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Dancing in the Rain

Life is not about waiting for the storm to pass but about learning how to dance in the Rain.

(30)国際安全保障②

国際法
1憲章における自衛権の地位
 
 ⑴ 武力不行使原則と自衛権の関係
  憲章2条4項の定める例外としての位置付け:ただし、その対象となる「武力攻撃」は2条4項の「武力による威嚇または武力の行使」よりも狭く限定
 ニカラグア事件:「武力攻撃」とは「最も重大な形態」の武力の行使をさし、「その他のより重大でない形態」の武力の行使(武器供与、兵站の支援等)に対しては、「均衡のとれた対抗措置」に訴えることができるのみ
 
 ⑵ 伝統的自衛権の概念
  自己保存権として理解:20世紀には包括的な保存権は他国の権利侵害の口実になるとして次第に否定
  カロライン事件「自衛の必要性が急迫しており、圧倒的で手段の選択の余地がなく、熟慮の余裕がない場合」であってさらに「不合理ないし過剰なものでないこと」(ウェブスター・フォーミュラ)
 伝統的自衛権は、外国の私人や私人グループによる領域侵害等も対象とし、武力攻撃も要するものではない cf.不戦条約・国連憲章51条は狭く限定的な自衛権
 
 ⑶ 先制自衛 anticipatory self-defense: 2002年の米政府の「国家安全保障戦略」の声明はこれを肯定
憲章制定時には想定外であった核ミサイル攻撃が現実味を帯びることで自衛権問題の核心的論点に 伝統的な国際法では脅威が急迫している場合には許容される(アナン事務総長の諮問機関・2004)
「武力攻撃」の中に「武力攻撃の急迫した脅威」をも読み込む=自衛の名における「先制襲撃」の合法化 
 
 
 ⑴ 制度化の経緯:サンフランシスコ講和会議で51条が追加採択 会議直前、米州諸国はチャプルテペック協定において共同防衛措置を規定 また拒否権による集団安保体制の機能不全を懸念
 憲章はこの矛盾を解消すべく、「必要な措置を取るまでの間」、「武力攻撃」の発生を前提条件に自衛権を認める
 
 ⑵ 法的性質
  ①共同防衛説(バウエット):複数の国が同時に攻撃を受けた場合に、それらの国が共同して対処する権利=個別的自衛権の共同行使
  ②限定共同防衛説ラウターパクト):被攻撃国と政治的・経済的緊密性ゆえに、その国への攻撃が自国の安全にとって不可分な関係にある特定の諸国が取りうる権利
  ③任意的共同防衛説(シャクター):国家関係を限定せずにすべての加盟国に認められるもので、任意に行使できる
  ②は権利の濫用を抑制する効果を持つが対象国の範囲が不明確 NATO条約等あらかじめこの範囲を限定することも考えられるが、これは旧い同盟体制を事実上忍び込ませることになる
  ③は武力攻撃は全ての国に対する義務違反を構成し、いかなる国にも武力行使の法的基礎を与えるとするが、自衛の概念を超える=他国防衛説
 
 ⑶ 行使要件
  ①武力攻撃の発生、②必要性・緊急性、③均衡性に加えて、④被攻撃国による攻撃事実の「宣言」⑤非攻撃国からの支援の「要請」(ニカラグア事件、オイル・プラットフォームで再確認)
  「宣言」は他国による一方的な武力攻撃発生の認定を防ぎ、「要請」は権利行使の有資格者の範囲を大幅に限定
 
3テロ行為と自衛権
 テロの侵害行為に対しては通常の場合は関係国が国内的に対処するか、関係条約にのっとて処理する しかし、大規模なテロの場合国家はどのように対処しうるか9.11テロで問題となる
 アメリカはテロ攻撃がアフガニスタンアルカイダによるものと断定し、イギリスとともに個別的・集団的自衛権を援用しつつ軍事行動を展開(10月)
  安保理決議1368「国際の平和と安全に対する脅威」を認定 1373で第7章の措置として資金提供や支援供与の禁止を決定
  両決議はともに自衛権に言及するものの前文において一般的に確認するものであり、権利として承認したものではなかった cf.湾岸戦争時は「武力攻撃」を認定
  憲章51条は「国家による他国への武力攻撃」を前提(パレスチナの壁事件)私的テロ組織の攻撃はそれが大規模なものであっても「武力攻撃」に該当しない
 ただし、事後の慣行に基づく条約解釈の確立(条約法31条3(b))
 
