この記事は、単位法律関係の個別論点(各論)のうち自然人及び法人についてまとめています。大学時代のノートを元に書いていたのですが、なぜ法人が尻切れトンボになっているのは定かではありません(おそらく力尽きたか。。。)
自然人
- 自然人について、法の適用に関する通則法(通則法)は、行為能力(4条)、後見開始審判等と失踪宣告(5条・6条)について規定。
- 権利能力の準拠法は、4条ではないが、条理または同条類推適用説がある。ただし、これは、例えば相続など他の単位法律関係と密接不可分なことがあるため、それが含まれる単位法律関係の準拠法によって決定されるべきとするのが多数説。
行為能力
- 原則として、人が単独で有効な法律行為を行うことができるかという問題は、その人の本国法によって決定される(4条1項)大陸法の伝統、国籍という確認が容易な連結点で合理性あり。
- 同条は財産的行為能力に関する法的問題に適用され、身分的行為能力及び不法行為能力については他で規定されている。ex.成年・未成年に関する規定、成年年齢、未成年者の能力補充、未成年者による瑕疵ある法律行為、営業を許可された未成年者の法律行為
- 婚姻による成年擬制は含まれるが、婚姻による行為能力の制限に関する問題については争いあり。
取引保護の例外
- 取引では迅速さが要求される一方で、本国法主義の原則を貫けば、調査に時間が不足し、相手方や第三者に不利益。能力制限者と取引保護の利益のバランスが必要となる。
- このため4条2項は、行為地法によれば行為能力者となるべきときには、当該法律行為の当時すべての当事者が法を同じくする地に所在していた場合に限って、その者を行為能力者とみなす。
- 異なる法域に所在する者の間の取引は、特別の注意を払ってしかるべき。また、主観的要件(善意等)は要件としていない。
- なお、3項に適用除外規定あり。
第4条(人の行為能力)
1 人の行為能力は、その本国法によって定める。
2 法律行為をした者がその本国法によれば行為能力の制限を受けた者となるときであっても行為地法によれば行為能力者となるべきときは、当該法律行為の当時そのすべての当事者が法を同じくする地に在った場合に限り、当該法律行為をした者は、前項の規定にかかわらず、行為能力者とみなす。
3 前項の規定は、「親族法又は相続法の規定によるべき法律行為」及び「行為地と法を異にする地に在る不動産に関する法律行為」については、適用しない。
法人
法人については、適用される法の決定に関する国際私法上の問題と外国法人に関する各国法における特別規定がどのように適用されるかという実質法上の問題が考えられる。
国際私法上の問題
- 通則法に明文規定なし。立法の基礎とするほど議論の蓄積がない。
- 明治期は法人設立の問題が各国の公益と深く関わっており、法人は各国法によって初めて存在するようになり、他の国はその法人格を認めるか否かであるとされた。
- 現在では、法人の国際的存在という問題が、私法的な問題と解され、法人の従属法という問題につき、設立準拠法主義と本拠地法主義との対立が見られるようになった。
(1)準拠法の決定
- 法人においてはその内部関係において様々な法的問題が生じるが、これらの問題に適用される法人の準拠法は単一である必要性が高い。
- 設立準拠法主義が通説となっているがその根拠は明らかでない。最近では、契約における当事者の選択の尊重という観点から説明されることが多い。裁判例は、設立地と本店所在地の双方に言及しており、その態度を明確にしていない。
(2)準拠法の適用
- 法人設立要件、設立無効原因、法人の機関・種類、性質、解任、対内的職務権限、責任、社員の資格、法人と社員の関係、社員の権利義務など。
- 設立前発起人の第三者との間でした行為の効果が法人に帰属するかについては、4条2項を類推するという説も有力。
実質法上の問題
- 民法第35条1項は、外国法人について規定。「認許」の意味は、法人格の承認を意味していたが、法人に関する国際的法律関係を法人の準拠法選択の問題として捉える一般的見解のもとでは、内国において法人として活動することが認められることを意味する。
- 外国会社に対する規制という国際的な強行法規の適用の問題、また、法人の従属法として選択される実質法の解釈の問題がある。
- 外国会社に対する規制:会社法817条から827条に規定される外国会社に対する規制はわが国における取引秩序の保護などを目的とした国際的な強行法規である。従属法のいかんを問わず適用される。
- 擬似外国会社に対する規制(省略)
民法第35条(外国法人)
1 外国法人は、国、国の行政区画及び外国会社を除き、その成立を認許しない。ただし、法律又は条約の規定により認許された外国法人は、この限りでない。
2 前項の規定により認許された外国法人は、日本において成立する同種の法人と同一の私権を有する。ただし、外国人が享有することのできない権利及び法律又は条約中に特別の規定がある権利については、この限りでない。