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(33)国際紛争の平和的解決 II 国連安保理・WTOの紛争解決と仲裁裁判制度

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国際紛争の平和的解決その2です。国際機構による紛争解決システムとして安保理及び国際貿易機関(WTO)を取り上げました。また、仲裁裁判制度についてもまとめています。(なお、WTOについては国際経済法として別立てで記事を作成しています。)。

 

国際機構による紛争解決

  • 相互依存の深化:多様な国際機構の創設=国際法の発展に重要な役割
  • 国連の主要な任務は国際紛争の平和的解決
  • その他の機構においても独自の解決システムを整備している場合あり。ex.国際労働機関や国際民間航空機関 

安保理の紛争解決

(1)紛争の付託
  • 当事国の付託:平和的解決手段によっても解決できない場合は安保理に付託(37条)一方的付託は可能と解釈される。
  • 当事国以外の付託:他の加盟国(35条1)総会(11条)事務総長(99条)に平和脅威型の紛争について「安保理の注意を促すこと」ができる。
(2)安保理の勧告
  • 紛争・事態の付託があった場合でも安保理は必ずしもこれに機械的に対応する義務を負うものではない。
  • 「紛争の継続が国際の平和及び安全の維持を危うくする恐れが実際にあると認めるとき」は36条に基づく行動をとるか適当と認める解決条件を提示するかいずれかの措置を取らなければならない(37条2)
  1. 「適当な調整の手続または方法」の提示(36条1)法律的紛争の場合は国際司法裁判所に付託されるべきことを考慮すべきものとする(36条3)コルフ海峡事件のみ。
  2. 解決条件の勧告:具体的な解決案の提示 ex.テヘラン事件における大使館職員の解放と出国措置の勧告。
(3)「紛争」と「事態」の区分の問題性
  • 解決のための手続的調整の勧告は紛争と事態の双方について可能であるが(36条1)、解決条件の勧告は紛争のみ(37条1)
  • 一方で、安保理は「事態の継続が国際の平和及び安全の維持を危うくする虞があるか」どうかを調査する(34条)
  • 事態とは、明確な対抗的主張がない状況を指すと言われるが、そのような状態で裁判や調停等の手続的措置を勧告してどのような意味があるか。
  • 棄権:27条3項は、第6章の表決について、「紛争当事国」は投票を棄権すべきものとする(強制的棄権)文理解釈上「事態」の当事国は表決に参加できる。 

世界貿易機関(WTO)の紛争解決

  • 1995年 世界貿易機関(World Trade Organization, WTO):1947年のGATTを引き継ぐと同時に、さらにGATTのウルグアイ・ラウンドで妥結をみたサービス貿易に関する一般協定(GATs)や貿易関連の知的所有権に関する協定(TRIPs)等を取り入れた、多角的貿易体制を発展させる機関として、1994年のマラケシュ協定に基づき創設。
  • 任務は4つの附属書群に納められた諸協定の円滑な実施を図ることで、附属書2は「紛争解決にかかる規則及び手続に関する了解 DSU」を実施することが明記。
  • GATT時代の慣行による解決手続の発展:多角的貿易体制の安定と予見可能性を企図した制度化。一般理事会の一部門をなす「紛争解決機関 DSB」による一元的遂行。
解決手続の概要
  • 協議 consultationの開始:紛争の早期解決の要請に基づく義務。相手国が10日以内に応答しないとき、あるいは要請日から60日以内に協議による解決が実現しなかった場合は、申立国は紛争解決機関にパネルの設置を要請できる。
  • パネルの設置:協議前置主義。諸協定の自国の「利益が無効にされ、若しくは侵害され、またはこの協定の目的達成のが妨げられている」と認められるときは①違反申立、②非違反申立、③状態申立としてこの手続に訴えることができる。
  • 設置の可否はネガティヴ・コンセンサス方式(自動的承認・強制管轄)で、議事日程に挙げられた要請の次の会合で実施。3名ないし5名の委員で構成され、選任は事務局の指名提案。
  • パネルの報告書と上級委員会:60日以内にパネルは最終報告書を紛争当事国に送付、上訴なき場合、60日後に紛争解決機関で採択。異議がある場合、上級委員会は報告書の法的問題ないし法律解釈のみ審査、採択された場合は無条件に受諾しなければならない。
  • 勧告の実施と履行確保:紛争解決機関の採択があった場合は、当該措置の是正のために勧告。速やかに当該国が勧告を実施できない場合は、履行のための妥当な期間が与えられるが、この期間経過後も履行されず、代償の合意もなき場合は、申立国は対象協定の譲許の停止やその他の義務の停止の承認を求めることができる。一般国際法上の「対抗措置」とは区別されたある種の国際的制裁。

国際仲裁裁判

仲裁裁判は紛争当事国の合意によって事件ごと(アドホック)に設置されるのに対し、司法裁判は一定数の裁判官で構成される恒常的法廷を有するものとされる。

国際仲裁裁判の発展

  • 古代ギリシャの都市国家間、ローマ時代は重視されず。中世に君主間の紛争増大、裁判制度の注目。ローマ教皇は特に紛争解決者としての役割。
  • 近世の主権国家体制の発展とともに仲裁裁判の実行は衰退化。裁判への服従は国王権力と相容れない。
  • グロティウス「仲裁人の決定は絶対的な効力」、ヴァッテル「重要度の低い権利」については裁判に馴染むが「明白に不当で不合理な判決」は無効とする(=無効原因論の端緒)
  • 1794年ジェイ条約、欧米・ラ米諸国で仲裁裁判は用いられ、19世紀以降、紛争解決の重要な一手段に。 cf.1872年のアラバマ号事件(英米)で仲裁裁判は広く世に認識。

常設仲裁裁判所 PCA

  • 1902年にハーグ平和会議により設置。仲裁裁判を義務化する条約の増大と仲裁裁判所の常設化ないし法廷設置の円滑化 (1899国際紛争平和処理条約)
  • 各締約国があらかじめ指名した裁判官の総名簿が常備されていること、国際事務局が常置されていること、具体的な法廷が事件ごとに設置されるのは従来どおり。
  • 利用度は低迷:仲裁裁判自体が減っているわけではない。仲裁裁判の司法化現象:審理手続、裁判準則の同一化、少数意見制の一般化、法的論証の質・量的接近=柔軟性や衡平性が減退する恐れ

仲裁裁判所の構成

  • 法廷構成の任意性:裁判官の人数や選出方法について、すべて当事国の同意による。
  • 条約で仲裁裁判が義務化された場合、相手国が裁判官を選出しない場合に備えて、特定の第三者に要請あるいは国際司法裁判所に付託できることを定めるものもある。

仲裁裁判の効力

 拘束性:判決 awardが当事国を拘束することは中世より承認。当事国は拘束されることを当然として約束。一般国際法上の原則であって、仲裁協定の規定の有無に依存しない。

仲裁判決の無効原因論
  • 「明白に不当で不合理な判決 」は拘束力を持たない(ヴァッテル)
  • 仲裁裁判モデル規則(ILC・1958年):①権限踰越、②裁判官の腐敗、③判決理由の欠如ないし基本的手続規則の逸脱、④仲裁協定の無効 cf.スペイン国王仲裁裁判事件(1990年)で争点。
  • 判決結果の自国の側からの満足・不満の尺度を持ってその受容ないし無効を主張を慎むべき。客観的判定の必要性・国際司法裁判所の関与。また、無効とされても裁判をやり直すという上級審の役割ではない。

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