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Dancing in the Rain

Life is not about waiting for the storm to pass but about learning how to dance in the Rain.

(26)国際紛争の平和的解決①

国際法

平和的解決への史的展開

1近代国際法における紛争の解決
 ⑴ 学説の状況
 国際紛争 international disputesの解決方法
  ①武力による強力的解決:報復 retorion 復仇 reprisal 抑留・差押え embargo, sequestration 平時封鎖 pacific blockade
  ②非武力:仲裁・交渉・仲介 
 ヴァッテル 平和的解決は優先するが武力による道も残されている 戦争は最終手段
  ただし、一般国際法上、厳格な義務とされていたかは疑問 cf.道徳的・人道的義務
 ⑵ 近代国際法における解決方法
 武力不行使と平和的解決義務は密接不可分
 1907年契約上の債務回収のため兵力使用制限条約(ドラゴ・ポーター条約)「兵力ニ訴ヘサルコト」ただし仲裁拒否の場合
 1913 年ブライアン条約(米国の二国間条約):常設国際委員会に付託→戦争モラトリアム
 1921年連盟規約「国交断絶ニ至ルノ虞レノアル紛争」が発生した場合、仲裁、司法的解決、理事会への付託
  判決や報告書の採択後3ヶ月は戦争してはならない その後は、判決・全会一致の報告書に服する国に対しては戦争してはならない
  裁判の付託は義務化されていない(15条)戦争に至らない国際紛争については沈黙
 ⑶ 戦争の違法化
 1925年:ロカルノ条約 地域的不戦条約=欧州7カ国
 1928年:不戦条約(ブリアン・ケロッグ条約)
  「国際紛争解決ノ為戦争」と「国家ノ政策ノ手段トシテノ戦争」を放棄することを宣言(1条)
   一切の紛争は平和的手段に寄らないで処理・解決しない(2条)
  本条約違反の戦争、自衛の場合は例外
 「戦争」戦争意思を表示するか否かで法律上の扱いが異なる 「戦争」以外の武力紛争について見解が対立
  限界①違法な戦争の認定基準・手続がない
    ②戦争以外の武力紛争については禁止していない
    ③平和的解決の具体的な手続がない・裁判の付託義務がマイ
 ニュルンベルク裁判では本条約が援用されたが、侵略戦争が犯罪であるという認識は当時あったかどうかかなり疑わしい
  違反国に対する措置は「制裁としての戦争」のみ
 1928年国際紛争の平和的処理に関する一般議定書が採択されたが、加盟国が少数
 ⑷ 平和的解決強化の試み 国連憲章2条4項;およそ武力による威嚇又は武力の行使を禁止  cf.例外は自衛のための戦争と強制措置のみ
     2条3項は平和的解決の原則を規定 ただし、具体的な結果に到達する義務をも定めたものではない
  実際、拘束力を有する国際裁判の付託には合意なくしてできない
 慣習法と憲章上の武力不行使原則の禁止域の不一致:一般的には後者の方が狭い ex.自国民の保護、人道的干渉
  ニカラグア事件では、両者の差異を認めつつ、結果的に同一であるとした(憲章が使えなかったため)
  しかし、ほとんどすべての加盟国となる今、実益なし cf.条約法31条③
 武力不行使原則の強行規範性=有力説(カッセーゼ、トムシャハト、ブラウンリー、国際法委員会等)ニカラグア事件でも承認したとされる cf.規範性否定論=少数説、国家実行による否定
 force=「武力」 途上国や社会主義国は政治的・経済的強制をも含むとする サンフランシスコ会議(45年)のブラジル提案は否定 70年の友好関係原則宣言でも不干渉義務との間で言及するのみ
 
Ⅱ 国際紛争の概念
1国際紛争の発生
 国際裁判では明確な「紛争」の発生がその解決手続利用の前提条件 ex.国際司法裁判所規程38条
 
2「紛争」の定義
 「紛争とは二当事者間の法または事実の論点に関する不一致 desaccord、法的主張ないし利害の衝突 contradiction、対立 oppositionである」(マヴロマティス事件・PCIJ)
法律的紛争と非法律的紛争の区別
 ⑴条約における紛争区分の導入
  紛争の解決にあたって多くの関連条約では法律的紛争と非法律的・政治的紛争を区分 ex.憲章36条3
  政治的紛争を裁判の対象から除く理由:現行法の適用をめぐる紛争ではなく、その改変を目指す紛争であるので、法の適用を使命とする裁判には馴染まないとする見解 また、政治的重要性を持つ紛争は法的基準の解決には馴染まないとする見解
 ⑵ 識別基準
  ①重大利益説:当該紛争が国家の死活的利益や独立に関わるような重大な利害を伴うとき 1903年の英仏の仲裁裁判条約
    重大かどうかは主観的判断によるので識別基準として不適当であり、裁判義務を逃れる方策にもなる
  ②適用法規存否説:適用できる国際法の規則の有無を基準 
    適用される法規、とりわけ慣習法の生成・存否は裁判審理を尽くさなければ確定し得ない ex.核実験事件
  ③権利主張方式説:当事国が権利義務を争う形式において当該紛争の争点をフォーミュレートとするか否かにかかる 現在の支配的立場
   あらゆる紛争は政治的・法律的な両側面を持ち、その法的評価を問う形で定式化するときは法律的紛争となる=区別の無意味化
 

 

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