Dancing in the Rain

Life is not about waiting for the storm to pass but about learning how to dance in the Rain.

(1)譲許表

1.譲許表 Schedule

【原則】GATT第2条1項:譲許表に定めるよりも不利でない待遇(no less favourable )を譲与する義務

(a) 各締約国は、他の締約国の通商に対し、この協定に附属する該当の譲許表の該当の部に定める待遇より不利でない待遇を許与するものとする。  

【例外】GATT第2条2項:ただし、(1)第3条に定める国税、(2)第6条に整合的なダンピング措置または相殺関税、(3)提供された役務に相応する手数料または課徴金を除く

 この条のいかなる規定も、締約国が産品の輸入に際して次のものを随時課することを妨げるものではない。

  1. (a) 同種の国内産品について、又は当該輸入産品の全部若しくは一部がそれから製造され若しく生産されている物品について次条2の規定に合致して課せられる内国税に相当する課徴金
  2. (b) 第六条の規定に合致して課せられるダンピング防止税又は相殺関税
  3. (c) 提供された役務の費用に相応する手数料その他の課徴金

【ポイント】

 原則として、WTO加盟国は各メンバー国に対して約束した関税率(bound rate)を超える関税を課したり、その他のいかなる義務も課してはならない。他方で、これにはいくつかの例外があり、第3条に整合的な内国民待遇 (national treatment, NT)、第6条に整合的なアンチ・ダンピング措置及び相殺関税 (countervailing duty) 等の貿易救済措置 (trade remedies) 、関税事務手続等に伴う手数料その他の課徴金 (fees or other charges) による義務については譲許表の範囲を超えても認められる。

 なお、同条は関税についての規定であり、輸出入の量的制限については第11条が定める。関税割当 (Tariff Rate Quota, TRQ) については、量的制限を伴うものであるが、関税制度の一種であり、第2条により規律される。WTO法は譲許表の範囲内で関税を課すことについては認めているのであり、必ずしも保護主義を禁じているとは言えない。他方で、量的制限についてはこれを一般的に禁止している(ただしこれについても例外あり。)

2. 譲許表の修正

 GATT第28条1項:当初の交渉国及び主要な供給国は、実質的な利益を有する他の加盟国と協議することにより譲許表を修正することができる。

 GATT第28条2項:補償を含む交渉における交渉国は、相互主義的で交渉前よりも不利でない譲許となるように努めなければならない。

3. 主要判例

(1)DS256 アルゼンチンーテキスタイル(1998年4月22日)

【事実】アルゼンチンは繊維製品等につき以下の関税を実施。①特別最低輸入関税:繊維、衣料品、及び履物に関連する関税品目ごとに平均輸入価格を算定し、それに基づき35パーセントの義務的税率を掛けて最低関税を算出適用。②統計税:従価3パーセントの統計税を統計サービスを財政的に賄うために設定。米国は、GATT第2条 (a) 及び (b) 違反を主張。アルゼンチンは、譲許税率である35パーセントの従価税相当額を超えない限り反しない。

【争点】譲許表は従価税であるがその上限を超えなければ最低関税を設定しても第2条違反とならないのか。

【パネル報告】アルゼンチンが従価税方式で関税を約束しながら特別最低関税を利用するという事実は、同国の譲許表およびGATT2条の要件に合致しない。

【上級委報告】最低関税制度は(その適用自体ではなく)譲許表に規定された関税を超える範囲で適用される場合に2条1項(a)及び(b)違反を認定する。

(2)DS269 ECー冷凍チキン(2005年9月27日)

【事実】ECの譲許表は「加塩された」冷凍鶏肉について、他の鶏肉よりも低い関税率を適用。ブラジル産の骨なし冷凍鶏肉は加塩された鶏肉であるものの、「長期保存のため」に加塩されたものではないとして、本来の譲許表の分類とは異なる分類により高い税率の関税を適用。ECは、同分類について「保存」の意味を読み込むことによって、ブラジル産の鶏肉を低関税の枠から排除したい思惑があった。

【争点】EC 譲許表 における「加塩された(salted)」は専ら 「保存 (preservation) 」の意味を持つものと解釈でき、よって物理的に加塩されていても保存に堪えうる塩分含有がなければ 「加塩された」冷凍鶏肉に分類されないのか。

【パネル報告】ウィーン条約法条約(VCLT)第31条ないし第32条によって解釈。「趣旨及び目的」は「文脈」によって文言を確定。「加塩された」の「通常の意味」は、保存だけに限られない。文脈を検討する必要がある。

【上級委報告】前提として、条約解釈は終局的に一体化した営為 (holistic exercise) であり、特定の状況の勘案は、「通常の意味」、「文脈」のいずれの名目でも解釈の結果に影響しない。統一システム (HS) は、条約法条約第31条2項 (a) の「合意」であり、解釈上の「文脈」となり得る。同条約第31条3項 (b)の「事後の慣行」について、ある程度の加盟国による慣行と少数国による慣行は異なるが、反応の不在による慣行の受容は、(当該実行が)既知となったにもかかわらず反応がない場合に起こりうる。 

【結論】ECはGATT第2条に違反(「加塩された」の定義により、よくかつ均一に食塩を浸透させ、塩分含有量が重量で 1.2%以上の骨なし冷凍鶏肉は、この文言に含まれるため、これと異なる分類により高い関税を課すことで不利な待遇を供与している。)。