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【国際法判例】コルフ海峡事件 The Corfu Channel Case

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英国 v. アルバニア 国際司法裁判所(ICJ)

管轄権判決 1948年3月25日

本案判決  1949年4月9日

 

事実と経過

1946年5月 北コルフ海峡を通行中の英国巡洋艦がアルバニアの沿岸砲台から砲撃を受ける事件が発生。同海峡はアルバニア本土とコルフ島に挟まれ、アルバニアの領海をなしていた。

10月22日、英国艦隊がコルフ海峡を通行中に、一駆逐艦が触雷、大破しこれを救助した別の駆逐艦も触雷して被害を受けたほか、多数の乗組員が死傷。事件直後、英国は掃海する意図を通告。アルバニアは、領海外でない限りこれを認めないとしたが、英国艦隊は11月に掃海を実施。

英国は、安保理にこの紛争を付託(アルバニアは投票権なしでの招請を受諾)。1947年4月9日、安保理は両国政府に対し「国際司法裁判所規程に従い本紛争を直ちに同裁判所に付託するように勧告する」決議を採択。これを受けて、英国は裁判所に対し国際司法裁判所規程36条1項を根拠に一方的に付託。これに対し、アルバニアは受理許容性を争う先決的抗弁を提出。

裁判所は1948年3月25日の判決でこの先決的抗弁を却下。この直後、両国は付託合意を裁判所に通告し下記2点の問題について判断を求めた。

  1. アルバニアは1946年10月22日にその領海で生じた爆発とそれによる障害につき、国際法上責任を有し、英国に対して賠償を支払う義務があるか。
  2. 英国はアルバニア領海における軍事行動によって、アルバニアの主権を侵害したことでアルバニアに満足を与える何らかの義務を負うか。 

判決要旨

管轄権判決

  • アルバニアは、英国の一方的付託に対し、英国の提訴が不正規なものであり抗議しつつも、裁判所に出廷する用意がある旨を書簡で述べている。(1947年7月2日)
  • これは、一方的提訴は強制管轄権が存在する場合にのみ可能で、それ以外の場合は付託合意によってのみ提起しうるという前提に立っている。
  • しかしながら、規程も規則も裁判所に管轄権を付与する当事者の同意が特定の形式で表明されることを求めていない。アルバニアの同書簡は、本件における裁判所の管轄権の自発的な受諾の表明するものである。
  • よって、アルバニアの先決的抗弁を却下する。

本案判決

(1)アルバニアの国家責任
  • アルバニアには、航行一般の利益のため領海における機雷原の存在を通知し、接近しつつある英国軍艦に対し差し迫った危険を警告する義務が存在した。
  • この義務は、人道の基本的考慮、海洋交通自由の原則、他国の権利を侵害する行為のために自国の領域を使用させてはならない、というすべての国の義務に基礎をおく。
  • アルバニアは、危険海域付近の船舶に対して警告を発する時間的余裕を有したにもかかわらず、実際には事故を防止すべく何も行わなかったのであり、この重大な不作為は国家責任を引き起こす。
(2)英国の国家責任

英国艦隊がコルフ海峡を航行することはアルバニアの主権を侵害を構成するか。

  • 公海の2つの部分を結ぶ国際航行に供される海峡においては、沿岸国の事前の許可を受けることなく、通航が無害であることを条件航行する権利を有し、沿岸国はその航行を禁止する権利を有さない。
  • 地理的条件と国際航行に使用されているという事実から、コルフ海峡は平時において沿岸国が通航を禁止し得ない国際航路に属すると判断する。したがって、アルバニアは海峡通航を規制することは正当化されても、通航を禁止または許可を要求することは正当化されない。
  • よって、英国が事前の許可なく軍艦を通航させたことはアルバニアの主権侵害を構成しない。

英国のアルバニア領海における掃海活動はアルバニアの主権の侵害を構成するか。

  • 英国は、干渉理論の特別の適用及び自己保存または自助の方法であるとして主権の侵害を否定。これに対し、裁判所は、領域主権の尊重は国際関係の不可欠の基礎をなすとし、国際法の尊重を確保するために英国海軍の行動はアルバニアの主権を侵害するものだったと宣言しなければならない、とした。
  • 英国海軍がアルバニアの領海で掃海活動を行なったことはアルバニアの主権侵害を構成する。裁判所のこの宣言が適切な満足(satisfaction)を構成する。

 意義及び論点

(1)本件の先決的抗弁判決は、応訴管轄を確立した判例として著名。ただし、実際の手続は付託合意によって行われている。

(2)パルマス島判決が一般的に認めた領域使用の管理責任を具体化。伝統的な過失責任主義を維持せず。

(3)「人道的考慮」はニカラグア事件や核兵器の使用の合法性事件でも援用され、国際人道法の発展に影響を与えた。

(4)国際海峡の基準(公海の2つの部分を結ぶという地理的条件と国際航行に使用されるという事実)及び国際海峡での無害通航停止の禁止など海洋法の発展にも大きな影響。

(5)干渉理論の特別の適用や自助による正当化を厳しく退けたことは、ニカラグア事件でも援用され武力行使禁止原則と不干渉原則の発展に影響。

(6)国際海峡における掃海活動を主権の侵害となるのであれば、沿岸国が何ら対応を取らない場合、国際海峡を利用する国家は現状(status quo)を受け入れるしかないのか。

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