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(1)民事訴訟とは何か【民事訴訟法】

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独学で学んでいた民事訴訟法のまとめです。大学時代に民訴を取らなかったというちょっとした後悔から手をつけて見たもののまさに眠訴で昼休みに読むものじゃなかったですね。

 

民事訴訟の意義

目的と機能

民事訴訟制度:民事上の紛争を解決するために社会が設けた公的な手続

cf.「社会があるところに必ず法があり」→裁判例の蓄積が法の形に結晶化「法の歴史は裁判の歴史」

民事訴訟の目的論:権利保護説、私法維持説、紛争解決説、多元説、目的論棚上げ説などの学説が乱立 → 目的よりも機能について正しく認識すべき。

民事紛争解決に関わる諸制度

裁判外紛争解決ADR: Alternative Dispute Resolution)と呼ばれる裁判外の紛争解決手続。

(1)調停

第三者が仲介または助力する形態による合意型の紛争解決手段。当事者の合意に基づく紛争解決であることから感情的なしこりが残りにくく、また解決結果に同意することから任意履行が得やすい。

(2)仲裁

第三者である仲裁人に紛争解決を委ね、仲裁人の判断に服する旨を合意して行う形態の紛争解決手段。「裁断型」ではあるが当事者双方が合意をしなければ仲裁を行うことができない点で民事訴訟と相違する。手続は仲裁法により規律。仲裁判断は確定判決ど同一の効力を有し、一定の手続を踏めば強制執行も可能。当事者は仲裁地や仲裁機関を自由に選ぶことができ、また、手続きについても非公開とできるなど柔軟かつ自由度が高いため、国際的な企業間の商事紛争にて多用される。

(3)民事訴訟

「強制的」かつ「最終的」な紛争解決手段。強制的=手続の開始及び強制執行。最終的=手続開始に当事者の合意を要しないことから民事に関する紛争解決の最後の受け皿として機能。その他、手続の厳格性=高い明確性及び透明性、再審理の保障など。

民事訴訟法の法源

  1. 形式的意義の民事訴訟法:「民事訴訟法」という名称の法典(平8法109) 
  2. 実質的意義の民事訴訟法:民事の手続法の総体 ex.非訟事件手続法、家事事件手続法、民事保全法、民事執行法、破産法、裁判所法

 cf.慣習及び判例:実体法の世界では慣習法規についても法源性を認める場合あり(商1条2項、通則法3条等)。民事訴訟においては法源性を否定=公法上の法律関係における手続の安定性、透明性、画一性の要請あり。判例は法源性は否定するも先例として事実上の拘束力を有する=法源的機能ないし事実上の法源。

 cf.民訴318条①及び337条②等などの制定法が用いる「判例」は、「主論」の判決理由中で示された法律上の判断のうちの結論部分(結論命題)と結論命題の不可欠の前提となる直接的な理由部分に限るとする学説が有力。「法源的機能」としての「判例」については、制定法上の「判例」よりも外縁が緩やか。 

機能的分類

訓示規定

それに違反しても訴訟上の効力には影響が生じない(=違反しても行為や手続が無効とならない又は制裁が設けられていない)規定。ex.訴訟手続の計画的な遂行(民訴147条2)、判決の言渡し(251条①)、争点整理手続後の説明義務(167条等)

効力規定

それに違反したときは、行為や手続が無効になるなど一定の影響が生じる規定。

  • 強行規定:裁判所の裁量や当事者の意思でその効力を変更することができない。訴訟制度の根幹や原理、裁判所の正統性の基礎となる規定など遵守が強く要請されるもの。ex.専属管轄、口頭弁論の開始、当事者能力、訴訟能力
  • 任意規定:当事者の合意により規定内容を変更することや異議を述べないことで不問に付すことができる規定。前者について、「訴訟上の合意」又は「訴訟契約」と呼ばれ、民事訴訟では原則許されないが、専属管轄を除く管轄の規定や控訴権の規定は例外的に任意規定。後者について、訴訟法に固有の意味における任意規定であり、責問権の放棄・喪失(90条)という。

判決手続の基本構造

判決手続

当事者間の紛争の対象である私法上の権利関係を確定することにより、紛争解決のための基準(=判決)を作成する手続。

判決手続の基本理念

(1)公正と効率
  • 公正:「適正」=真実に即した裁判であることと「公平」=裁判所が平等に当事者を扱うこと。
  • 効率:「迅速」=手続が不当に停滞・遅延しないことと「経済」=当事者の有形無形の負担を低減すること。
(2)義誠実の原則:民訴2条

 相手方の信頼を裏切らないように誠実に行動するべきとの考え方。判例法理により事件の個別性を超えた類型的適用が認められるようになった。

(3)手続保障

憲法32条が保障する「裁判を受ける権利」を具体化するために当事者に手続主体としての地位を保障すべきとする理念。特に、当事者権の中核たる弁論権=主張・立証の機会を与えられる権利を保障すべき。

特別手続

通常の手続の他に設けられた特別の手続

  • 簡易裁判所の手続:口頭による訴えの提起(271条)、準備書面の義務なし(276条①)、一定の書面審理(277条)
  • 人事訴訟の手続:身分関係の形成・存否の確認のための特別法。客観的な真実発見の要請が高く、当事者自治の要素を後退させる必要、手続公開の制限、画一的な法律関係の確定。
  • 行政訴訟の手続:行訴訟。釈明処分の特則(同法23条の2)、職権証拠調べ(同24条)、判決効の第三者への拡張(同32条1項)
  • 各種の略式手続:手形・小切手訴訟、少額訴訟、督促手続

訴訟費用

意義

「民事訴訟費用等に関する法律」で定められた訴訟に要する費用。裁判費用=裁判所の司法サービスの提供に要する費用と当事者費用=当事者が支出する費用のうち訴訟費用として法定されているもの。

 cf.弁護士に対する報酬:訴訟費用とはされていない。不法行為訴訟において、判例によれば、「諸般の事情を斟酌して相当と認められる額」を不法行為と相当因果関係に立つ損害として求めることができる。

敗訴者負担の原則(61条):相手方は負担者に対して事故が支弁した費用の弁償を求める請求権を取得。

一部敗訴の場合は、裁判所の裁量による(64条)。共同訴訟人は原則等分だが、裁判所は事情に応じて連帯や一部負担とすることができる(65条)。

訴訟費用確定の手続

本案の終局判決の主文において、職権で訴訟費用の全部について負担の裁判をする(67条1項)。上訴裁判所は、裁判を変更するとき原審との総費用につき裁判する(同条2項)。訴訟費用の負担の独立の上訴は不可(282条・313条)。

資力が不十分な当事者の救済制度

訴訟救助(82条)=一定の訴訟費用の支払いを猶予(83条)・法律扶助=一定の範囲で弁護士費用などの立て替えを行う制度。

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