Dancing in the Rain

Life is not about waiting for the storm to pass but about learning how to dance in the Rain.

(12)不当労働行為

⑴ 不当労働行為制度の意義

 団結権を侵害する使用者の行為を類型化してこれを禁止し、その違法行為について労働委員会の救済命令で救済を図ろうとする制度

 労働委員会の広い裁量権=原状回復主義 規定は犯罪構成要件ではなく、弾力的な解釈が可能 

⑵ 不当労働行為制度における使用人

 労組法は使用者の定義規定を設けていないため、制度目的から解釈によって導かれる

  原則:労働契約の一方当事者たる使用者(労働契約基本説)

  例外:労働条件の決定につき直接・具体的な支配力を及ぼしうる者も「使用者」に含まる(朝日放送事件、折衷説)

⑶ 不当労働行為の類型(労組7条)

 ①不利益取扱い(1号):組合員であること・加入もしくは結成しようとしたこと、正当な行為をしたこと、労働委員会への申し立て等を理由とする場合(4号)

   労働者の非違行為と組合活動という「理由の競合」:決定的動機かで判断(学説?)

    成立要件:①労働者が組合員であることまたは労働組合正当な行為をしたこと②使用者から不利益な扱いを受けたこと③使用者の不当労働行為意思

   正当な行為をしたことを理由として解雇した場合、当然に無効(医療法人新光会事件)

   雇入れの拒否は、特段の事情がない限り、不利益扱いとならない(JR国鉄労働組合事件)

 ②黄犬契約(1号後段):労組への不加入・脱退を雇用条件とする契約

 ③支配介入(3号):労組の結成・運営を支配し、介入すること=自主性の侵害

   使用者にも言論の自由がある限り、事業活動の状況を説明して協力を要請する場合は支配介入に当たらないが、威嚇は別(プリマハム事件)

   組合活動を理由として不利益取扱いを暗示する発言をした場合、支配介入があったとされる(山岡内燃事件)

 ④経費援助(3号):労組の運営のために経費の支払いにつき経理上の援助を与えること

   例外:労働時間中に賃金を失うことなく使用者と協議・または交渉すること、厚生資金または福利基金に対する使用者の寄付、最小限の広さの事務所の供与(1号但書)

 ⑤正当な理由なく団体交渉を拒む団交拒否

 <判例

  組合を嫌悪する取引先の強要でやむなく解雇したケース(山恵木材事件)

  「生産性向上への協力」という前提条件に固執し、これを拒否した複数組合の中の少数組合に一時金を支給しなかったケース(日本・メールオーダー事件)

  就業規則にビラ禁止となっていても、ビラの内容・態様に照らして職場規律を乱す恐れがなく、また使用者に組合嫌悪の姿勢も考えて成立するとしたケース(倉田学園事件)

  組合活動家を地方の支店長に昇進させる行為で、組合の弱体化の意図があったケース

  組合壊滅のための会社の偽装解散 またこれに原職復帰の救済命令を出したとしても違法ではない

  一方の組合に事務所を貸与し、他方ヘは拒絶する場合(弱体化させる意図が推認される場合)(日産自動車事件)

   ただし、組織人員に大きな開きがあるような場合は、使用者が多数組合との間で合意に達した条件で少数組合と妥結しようとしてこれを譲歩の限度とすることは義務違反を構成しない

⑷ 不当労働行為の救済

 労働委員会による救済と裁判所による救済の2つのルート

 ①労働委員会による救済

   労働委員会独立行政法人(19条以下)

    使用者委員・労働者委員・公益委員の各同数によって構成(19①)

    厚生労働大臣の下に置かれる中央労働員会(19条の2)と各都道府県知事の所管の下に置かれる都道府県労働委員会(19条の12)

    救済申立て→調査・審問・公益委員会議などの準司法的審査手続→不当労働行為成立認定→救済命令(27条) 職権による開始は不可

    審査の途中で労働委員会が和解を勧告し、和解が成立することで審査手続きが終了する場合も多い(27条14)

    救済申し立てはまず都道府県労働委員会に対してなされ、当該命令に不服がある場合は中央労働委員会に再審査の申立てをすることができる(27条の15)

   申立適格:労働者個人及び労働組合

    ①不利益扱い:双方 ②団交拒否:労組 ③支配介入:団体行動権の保障という趣旨から労働者個人にも認めるのが判例(京都地労委事件)

   名宛人は法的に独立した主体である法人であり(済生会中央病院事件)、不当労働行為を現実に行ったものではない(個人事業主を除く)

   救済申立は、行為の日(継続する場合はその終了時)から1年以内になされなければならない(27条2項)除斥期間である

    昇給差別の場合は、賃金支払いの最後のものから1年以内(紅屋商事事件)

   救済命令:労働委員会には広い裁量が認められているが、それは効果裁量であって、要件裁量ではない(寿建築研究所事件)

    典型例

     ①不利益取扱いのあたる解雇につき、原職復帰命令及びバックペイ

     ②団交拒否については、誠実交渉命令

     ③支配介入については、禁止命令、ポストノーティス命令

       ただし、抽象的不作為命令は使用者の行為を過度に制約するため違法と解される

       昇進命令は使用者の人事権の過度の介入として労働委員会の裁量の限界を超える(第一小型ハイヤー事件)

      金銭賠償命令も裁量の範囲内ではある:不当労働行為がなければ得られた人事考課率を示して不足分の金額の支給を命じることも裁量の範囲内(紅屋商事事件)

      ストライキの報復としての不当な賃金カットのなされた組合員が命令発出前に組合員資格を喪失したとしても組合は救済を求めることができる(旭ダイヤモンド)

    確定した救済命令に従わない場合は、使用者は50万円以下の過料(32条後段)

     他社で得た中間収入とバックペイの問題:中間収入の控除を考慮しないことは経済的被害の救済として合理性を欠き、違法となる(     二元論的な検討を必要とする)

     使用者を懲罰することを目的としていないから、当事者間で労使関係の正常化が保たれている場合は棄却できる(新宿郵便局事件)

    労働委員会命令の取消訴訟都道府県労働委員会の命令に直接提起することも、中央労働委員会の再審査命令についてもできる(27条の19)

     裁判所は労働委員会の救済命令がその裁量の範囲を逸脱し、または著しく不合理であって濫用と認める場合は違法と判断できる(第二鳩タクシー事件)

     被告:労働委員会が所属する国または公共団体 補助参加人の制度(使用者に対する労働組合 逆)

      裁判所の判断事項:①事実認定の当否②7条の要件該当性③救済命令内容の適法性(処分時を基準とする)

       命令の履行が不可能になった場合は訴えの利益が消滅し、却下となるが、使用者と組合が存在しなおも履行が可能と判断されれば消滅しない

       使用者は、救済命令が瑕疵ある審査資格を前提として発せられたことを理由として取り消しを主張できない(日通会津若松事件)

     緊急命令制度:使用者が救済命令に取消訴訟を提起した場合、労働委員会は受託裁判所に発出することができる(27条の20)

      これにより、使用者は取消訴訟の判決が出るまでの間、暫定的に救済命令の全部一部を従うように命令するもの

      裁判所は①救済命令の適法性(疎明で足りる)②緊急命令の必要性につき判断

 ②司法的救済:労働委員会に救済申立を経ずに、直接裁判所に救済を求めることができる

    解雇無効確認、解雇無効期間の賃金支払い請求、団体交渉を求める地位の確認訴訟、不法行為としての損害賠償請求

 

 

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