣労働者

  • 所定就労日数が4日以内でも、週の所定労働時間が30時間以上の者については通常の労働者と同じ日数の年休あり(労基39条3項)
  • 雇用保険は、週所定労働時間が20時間未満の労働者については給付の対象から除外(雇用保険法6条2号)
労働者派遣法制
  • 職安法施行規則4条は「労働者供給」事業の消極的要件を明示 適法な請負契約との区別 70年代後半「人材派遣業」が発展 法規制の必要性。
  • 1985年「労働者派遣法」成立:「事故の雇用する労働者を、当該雇用関係下に、かつ、他人の指揮命令を受けて、当該他人のために労働に従事させること」と定義(2条)=供給元とは労働契約関係にあるが、供給先から指揮命令を受けるという形態を抜き出して規制
派遣事業に対する規制
  • 法令上列挙された業務以外のすべての業務について行うことができる(ネガティヴ・リスト方式)
  • 99年改正までは、26の専門業務に限るポジティブ・リスト方式であったが原則自由化、03年には製造業にも解禁
  • 改正後新たに承認された部分いついては、同一業務への派遣期間を1年以内とする(ただし派遣先事務所の過半数代表の意見を聴いて3年以内も可能)と制限(40条)
  • 従来から認められていた清掃業、情報処理、研究開発等26業務については派遣期間の限定はない。
  • 12年改正では、日雇派遣(日々または30日以内)が禁止(35条の3)例外は、高度の専門性を必要とする業務、60歳以上、雇用保険の適用を受けない学生、年収が500万円以上のもの
許可・届出
  • 特定派遣労働者業:派遣元に常時雇用される労働者のみを派遣労働者とするもの 厚生労働大臣に届出が必要
  • 一般労働派遣業:登録型の派遣労働者など常時雇用以外の労働者も雇用・派遣するもの 厚生労働大臣の許可が必要・より厳格(5条以下)。派遣労働の契約当事者は派遣元企業 団体交渉の相手方も同様 

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