Ⅳ 平和維持活動
国連システムにおけるPKOの性格
 国連平和維持活動:伝統的には紛争当事者の同意の下に国連の部隊を現地に介在させ、停戦の監視や兵力の引き離し等の措置をとりつつ敵対行為の再発・拡大を阻止する活動
  停戦監視型PKOの任務は基本的に受動的・保守的・暫定的性格を持つ cf.国家構築型PKO(1990年代)
  憲章第6章は紛争の平和的解決=「平和創出」の機能 第7章は強制措置=平和回復のための「平和強制」PKOはいずれにも属さない「平和維持」明文を欠くが国連経費事件で承認
  基本原則:国連の実践行動をとおして形成された活動形式であるので固有の法的枠組みを有さない=多種多様な任務、理念的には矛盾していても行われてきた
  ①同意原則②公平性 impartibility ③武器不使用原則(自衛以外) ガリ事務総長(平和への課題ー追補・1995)法的要件ではなく指導原則?
 
 3原則の根拠
  ⑴ 同意原則:強制措置の一環でない限り関係国の同意を必要とする ①領域主権の要請②実効性の要請 強制措置と区別する上で重要「上位原則」
   内戦時の紛争当事者の問題:全ての紛争主体の同意が必要か、中央政府が存在しない場合どうするか
  ⑵ 公平原則と武器不使用原則:全ての当事者に対して中立・不偏であることが求められる=一方の当事者を害することも利することもその任務でない 
    武器不使用は、その活動の主眼が制裁の実施や解決を強制することではないため 
 
PKOの変遷
 伝統的PKOは3原則の下に停戦監視、兵力引き離し、武力抗争の再発の防止を主任務としてきた
 憲章上の制度的枠組みを持たないため、派遣活動によってその任務・目的・性格・構成・規模を多様に変化してきた
 ⑴ 平和強制活動 peace enforcement
  第7章の強制措置と結合 当初は伝統的PKOとして派遣されたにもかかわらず、事態の進展に対応すべく任務権限が拡大強化 多国籍軍の任務を承継・連動
 第二次国連ソマリア活動 UNOSOMⅡでは、第7章の行動として必要な措置を取ることを許可(決議814・1993年)内戦の一方当事者と敵対行動を起こす事態となり撤退
 旧ユーゴの国連保護軍 UNPROFOR 第7章の行動として幾つかの安全地域の防衛のための武力的措置をとる権限を与えるとともに、各国家がこれに支援するための必要な措置を取ることを承認
 ガリ事務総長が「平和への課題」で提唱した「平和強制部隊」の実行版と言えるが、2つの活動が失敗に終わったことで軌道修正 
 ⑵ 国家構築型
  内戦で疲弊した国家の再建に従事する形態のPKO=「紛争後の平和構築」機能
  包括的平和協定に基づき国家再建を究極目標とするため、秩序回復、武装解除、選挙監視、難民の帰還、人権の保護、統治組織の再建、など大がかりの任務を必要とす 編成も軍事部門、民生部門、行政部門等大規模なもの
  国連ナミビア独立支援グループ(1989)が嚆矢 その後、国連カンボジア暫定統治機構 UNTAC (1992)東ティモール暫定行政機構・コソボ国連暫定行政機構(1999年)
  後2者は第7章を基礎=平和強制型と異なり、それ自体を主目的とするのではなく、不測の事態に効果的に対処するため 依然としてPKOの性格を残す
 
3日本とPKO
 PKO協力法(1992):当初は停戦監視や武装解除などの本体業務への参加を凍結=後方支援に限定 2001年法改正により解除
   条件①紛争当事国間の停戦の合意②日本参加に対する受け入れ国・当事国の同意③活動の不偏性・中立性の維持④以上の原則が満たされなくなった場合の撤収⑤武器使用の最小限の制限
 

 

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