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(4)内国民待遇 I 国内税 GATT 第3条1項及び2項【国際経済法】

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国際経済法(WTO法)シリーズ第3段、国内税についてです。英語で勉強したので日本語訳は少々おかしいところがあるかもしれません。

 

内国民待遇 National Treatment(NT)とは

  • GATT 第3条1項は、課税及び国内規制の適用についての保護主義に対する原則、同条2項(及び付属書)は国内税、4項は国内規制についてそれぞれ規定。
  • 国内税については、輸入品が「同種の国内産品」に対して差別的に扱われる(=輸入品に対してより高い税率の国内税が課せられる)ことがないようにしなければならず、「同種性」がしばしば争点となる。また、直接競合品又は代替品については、輸入品と国内産品が「同様に」課税されなければならないと規定されており、この場合においても「直接競合性又は代替性」が争点となる。
  • 他にも、関税は第2条により認められているのに対し、国内税は第3条に規定があるため、両者の区別が問題となる。

GATT 第3条1項

締約国は、国税 (internal taxes) その他の内国課徴金と、産品の国内における販売、販売のための提供、購入、輸送、分配又は使用に関する法令及び要件並びに特定の数量又は割合による産品の混合、加工又は使用を要求する内国の数量規則は、国内生産に保護を与えるように (so as to afford protection to domestic production) 輸入産品又は国内産品に適用してはならないことを認める。

GATT 第3条2項

いずれかの締約国の領域の産品で他の締約国の領域に輸入されるものは、同種の国内産品 (like domestic products)に直接又は間接に課せられるいかなる種類の国税その他の内国課徴金をこえる(in excess)内国税その他の内国課徴金も、直接であると間接であるとを問わず、課せられることはない。さらに、締約国は、前項に定める原則に反するその他の方法で内国税その他の内国課徴金を輸入産品又は国内産品に課してはならない。

Ad Note2:(同種の産品でなくとも)課税品と直接競合するか代替品である製品が、同様に課税されていない (not similarly taxed) 場合でかつ、保護目的があるときも適用。

2の第一文の要件に合致する租税は、一方課税される産品と他方そのように課税されない直接的競争産品 (directly competitive) 又は代替可能の (substitutable) 産品との間に競争が行われる場合にのみ、第二文の規定に合致しないと認める。

GATT 第3条2項違反の要件

第3条2項第1文

  1. 国内税又は課徴金であること
  2. 全ての課税対象が同種の産品であること
  3. 国内産品を超える課税が適用されていること

第3条2項第2文

  1. 国内税又は課徴金であること
  2. 直接的に競争関係にあるか代替品であること
  3. 同様に課税されていないこと
  4. 保護目的であること(第3条1項)

主要判例

D S8/10/11:日本酒税事件(1997年)

【事実】

  • 日本の酒税法は、税率をアルコール度数により分類。ECは、ウォッカ、ジン、ラム及び焼酎は同種の産品(like products) であり、焼酎よりも高い税金を課していることは、GATT第3条2項第1文に違反すると主張。
  • また、同種の産品でないとしても、直競合品又は代替品(directly competitive or substitutable products) であるため、同条同項第2文に違反(ウィスキー、ブランディ、リキュールについても第2文違反を主張)。
  • これ対し、日本は、国内産業保護目的ではなく、スピリッツ類、ウィスキー、ブランディ、リキュールは、like products でなく、directly competitive or substitutable products でもない旨を主張した。

【論点】

  • 同種の産品及び直接競合品又は代替品の意義

【パネル報告】

  • 二段階アプローチ:① like products or competitive/substitutable products ② in excess or not similarly taxed
  • Like productsは厳格に解釈、その審査はケースバイケースだが、最終使用 (end uses)、消費者の嗜好 (consumer's taste and habits)、製品の特徴や性質が考慮要素として重要。
  • Directly competitive or substitutable products については、価格弾力性(elasticity of substitution) が重要となる。同様に課税されているかどうかについては、de minimis であるかどうかによる。
  • 第二文の保護目的は、(立法者意思など主観的基準ではなく)客観的基準により審査。デザイン、構造、措置のストラクチャーから判断。
D S339:中国ー自動車(2009年)

【判旨】

  • 支払うべき税金が輸入に際して(on importation)に生じる場合は関税であり第2条により規律されるが、国内事情 (internal domestic event)のために生じる場合は国内税となり第3条によって規律される。

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