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(24)国際法における個人 I 国籍と外国人の地位

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国際法における個人、まずは国籍と外国人の地位についてです。国有化と今セッション契約についてもまとめています。写真はオランダ・アムステルダムから。個人的にはヴェニスよりもお気に入りの運河の街。

 

国籍

  • 国籍(nationality) :人を特定の国家と結びつける法的な絆。近代国家はその構成員たる国民の存在を前提。
  • 人は国籍の取得によって場所を問わず本国の統治権に服する(国家管轄権の属人主義)国籍付与は国家の文化・経済・国防上の観点だけでなく、国際法秩序の維持にとっても持つ意味が大きい。
  • 個人にとっては、国内的保護を受けるとともに、国際的には本国の外交的保護権の享受の前提条件となる。

国籍付与の基本原則

  • 国籍付与は国家の国内管轄事項とされてきた。ex.国籍法抵触条約(1930年)、チュニス・モロッコ事件、ノッテボーム事件
  • 国籍の得喪に関する各国国内法は不統一、よって抵触の問題。
【判例】ノッテボーム事件:リヒテンシュタインのグアテマラに対する外交的保護権の行使を否定。
リヒテンシュタインに長期居住した事実はなく、また帰化後も定住する意思がなかったことから、両者の間には「真正な結合」が欠如しているので、グアテマラはこのような状況で与えられた国籍を承認する義務はない
  • 同判決は、元来重国籍者の国籍の認定に際して、実際上もっとも関係の深い国の外交的保護のみが認められるとする国際法の規則であって、本件では、これを帰化による国籍付与の国際的効力の要件として定式化したもの。

国籍の取得

(1)先天的取得:血統主義と生地主義
(2)後天的取得:帰化 ①公法上の契約説と②単独行為説。しかし、付与した国籍は国家の裁量で任意に奪うことができるものではなくその法的効果に重要な差異を生むものではない。一般的要件、一定期間の定住、行為能力、素行の善良性、独立的生活能力などの要件。

国籍の喪失

①個人の意志に基づく喪失、②一定の身分行為に基づく自動的喪失、③剥奪。日本国憲法は①を保障(22条)しているが、国籍法では外国籍の取得をその前提条件としている。②は、外国人との婚姻によるもの。戦後は夫婦国籍独立主義。③は規定なし。 

国籍の抵触

  • 国籍法制の理想:①国籍唯一の原則、②国籍自由の原則 ex.世界人権宣言
  • 国籍の抵触:国籍付与の条件がそれぞれの国の規律事項であることに起因。
  • 積極的抵触=重国籍(抵触条約4条):国籍国相互間では外交的保護権を行使できない。今日では「実効的国籍の原則」が一般化。第三国との関係(抵触法5条):当該個人の常住的住所を持つ国ないしもっとも深い関係を有する国籍国のみ外交的保護が認められる。 

法人の国籍

  • ①設立準拠法国、②本拠所所在地、③実質管理地(支配的株主の国籍等)
  • バルセロナ・トラクション事件:①②が伝統的には基準とされてきた。「真正な結合」の要件は一般には適用されない。
  • 会社の株主の外交的保護の行使につき、株主自身の権利が侵害された場合を除き、一般的には認められない。 

外国人の地位

外国人の出入国

国家の安全と秩序維持のための主権作用と相互依存を深めた現代国際社会における諸国家の交流と協力の促進は国際的要請。外国人の出入国に関する規制には両者のバランスに配慮が必要。
(1)入国と在留
  • 一般国際法上、国家は特段の条約上の取り決めがある場合を除いて、外国人の入国を認めるべき義務を負わない。
  • 入国の拒否は国家の裁量事項であるが、入管法制は法の手続きに基づいて公正に行わなければならず、恣意的な差別は認められない。閉鎖的入国拒否も認められない。
  • 在留期間の更新には、日本では法務大臣の広い裁量が認められている(マクリーン事件)
  • 再入国の許可:「何人も自国 his own country に戻る権利を当然には享受し得ない」(自由権規約12条④)自国とは「国籍国」を指す(キャサリーン事件)定住者・永住者を含む(一般的意見27、1999年)
(2)出国と追放
  • 自発的な退去を禁止することはできないが、国の安全、公の秩序、公衆の健康、犯罪容疑、刑の執行等特別の理由がある場合は別(自由権規約12条2・3)
  • 強制退去:①追放 expulsion ②退去強制 deportation ③犯罪人の引渡し extradition。①は通常、合法的に入国した外国人に対してなんらかの理由で退去を強制するもの、②は不法入国・不法残留。
  • 追放は、手続的要件・実体的要件が厳格化。実体的要件:正当事由の有無、手続的要件:法律に基づくこと。 ex.自由権規約13条 

