Dancing in the Rain

Life is not about waiting for the storm to pass but about learning how to dance in the Rain.

(32)武力紛争法②

Ⅲ 武力紛争の犠牲者の保護
 
1傷病者の保護
 第1回赤十字条約(1894年)からジュネーブ傷病者条約(第一条約)
自国の権力内にある軍隊の傷病者は性別・人種・国籍・宗教による差別なしに人道的に待遇・看護されなければならない
 第一追加議定書は「軍人であるか文民であるかを問わず」看護を必要とするもので敵対行為を行わないものを含む(8条)
 
2捕虜の待遇
 ⑴ 条約上の待遇制度:ラテラン条約(キリスト教徒の奴隷化禁止)、ハーグ陸戦規則の捕虜規定(4条、20条)、1929年捕虜の待遇条約、1949年ジュネーブ捕虜待遇条約(第三条約)
   捕虜資格:当事国の正規の軍隊構成員とその一部をなす民兵隊・義勇兵の構成員のほか、当事国のその他の民兵隊・義勇隊であって、①指揮者の存在②特殊標章の装着③公然たる武器の携行④戦争の放棄の遵守を満たすもの(4条) 後者はレジスタンスの構成員等 第一追加議定書はさらにゲリラ戦を考慮して資格を拡大
   議定書は正規兵・不正規兵の区別を排除し、「すべての組織された軍隊、集団及び団体」を一律に紛争当事国の軍隊とし、かつその構成員として敵対行為に参加するものでそのものが敵の権力内に陥った場合は捕虜となる(43条)戦闘員の資格を持たない傭兵には捕虜資格は与えられない(47条)敵国の部隊の下で参加した自国民にも適用されない
 ⑵ 捕虜の待遇:常に人道的に待遇されなければならず、捕虜の生命身体への重大な危害はもとより、捕虜に対する報復も禁止 待遇については抑留国が責任を負う
  抑留する場合は、戦闘地域から離れ、良好な健康の維持に必要な食料・衣服等が供給されなければならない 敵対行為終了後は、捕虜は遅滞なく釈放送還されなければならない
 ⑶ 裁判例
  シベリア抑留事件:ジュネーブ捕虜待遇条約66条と68条の強制労働に対する補償義務
   東京地裁は、本条約が成立する前に原告らは捕虜たる身分を終了していたので本条約は適用されないとし、また「自国民捕虜補償の原則」は慣習国際法として確立していなかったとして棄却
 
文民の保護
 1949年ジュネーブ文民条約は原則として紛争当事国の領域及び占領地域内にいる敵対国の国民のみ(4条)第一追加議定書は無国籍者と難民を含む
人道的取り扱いと共に、紛争当事国から退去する権利を拒否し得ず(35条)、強制移送・追放を禁止(49条) パレスチナの壁事件では49条6項違反を認定
 
Ⅳ 武力紛争法の履行確保
 
1復仇行動 reprisal action
  相手国の方違反があるときにこれを阻止中止させるために自らおも相手国に対し法の違反で持ってたいこうすること
  正当化のためには、相手国への事前の警告、他の合理的な方法の欠如、相手国の先行違法行為との均衡性
  ジュネーブ4条約は復仇行動が正当化される場合を大幅に制限し、これらの条約の被保護者に対する復仇行動は一律禁止 第一追加議定書では、禁止の範囲を拡大 ex.文化財・礼拝所
 
2当事国による違反者の処罰
 通例の戦争犯罪は交戦国による処罰が行われてきた 第二次世界大戦後は、新たに「平和に対する罪」と「人道に対する罪」が戦争犯罪として国際法廷が組織
 ジュネーブ4条約は、「重大な違反行為」につき、各締約国がその違反を捜査し、自国の裁判所に公訴を提起すべきものとした
 
3第三者による履行確保
 利益保護国の制度:紛争当事国が指定する利益保護国の協力と監視のもとに法の適用を確保
 
4国際刑事裁判手続
 
Ⅴ 中立制度の地位
1伝統的中立制度
 戦争状態の発生と共に交戦国間では交戦法規が、交戦国とその他の国との間には中立法規が適用
 中立法は公平原則と不関与原則が適用 中立国の通商活動等を確保する目的
 中立義務①黙認義務②避止義務=軍事的支援を差し控える③防止義務=自国の領域が交戦国の軍事目的に使用されることを防止
 国家が平時に有する権利・自由が交戦国との関係で制限、一方で、交戦国は中立法上認められる中立国の行動の自由を妨害しない義務を負う
 アラバマ号事件(1872):南北戦争の際のイギリスの中立義務違反を認定 国際仲裁裁判の雛形を提示
 
2中立制度の動揺
 戦争の違法化=違法な戦争に訴えた国に対する不関与・公平は制度趣旨に反する
 国連の強制措置が決定した時は違反国との間に「中立関係」は成立しないものと解される
 国連の特別の決定がない場合:自動的中立説と個別的決定説=中立を取ることも、被害国を支援することも各国が独自に判断できるー集団的自衛権との関係
 

 

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