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Dancing in the Rain

Life is not about waiting for the storm to pass but about learning how to dance in the Rain.

(14)海洋法②

国際海峡
 領海12カイリ制の確立にともない、国際的航行に使用される多くの海峡は領海化されることになる一方で、海峡は海上通商の要衝として船舶の通行がとくに重視される

 伝統的国際法の下では領海化された国際海峡には「強化された無害通航権」が適用されてきたが、海洋法は新たに「通過通航権」を創設

1強化された無害通航
 通常の領海の通航に比べて強化:
  ①沿岸国はその海峡の無害通航制度を停止することはできない(45条②)沿岸国による当該海峡の閉鎖等の措置を禁止
    cf.通常の領海では、自国の安全の保護のために不可欠である場合(25条③)

  ②軍艦の通航権が認められる「平時においては国家はその通行が無害であることを条件に、公海の2つの部分を結ぶ国際航行に使用される海峡において沿岸国の事前の許可を受けることなく自国の軍艦を通行させる権利をもつ」(コルフ海峡事件)

  ③潜水艦を含む潜水船は浮上航行しなければならず、外国の航空機は海外上空の飛行権を有しない

 国際海峡の基準
  ①地理的基準=公海の2つの部分を結ぶ海峡 →領海条約で、一方が他国の領海とのあいだにある海峡も
  ②機能的基準=「国際航行」に(international navigation)に使用される海峡であること

2通過通航制度 transit passage

 第三次海洋法会議で米ソは伝統的な海峡制度に批判的 ①無害性判断の恣意性②潜水艦の潜水航行③軍用機機の上空飛行

 スペイン、モロッコ、インドネシア等海峡諸国は逆に無害通航の厳格な適用要求 英は通過通航制度を提唱
 意義:国際海峡における「継続的かつ迅速な通過の目的のための航行及び上空飛行の自由」(38条②)
 ①無害性が通行可否の直接の基準とされていない②上空飛行(軍用機含む)の自由が明記③潜水航行の可否については明示規定なし
 公海または排他的経済水域の一部分とそれらの他の部分を結ぶ海峡で国際航行に使用されるものに適用 
  それ以外には無害通航(他の国の領海との間にある海峡も含む)(45条)

3日本の海峡問題 領海法(1977)により領海を12カイリに拡大する一方、5つの海峡(宗谷津軽対馬東水道、同西水道、大隅)を3カイリに凍結 →非核三原則との関係が指摘→「自由な通航を確保することが総合的国益の観点から是非とも必要であること、‥本問題がこのような方向で国際的に解決されるのを待つのが望ましい」→海洋法条約発効後も3カイリを維持

Ⅶ 大陸棚
1制度的発展
 大陸棚が国際法上問題となったのは第二次世界大戦後のこと=大陸棚に関するアメリカのトルーマン宣言(1945年)
 同宣言は、アメリカの沿岸の大陸棚の海底と地下資源は米に属し、同国の「管轄と管理」に服するものとする
 各国は相次いで大陸棚宣言・立法、国際法委員会は不統一と混乱を収拾するため大陸棚条約の草案作成に着手

 1958年大陸棚条約 北海大陸棚事件では、同条約の1条から3条までの規定は慣習法規則を反映したものとした
 1982年国連海洋法条約第6部:大陸棚の範囲等を修正して58年の条約を踏襲

2範囲
 ①領土の自然の延長をたどる大陸棚辺縁部の外縁まで(棚状部分、大陸棚斜面、コンチネンタル・ライズを含む)
 または②領海基線から200カイリの距離までの海底(76条)
  延長幅の最大限度は、基線から350カイリの線または2500メートルの等深線から100カイリ沖の線まで
  いずれも沿岸国の判断に委ねられるが、措置は国連大陸棚限界委員会の承認を得なければならない
 ②につき、200カイリに満たない場合でも、200カイリまでの海底までの一律に沿岸国の大陸棚とする