滞在国における地位

  • 18世紀以来、滞在国の統治下にあり、法令・裁判権に全面的に服することが確立。権利能力や行為能力、訴訟の当事者能力は認められ、土地所有・船舶所有などは制限される。
  • 政治活動の自由:在留制度の枠内で認められる(マクリーン事件) cf.欧州人権規約16条では明記。
  • 参政権:国政では一般的に否定される。 ex.自由権規約25条:「すべての市民  every citizen」国民主権=正統性の問題。ただし、地方自治につき、住民自治=永住者等密接な関係を有するに至ったものとする有力説。
  • 処遇基準:国家は外国人の身体・権益が不当に侵害されないよう司法・行政上、「相当の注意 due diligence」義務を負う
  1. 国際標準主義: doctrine of international  minimum standard 文明国が与える保護を最低水準とする 。
  2. 国内標準主義:内国民と同等の待遇で足りる。ラ米・アジア諸国 
  • 前者が有力 ex.シェブロ事件(1931年)、ニーア事件(1926年)ただし、一律に扱うのは困難であり、また、条約や国際文書によりあらたな基準があらわれたとする説。

コンセッションの破棄と国有化

コンセッション concession
  • コンセションとは、経済開発等を目的として途上国政府と(多くの場合先進国の)企業が結ぶ協定。
  • 法的性格:
  1. 国内契約説:あくまで国内法によって規律されるため、一方的破棄は国際法違反を構成しない。ex.セルビア公債事件、アングロ・イラニアン事件
  2. 国際協定説:なんらかの形で国際法に依拠。一方的破棄は国際法違反。 
  【判例】テキサコ事件(1977年):①「法の一般原則」を準拠法としていること、②紛争解決方法に仲裁を指定していること、③単なる個別契約等よりも長期の経済的協力協定たり性質を有していること=「契約の国際化 internationalization of contracts」
国有化 nationalization 
  • 国有化とは、国の経済的・社会的体制の変革の一環として特別の立法措置の下に、一定の産業分野の私的財産を国家に移転すること。
  • 戦後、社会主義国による実行と旧植民地国による実行が多く見られた。ex.エジプトによるスエズ運河の国有化

国有化の合法性要件

  • 国有化自体は領域主権の発動であり、国際法上禁止されてきたわけではない。また、コンセッション契約中の「安定化条項」も国有化そのものを制限するものではない。
  • 他方で、投資国=先進国企業の投資リスク低減と利益保全に対する合理的期待を保護する必要性。また安定的な投資環境を整備することは投資国と被投資国、ひいては国際経済とって有益。どのような場合に国有化が正当化しうるかの基準が問題となる。
(1)公益原則
国家の公共目的があること。しかし、実施国の広範な裁量に服する。リアムコ事件では動機は問わない。
(2)無差別原則
内国民と同等の扱いであること。BP事件では、リビアによる「無関係な政治的理由」によっており、「恣意的かつ差別的性格」を持つとして、同原則違反を認定。ただし、アモコ事件:「十分な事由」による場合は、このかぎりでないとした。
(3)補償原則
  • 最大の争点
  • ハル三原則(1938年):十分で、実効的かつ迅速 adequate, effective and prompt な補償。完全補償=収用時の市場価格で、国際的通用力を有する通貨で、時間的早期に補償=ヨーロッパ私有財産尊重。
  • 1962年永久主権決議「適当な補償」 appropriate compensation 1973年同「各国国内法に従う」
  • 世銀ガイドライン(1992年):三原則は個別的収用に適用し、「包括的で非差別的な場合は当事者の交渉・仲裁。
【判例】アモコ事件:合法的収用は「受けた損害」の賠償、違法な収用は「逸失利益」をも含む。 

外国投資の保護制度

収用・国有化により、事業参加、合弁事業、技術指導の促進を優先。条約によって海外投資を促進。
  1. 2国間投資保護条約(bilateral investment treaty, BIT):投資許可、投資財産の最恵国待遇・内国民待遇、収用の要件と補償、請求権の代位。
  2. 投資紛争解決センター( International Centre for Settlement of Investment Dispute, ICSID):世銀主導の投資紛争解決条約(1965年)により創設。「調停」と「仲裁」による紛争解決。
  3. 多国間投資保証期間の創設(MIGA)

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