いよいよアメリカ生活も終わりに近づき、国境を跨いだ引越し大作戦を敢行しようとしています。せっかくだからなんでもブログの記事にしてしまえ(ブロガー精神がいよいよ宿ってきた)ということで、今回はアメリカでの引越し(のうち家具とか家電の処分)について書いてみます。
アメリカから国外へ引越しする
さて、いざ引越しするとなると問題となるのは荷物についてどうするか。国内の引越しとは違って、引越し業者を使って家具やら何やらを新居へごっそり持っていくということは考えられません。アメリカだとU-HAUL(映画とかでもたまに出てきますよね)とかでトラックみたいなのを借りて自分で運んじゃうってのも一般的な引越し手段。DIYですね。でも海外へとなるとそうはいかない。
ちなみに、僕は基本的にはものを持たない生活(ミニマリストとまではいかないけど)を心掛けているので、生活に必要な家具及び家電と観葉植物くらいしか部屋にはないです。それでも、誰かが僕の契約を引き継ぐ(take over lease )わけではないので、空っぽにしてしまわないといけません。
ということで、今回は、極力売れるものは売ってしまおうという方針です。新品で買ったもの(デスクとかチェアとか)もあるのでせっかくなら売りたいですよね。ちょっとでも引越し費用の足しにしたい。
以下では、どうやって売るのかについて考えます。
なお、車は持っていないことを前提としています。 自転車生活です。
家具や家電をどこで売るか
さて、じゃあどうやって売るのかですよね。日本だとリサイクル・ショップに行ったり、(使ったことないけど)ヤフオクとかメルカリなんかになるのかなと思います。アメリカもまあ基本的には同じ。でも事情が違うところもあります。
なんといってもアメリカは個人間売買が盛んです。さらに個人間の金銭の授受も簡便なため一般的です。昔は小切手(check)、今は、Venmo か Paypal といったアプリで、さっとお金のやりとりができてしまいます。日本も早くそうなって欲しい。
ということで考えられるのは、オンラインで誰か個人に売るか、中古品として店舗で売るか(あるいは寄付するか)ということになります。
今回は、売り手目線で書いていますが、逆にアメリカに引っ越してきて家具を揃えないといけないという時にも参考になるかと思います。
ネットを使って個人間で売買する
オンラインで何かを売る場合に共通するメリットは、まず価格設定が自由であることです。購入時の値段を踏まえてそこから妥当な(reasonable)価格を考えます。それから不特定多数にアピールできるので、買い手を選んで交渉することができます。
一方で、デメリットとしては、まず自由に交渉できることの裏返しですが、個人間のやりとりが面倒なことがあります。金銭トラブルになることも。さらに値段交渉とか、下見とか、引き渡しとか一連のプロセスを考えれば時間も消費します(一度バイクの売買をしてエライ目に遭ったという話はまたいつか機会があれば書きます。)。
あと、これはメリットなのかデメリットなのか人によって受け取り方が違ってくるかと思いますが、個人間でやりとりするので必然的に相手と英語でコミュニケーションをとる必要があります。さらにうまく立ち回るには交渉上のテクニックが必要になったりします。個人的には、こういう人とのインタラクションは面白かったりします。英語の勉強にもなるし。
ちなみに交渉術という点では下記の書籍がおすすめです。日本語か英語かの違いだけで、両方とも内容は同じです。昔、日本語で読んだことがあったのですが、大学院の授業では英語版も読みました。古典的な内容ですが、本当に重要なことって時代を超えてもそんなに変わらないんじゃないかと。それにしても日本語と英語のタイトルの違いがすごい。
(1)Craigslist
Craigslist はアメリカで最も一般的な個人間売買のウェブサイトです。誰でも何でも広告(ads)を出すことができ、ほとんどの場合無料で利用できます。一部の品物(車など)については手数料(fee)がかかります。
自分の住んでいる地域を選んで、匿名で投稿することができます。自分の広告に対して興味を持った人が直接メールしてくるという形になります。引き渡しや支払いについては交渉次第です。販売後にピックアップしてもらえることもありますね。
さらに、広告の出し方によっては、引越しセール(moving sale)と称してまとめ買いならぬまとめ売りをすることもできます。この場合は、売りたい物をエクセルかなんかでリスト化して投稿されているのをよく見かけます。
Craigslist は物の売買だけじゃなくて、物件の賃貸借やサービスの提供、求人情報まで何でもあります。僕のルームメイトは Craigslist で別のルームメイトを見つけました。ただ、人によっては Craigslist だけは絶対に使うなという人もいます。確かにちょっと胡散臭い(shady)広告もあったりしますが、そこはもう自己責任で判断するということなんじゃないかと思います。
ちなみに Craigslist に代替するサービスもいろいろあるので自分にあったものを選べばいいかと思います。
(2)大学のウェブサイト
