Dancing in the Rain

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(5)年次有給休暇(国家公務員試験対策:労働法)

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国家公務員試験択一試験用にまとめたものです。2015年度以降の法改正については反映されていません。

現行法上の休暇

  • 年次有給休暇(労基39条)、産前産後の休暇(65条)、生理日の休暇(68条)など
  • 使用者は一定の要件を満たした労働者に法所定の日数の年休を与えなければならない(39条第1項)
  • 他方で、使用者は労働者の請求する時季に与えなければならない(同⑤)

法的性質

  • 形成権説と請求権説:判例は、法定の要件が満たされることで当然に発生し、労働者がその範囲内で時季指定をした時は、使用者が時季変更権を行使しない限り年休の効果が発生すると判示(二分説)=年休権と時季指定権
  • 年休権の発生:雇入れの日から起算して6ヶ月以上継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者に継続または分割した10労働日以内(労基39条)
  • 6ヶ月を起点として20日になるまで1年ごとに加算
  • 労使協定により時間単位で付与することができる(年に5日を限度)(労基39条④)
  • 取得日の賃金は、平均賃金または所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金のいずれかで算定(就業規則、これに準ずるもので定める)
  • 労使協定で定めれば、健康保険法99条①に定める標準報酬日額に相当する金額で支払うこともできる(労基39条⑦)
  • 時間算定:業務上の疾病、産前産後の休業期間は、全労働日に含まれ、出勤したものとみなされる(労基39条⑧)無効な解雇による場合も同じ(判例
  • 「全労働日」は「労働者が労働契約上義務を課せられている期間」であって、法定外休日は含まれない=実質的な判断(判例

使用者の時季変更権

  • 使用者は「事業の正常な運営を妨げる」と認められる合理的な理由があれば時季変更権を行使できる(労基39条⑤ただし)
  • 年休取得日における当該労働者の労務の提供が事業の運営に不可欠(業務上の支障)であり、かつ代替要員の確保が困難な場合=配慮の必要性をいう(弘前電報電話局事件)      
  • 休暇期間が開始した後に適法な時季変更権が行使されたとしても認められるケースがある=判断する時間的余裕がない場合(電電公社此花局事件)
  • 代替要員の確保が常に困難であるという状況において、労働者が年休を請求した場合、それを理由とすることは許されない。
  • 代休を提案する必要はなく、年休を承認しない旨を伝えるだけで足りる(電電公社此花局事件)
  • 使用者は労働者がその権利として有する年次有給休暇を享受することを妨げてはならず、また、実現するよう配慮する義務を負う(弘前電報電話局事件)
  • 長期かつ連続する年休の取得請求に対し、使用者は時季変更権の行使にある程度の裁量権を有する(時事通信社事件)ただし、事業計画及び休暇予定との調整は考慮しなければならない。

年休自由利用の原則

  • 他の事業場における違法争議の支援目的でも、年休権の行使は適法(白石営林署事件)
  • 一斉休暇闘争のための年休請求は、年休権として認められない=賃金請求権は認めらない(白石営林署事件)
  • 時季指定してたまたま所属組合がストに突入したので、争議行為に参加する意図でそのまま休暇を取った場合も同様(津田沼電車区事件)
  • 時季変更権を差し控えるか否かを判断するために使用理由を尋ねるのは差し支えない(判例
  • 計画年休制度(労基39条⑥)労使協定によって各労働者の「5日を超える分の年休日」を計画的な年休消化のために用いることができる(=5日は各労働者に留保)これに反対する労働者にも及ぶ。

年次有給休暇のその他の問題点

  • 年休権の消滅時効は2年
  • 年休権の買い上げは違法 時効消滅した分について支給しても違法ではない
  • 禁止事項:①賞与の算定で年休取得日を欠勤扱いにすること(エス・ウント・エー事件)②年休取得日が多いことを理由に昇給昇格で不利に扱うこと。ただし、皆勤手当を控除する措置は、抑制効果が少ないため無効でない(沼津交通事件)

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