3沿岸国の権利
 沿岸国は「大陸棚を探査し及びその天然資源を開発するため」の「主権的権利」を有する(77条①)
 オデコ会社事件(昭和57年、東京地裁):大陸棚での外国法人の活動に対する「主権の一側面たる課税権を当然に含む」
 主権的権利:大陸棚に対して沿岸国に対して沿岸国が排他的で独占的権利を有すること、またそれが、無主物でも共有物でもないことを示す概念として導入 cf.主権とは区別 大陸棚そのものに対する主権的権利ではなく機能的権利にすぎない
 

排他的経済水域

1沿革
 1970年国連総会は73年から第三次海洋法会議を開催することを決定 中南米諸国は領海外の広い沿岸海域に対する資源管轄権を主張する構想を相次いで発表

 72年、アフリカ諸国のヤウンデ宣言は、200カイリ水域の排他的経済水域を提唱 当時台頭しつつあった新国際経済秩序構想の下に、自国の天然資源に対する永久主権の観念を海に投影

 74年、国連海洋法条約第5部に取入れ 早い段階でコンセンサス 一人歩きで各国の立法措置

2法的性格

 ⑴沿岸国の権利
  ①天然資源の探査、開発、保存、管理のための、および経済的目的のその他の調査・開発活動のための「主権的権利」
  ②人工島、海洋構築物の設置、海洋の科学調査、海洋環境の保護・保全のための「管轄権」(以上56条)
  主権的権利は上部水域のみならず、海底とその地下にも及ぶが、条約は海底部分は大陸棚の規定によるとする
  資源の「最適利用」を促進する目的で各国はその「最大持続生産量」を維持しつつ自国水域内での許容漁獲可能量と自国の漁獲能力を決定するものとし、そこに余剰分が生ずる時は協定を通して他国の入漁を認めなければならない(61・62条)

 ⑵諸外国の権利
  資源に対しては沿岸国が主権的権利を有するものの、同水域の利用、船舶航行、上空飛行、海底電線及び海底パイプラインの敷設についてはすべての国に自由な使用が認められ、追跡権の行使や海賊の取り締まりなど他国の権利行使も可能(58条)

 ⑶性格
  資源の利用と管理に関するかぎり沿岸国の権限に服する海域であるが、他方、交通・通信等についてはなお従前の公海としての性格を止めている。

 ⑷大陸棚の権利との異同
 ①権利の発生原因とその性格
  大陸棚:領土の自然の延長をなすものであり、それゆえに大陸棚の存在という自然的事実によって沿岸国は「当然かつ原初的」に、すなわち「特別の法的手続」を要することなく排他的かつ固有の権利を有する(北海大陸棚事件)
  EEZ:沿岸国のその設定意思の表明が必要
  リビア・マルタ事件では、経済水域の制度は慣習法の一部をなすとしたが、それは条約発効前でも効果を有するということを表現したにすぎない 後天的権利としての性格
 ②排他的権利性
  大陸棚:主権的権利は完全な排他性を持つ(77条②)
  EEZ:上述の制限 また余剰分がなくとも途上国たる内陸国との地理的不利国の継続的な開発参加の規定(69条)
 
排他的経済水域と大陸棚の科学調査
 沿岸国による同意方式:もっぱら平和目的でかつ全人類的利益のための科学知識を増進させるものは「通常の状況においては同意を与える」ものとし、他方、それが天然資源の探査開発に直接影響を及ぼすもの、あるいは採掘、爆発物の使用等を伴う場合は「裁量により同意を与えないことができる」とした(246条)

4島と排他的経済水域
 島「自然に形成された陸地であって、水に囲まれ、高潮時においても水面上にあるもの」(121条①)
 島は、独自の領海、大陸棚、排他的経済水域を有する。ただし、「人間の居住または独自の経済的生活」を維持できないものはとして、それらを有することはできない。

 

 

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