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Dancing in the Rain

Life is not about waiting for the storm to pass but about learning how to dance in the Rain.

(3)賃金

 

⑴ 賃金の意義:労働の対償として、使用者が労働者に支払うすべてのもの

  労働契約や就業規則等によって使用者の支払いの義務のあるものは賃金、任意のものは賃金でない 出張旅費も賃金ではない

  賞与も就業規則等に定めがあり、使用者に支払い義務がある場合賃金 退職金も同様

  賞与に支給日在籍要件を設けても違法ではない=将来の労働意欲の向上という側面(判例

  退職金は退職時に確定=「一定期間内に同業他社に転職した場合は減額・不支給とする」などの条項は有効=功労報償的性格

 

⑵ 賃金支払いにおける4原則

  ①通貨払いの原則:日本円のみ、外国貨幣は不可、小切手や物による支給は不可(労基24条①)

   例外:法令若しくは労働協約の別段の定め ex.現物支給可能

      厚労省令で定めるもの=労働者の同意を要件として、賃金の口座振り込み、退職金の銀行振出自己宛小切手や郵便為替

  ②直接払いの原則:代理人、賃金債権の譲受人への支払いは不可(小倉電話局事件) 使者への支払いや法に基づく差し押さえは可能

  ③全額払いの原則:相殺禁止、労働者の生活を脅かさない調整的相殺は認められる、自由意思による相殺・放棄は認められる

   例外:法令による別段の定め(所得税源泉徴収)、過半数代表者との書面による労使協定(組合費の給与からの天引き=チェックオフ)

  ④毎月一回以上の定期日払原則:年棒制の場合も、分割額を月一回 定期日は特定の日であって曜日での指定は不可(24条②)

   例外:①臨時で支払われる(賃金)②厚生労働省令で定める賃金(一ヶ月を超える期間の精勤手当、勤続手当)

 非常時払:出産、疾病、災害その他命令で非常の用に充てるための「既往の賃金」につき、支払期日前の非常時払が認められる(労基25条)

 出来高払い:使用者は労働時間に応じて一定額の賃金を保証(労基27条)

⑶ 休業手当

  使用者の帰責事由による休業の場合、使用者は平均賃金の6割を労働者に支払わなければならない=生存確保(労基26条)

  休業手当にいう「帰責事由」は天災事変のような不可抗力を除くすべての事由=経営上の障害も含む

  民法の危険負担の規定による請求も可能、ただし民法は過失責任主義に立つもので、労基26条は労働者の生活保障を主眼とする

  労働義務が履行不能の場合の賃料請求権:契約の解釈により解決できない場合は民法536条

  使用者の帰責性①違法な解雇による就労不能、②正統性のないロックアウト、③会社側の過失による工場消失

  労働者の一部のストライキが原因で他の不参加者の労働義務の履行が不可能になっても、賃金請求権を有しない(ノース・ウエスト航空事件)

    =使用者の「責に帰すべき事由」とは言えないため

⑷ 賃金に関するその他の問題

  ノーワーク・ノーペイの原則:争議行為中は労務をしていないので賃金を支払う必要は無い

  賃金二分論判例は否定 賃金カットの範囲は労働協約の定めまたは労働慣行の趣旨に照らして個別的に判断すべき(三菱重工長崎造船所事件)

  賃金債権の事項消滅:通常の賃金債権は2年、退職金は5年

  割増賃金:算定基礎は、家族手当・通勤手当等の「労働の時間や内容と関係のない労働者の個人的な事情で変動する賃金」は含まれない

  賞与等の臨時に支払われた賃金や一ヶ月を超える手当も除外

  出張・外勤命令を拒否し、内勤業務に従事した場合、債務の本旨に従った履行をしたとは言えず、賃金カットの対象となる(水道機工事件)