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Dancing in the Rain

Life is not about waiting for the storm to pass but about learning how to dance in the Rain.

(29)国際安全保障①

Ⅰ 勢力均衡から集団安全保障へ

1勢力均衡の史的展開
 対立する国家間の力のバランスを図ることで国際的安定を創出し維持する勢力均衡 balance of powerナポレオン戦争時には機能不全に陥ったものの、伝統的には一定の役割を果たしてきた伝統的安全保障 ex.1648年ウェストファリア条約、1713年ユトレヒト条約(スペインとフランスの分断)
 国際的な平和維持機構の存在しない往時においては唯一の安全保障 一方的な勢力拡大は他の諸国の干渉行為の正当な理由をなす
 一般国際法上の地位を有するかは争い 政治的な実践に過ぎないとする説 武力的干渉を認めることに対する否定的評価 また、アメリカはモンロー主義により制度の枠外
 重大な欠陥:仮想敵国の想定、正確な測定不可能な「勢力」の強弱を基準とすること、自国に有利な「均衡」を求めて絶えざる軍事増強を助長すること、同盟体制を必然化させること
 
2集団安全保障の理念
 第一次世界大戦後、集団安全保障 collective security が提唱される
  基本要素①すべての国は戦争や武力行使に訴えないことを法的義務として受諾すること②この義務の違反国に対しては他のすべての国が集団的に制裁措置を講ずること
  勢力均衡は外部の仮想敵国に向けた外部指向性を持つのに対し、参加国の内部の総意を基礎とする内的指向性を持つ とりわけ区別されるのは、後者では武力行使の禁止を前提としていること
 
3連盟における制度化
 制度的要件
  ①運用にあたる国際機構の創設、②大国を含む大多数の国の参加、③機構による統一的決定、④集団的制裁実施の義務性
 連盟規約は、戦争またはその脅威は加盟国すべての「利害関係事項」であり、連盟は「国際の平和を擁護するため適当且つ有効と認める措置」を執るべきものとする(11条1)
  不完全性①戦争の禁止の不徹底=制限したにとどまる②制裁の実施方法の不備=強制的な実施は加盟国の認定によるとした・いかなる制裁をとるかも各国が決定 理事会は兵力的制裁を「提案」するのみ
 
国連における集団安全保障
武力行使の違法化とその例外
 ⑴ 憲章と武力不行使原則
 連盟規約を補充した不戦条約は戦争を違法化したものの戦争に至らない武力行使の位置付けが法的に不透明
 国連憲章はおよそ「武力による威嚇又は武力の行使」を一般的に禁止(2条4項
  武力不行使原則は国際慣習法であり、強行規範(国際法委員会)とする説もあり
 例外:
  ①自衛権の行使(51条)②安保理決定に基づく軍事的強制措置(第7章)cf.パレスチナの壁事件

  ⑵ 人道的干渉:他国において重大かつ深刻な人権侵害が行われるとき、これを阻止するために別の国が軍事力をもって強制介入

 ⑶ 在外自国民の保護 protection of nationals abroad:自国民が外国において人質等の過酷な拘束状態に置かれた場合にこれを救出するために本国が実力 に訴えること
  伝統的には自衛権の一環とする説が有力①領域国が保護する意思を持たないこと②当該国民が急迫した生命の危機にさらされていること③武力の行使以外に手段がないこと④その行動が合理的必要性と均衡を保つこと ex.イスラエルエンテベ空港急襲(1976)アメリカのテヘラン大使館員救出作戦 国際司法裁判所テヘラン事件で非難するも判断はせず アメリカは「自衛に固有の権利と主張」
  憲章51条の解釈に依存するが、消極に解するのが一般的 カッセーゼ(2005)は「極めて厳格な要件」の元に許容されるとする
 
2武力不行使原則と強制措置の関係 両者は密接に連動するが、法的には位相を異にする
 強制措置の適用は武力行使の場合に限定されない:「平和に対する脅威」「平和の破壊」「侵略行為」(39条)のうち、平和に対する脅威は必ずしも武力行使を前提としない ex.自決権侵害、重大な人権侵害、民主政治の破壊、テロ行為の助長 
 
3決定権の集積化
 連盟では義務違反の有無は加盟国の個別的決定によっていたが、国連では安保理に一元化(ただし、平和のための結集決議)
 39条の決定は「安保理の完全な裁量事項」であり、「他のいかなるものもこの事態の存在の判定者とはなりえない」(ロッカビー事件)
 
安保理決定の拘束性
 第7章下の決定には法的拘束力(25条、2条5、48条・49条)
 安保理は平和の維持に「主要な責任」を負い、かつ「この責任に基づく義務を果たすにあたって加盟国に代わって行動する」(24条1)ための法的な保障と強制措置の足並みをそろえる目的
 ナミビア事件では、安保理決定の拘束力は第7章のみならず24条・25条に従って取られる決議にも適用されるとするが、解釈の異論がある
 
5強制措置
 ⑴ 暫定措置 40条
 39条の事態をの存在を認定した場合、直ちに強制措置を講じるのではなく、適当な勧告や必要と認める暫定措置を要請することができる(39条・40条)
 ⑵ 非軍事的措置 41条
  経済制裁、交通・通信手段の中断、外交関係の断絶
 ⑶ 軍事的措置 42条
  平和の回復のために41条の措置では不十分であると認めるときは軍事的措置を取ることができる 憲章上、当該措置は安保理との間に結ばれる特別協定に基づいて編成される国連軍によって遂行されることが想定(43条)しかし、冷戦下における国連軍の規模や編成について対立が顕在化
  これまでの軍事的措置:安保理の勧告=朝鮮戦争国連軍 授権方式=湾岸戦争多国籍軍 その他、ソマリアルワンダ、ザイールの内戦、ハイチ・シエラレオネのクーデタ、リビアカダフィ
 ⑷ 授権方式の軍事的措置
 加盟国に武力行使を授権=許可する多国籍軍型の形態と、国連が行うPKO自衛権の行使を超える武力行使を是認するものに分けられる
 湾岸戦争に対するイラク:即時無条件撤退要請決議(決議660)経済制裁決議(決議661)による改善なし 「必要なあらゆる手段を取ることを許可する」決定(決議678)
 決議には根拠規定の明記なし(ただし、批判する学説は少数説):42条に含まれる非拘束的=勧告的軍事行動とみる立場 軍事的措置は拘束的・強制的行動を想定したものであるが、必ずしも非拘束的軍事的措置を排除したものではない cf.イラク戦争では英米は安保理の授権を欠いていたケース
 ⑸強制措置の性格と限界:任務の本旨は秩序の「維持または回復」であるので、純立法的・司法的決定に踏む込むことはできないと解される ex.一般的な法規範の創設
 
6地域的機関と強制措置
 地域的紛争に関係する地域的機関による解決の推奨(52条)ただし軍事的措置は安保理の「許可」が必要(53条)cf.1999年NATOによるユーゴ空爆
 
7総会による安全保障
 「平和のための結集決議(決議377)」平和に対する脅威等の発生にもかかわらず、安保理が拒否権を行使し行き詰まった場合は、総会が自ら兵力の使用を含む集団的措置を加盟国に勧告しうる
 11条2項は「行動」につき安保理の付託を規定 国連経費事件では、当該行動は第7章の「強制行動」をさすとした
 

 

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