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Dancing in the Rain

Life is not about waiting for the storm to pass but about learning how to dance in the Rain.

(3)国際裁判管轄②

 (2)事件類型ごとの管轄:準拠法と異なり、複数国に認められても構わず、原告が提訴する国を選べるというのはわが国を含めた国際的な通説。3条の3以下では特定の事件類型ごとに特定の内容の訴えに限って管轄権が認められる。これは、当該事件類型が法廷地である我が国と客観的に関連しているからである。【事件との客観的な密接関連性】

 ①契約債務履行地:債務者は履行地が日本である場合、履行地において履行義務を負っているので、我が国で提訴されることを甘受すべきである。不法行為などの法廷債務は除外。(売買債務の目的物不引き渡し等債務不履行に基づく損害賠償請求は適用範囲)基準となる債務は訴訟で履行を求められている債務である。履行地は、まず、契約中で合意した場所による。合意なき場合は、契約準拠法による任意規定で補充されて決定。通則法7条により、当事者が合意していた場合は契約によって選択された法が準拠法となる。しかし、当該合意がない場合に通則法8条によって客観的に決まるとしても、この場合は債務者が提訴されることを想定するものではなく、国際裁判管轄は認められない。
    
一  契約上の債務の履行の請求を目的とする訴え又は契約上の債務に関して行われた事務管理若しくは生じた不当利得に係る請求、契約上の債務の不履行による損害賠償の請求その他契約上の債務に関する請求を目的とする訴え 契約において定められた当該債務の履行地が日本国内にあるとき、又は契約において選択された地の法によれば当該債務の履行地が日本国内にあるとき。

 ②財産所在地:前段は請求の目的が日本国内にある場合。ex.契約の債務履行地は外国であるが引き渡し目的物が日本国内に所在している場合。後段は、金銭支払請求につき差し押さえることのできる被告の財産が日本国内にある場合。後者の場合、契約と無関係な被告の財産が日本に所在する場合にも認められることになり不合理。本来は事件と関連する外国法廷で判決を得た後、日本で執行することを求めるべきであるが、外国判決の執行承認制度の現状では認められるとは限らない。そのような可能性に配慮し、原告の権利の実現を確保する趣旨。


三  財産権上の訴え 請求の目的が日本国内にあるとき、又は当該訴えが金銭の支払を請求するものである場合には差し押さえることができる被告の財産が日本国内にあるとき(その財産の価額が著しく低いときを除く。)。
      
 ③事務所・営業所所在地および事業活動地:被告の法人の主たる事務所または営業所が外国にある場合は管轄を認めることはできない(3条の2③)しかしながら4号は、日本にある事務所または営業所の業務に関連するものについては管轄権を認める。5号は、事務所・営業所を持たずに我が国で事業活動を行う外国法人に対しても同様に考えられることから認めている。


四  事務所又は営業所を有する者に対する訴えでその事務所又は営業所における業務に関するもの 当該事務所又は営業所が日本国内にあるとき。
五  日本において事業を行う者に対する訴え 当該訴えがその者の日本における業務に関するものであるとき。

 ④不法行為不法行為のあった地が日本国内にある場合。通常、証拠が所在していることで事案との十分な関連が認められることや、被告である加害者もその地での提訴は十分に予想できる。加害行為地と結果発生地が異なる場合、すなわち隔地的不法行為の場合、いずれが不法行為地か問題となる。準拠法と異なり複数管轄を認めても良いことから、加害行為地と結果発生地のいずれに認めても良い。いずれの地も不法行為に関する訴えを審理するのに十分な関連を有しているし、もし加害行為地だけに限定すると、それは加害者たる被告の住所地と一致することとなり、3条の2とは別に規定する意味が薄れることになる。しかし、日本で結果が発生することが予測困難な場合は、加害者も日本での提訴を想定できないから、8号かっこ書きはこのような場合には管轄を認めない。また、「不法行為に関する訴え」には、民法所定の不法行為に基づく訴えに限られるものではなく、違法行為により権利利益を侵害され、または侵害されるおそれがあるものが提起する差止請求に関する訴えも含むと解される。この場合「不法行為があった地」とは違法行為が行われるおそれのある地や、権利利益の侵害されるおそれのある地を含む。


八  不法行為に関する訴え 不法行為があった地が日本国内にあるとき(外国で行われた加害行為の結果が日本国内で発生した場合において、日本国内におけるその結果の発生が通常予見することのできないものであったときを除く。)。


 ⑤不動産所在地:不動産に関する訴えについて証拠調べにつき、登記簿や不動産自体があるため便宜的。所有権等物権の確認訴訟、所有権に基づく返還請求や妨害排除請求、不動産引き渡し請求などが含まれるが、賃料請求等は含まれない。


十一  不動産に関する訴え 不動産が日本国内にあるとき。
 
 ⑥専属管轄:専属管轄は、他の管轄原因を排除する。法人の設立登記の無効の訴えなど主に法人の組織内部関係に関する訴え、登記または登録に関する訴え、知的財産権のうち設定の登録により発生するものの存否または効力に関する訴えという3類型については専属管轄を認める。外国裁判管轄の合意も効力を有しない。間接管轄によっても排除され、外国判決を承認できない。専属管轄を認める根拠につき、客観的な密接関連性、紛争処理の一国への集中による便宜、国家主権の保護、強行的な政策の貫徹、などが考えられる。

 

第3条の5 会社法第7編第2章に関する訴え、一般社団法人法第6章第2節に規定する訴え、その他これらの法令以外の日本の法令により設立された社団又は財団に関する訴えでこれらに準ずるものの管轄権は、日本の裁判所に専属する。
2  登記又は登録に関する訴えの管轄権は、登記又は登録をすべき地が日本国内にあるときは、日本の裁判所に専属する。
3  知的財産権のうち設定の登録により発生するものの存否又は効力に関する訴えの管轄権は、その登録が日本においてされたものであるときは、日本の裁判所に専属する。