個人的によく利用するのは個人間売買に特化した大学のウェブサイトです。基本的には Craigslist と同じシステムなのですが、大学のメール・アドレスがないとアクセスできないようになっています。信頼性という観点からもより良いかなと思います。もちろん学生や大学関係者に限ったオプションとなってしまいますが。また、大学によってはこのようなウェブサイトがない場合もあります。
(3)Facebookのグループ
最近は主流になりつつあるかもしれないのが Facebook の利用です。"Buy and Sell" とかで検索すると個人間売買のグループが見つかると思います。大学単位であったり、地域単位であったりといろいろです。承認制となっているものも多いですが、少なくともスパムであると判断されない限りは受け入れられると思います。
システムは上記と同じようなもので、売りたいものの広告を出した後、興味を持った人が直接連絡してくるので、その後は交渉という形です。手数料はありません。完全に無料です。大学のウェブサイトと違うところは、より相手の顔が見えること(visibility) だと思います。買い手が信頼にたる人物なのか、相手のページを見れば何となく分かりますよね。
でもこれは逆にいえば、自分も見られているということです。自分が買い手となる場合は、どんな人が使っていたものなのか気になりますよね。だからパーソナル・タッチな文章にしたり、より魅力的なセールス・トークが必要になってきます。といってもまあ、最初は他の人の投稿の見様見真似でいいんじゃないかと思いますが。
余談ですが、僕は、一度夏に長い旅に出る時に1ヶ月だけ自分の部屋を Facebook グループを利用して転貸(sublet)したことがあります。住んでないのに家賃を支払うのは何だか損した気分だし、何より誰かに貸して得た賃料を旅行の足しにしたいですよね。
それで、ルームメイト募集のグループにポストしたところ、結構な数の連絡があって、それぞれ交渉していくわけですけど、これがなかなか骨が折れます。単に物を引き渡すというだけじゃなくて、実際に自分の住んでいた部屋に誰かが1ヶ月間住むことになるわけだし、しかもその後自分がまた戻ってくることを考えると、誰に貸すかという人定め(そんな言葉があるのか分かりませんが)が重要になってきます。さらに家賃とか、支払い手段(Cash なのか Paypal なのか。割と大金ですからね)とか、部屋の使用に当たってのルール(エアビーみたいだ)とか、諸々交渉しないといけない。
でも総じていえば、ちょうど大学で「法律家としての交渉術(legal negotiations)」という授業を取っていたこともあって、実際に交渉を経験するという良い経験になったんじゃないかと思います。これだけで記事が書けちゃうんじゃないかというくらい。もし時間的に(体力的にも?)余裕があれば、一度交渉してみるのも面白いと思います。
(4)Ebay
やっぱり個人間で直接やり取りするのは不安という場合は、Eコマースの大手 Ebay(イーベイ)も選択肢です。日本で言うと、ヤフオクとメルカリを足したような感じなんじゃないでしょうか(イメージ)
誰でも登録無料で利用できますが、出品していたものが売れた場合は手数料が発生します。支払い方法については基本的には Paypalになります。経歴が長く評判の高い(established)利用者であるほど有利になる特典もあります。
Ebay はなんといってもオークション方式で販売することもできるので、うまくいけば高値で取引することができます。また、より多くの潜在的な買い手(potential buyers)がいるので、地域密着型のウェブサイトよりも売れる確率が高くなります。信頼性という観点からは、相互レビュー制度があるので、全く何もないよりかは安心できます。
他方で、首尾よく売れたとしても、自分で品物を梱包して郵送しなければなりません。日本ほど神経質にならなくてもいいですが、これが割と面倒。さらに、品物が届いてから(あるいは発送してから)実際に入金されるというシステムなので、どちらかというと買い手保護重視の体系となっています。
実店舗を利用する
オンラインだけじゃなくてもちろん実店舗(physical store)で売るということもできます。日本だとリサイクル・ショップですね。ただし、買い取ってもらえる店がローカルに存在しなければなりません。
中古品として売るよりかは、アメリカはどちらかというと寄付する(donate)方が一般的だと思います。着なくなった服とかどんどん寄付します。例えば、Salvation Army なんかが有名ですね。他にも一般的には中古品取り扱い店(thrift store)では寄付を受け付けています。ピック・アップもアレンジできます。
いずれにせよ、実店舗で売るないし寄付する場合は、店や寄付する場所がないといけないので住んでいる環境によるのかなと思います。僕の場合はあまり選択肢にはならないかもしれません。
まとめ
と、ここまで書いてきて、結局ネットで自分で売るしかないなという感じです。自分の場合はやっぱり車がないというのがネックになってます。となれば特に大きなものの場合は取りに来てもらうしかない。
できればまとめ売りしたいところではあるけれど、部屋が一気に空っぽになってしまうのも困りますね。知り合いに売るということもできますが、お金の面で妥協してしまいそう。別にビジネスでやってるわけじゃないですが、せっかくならと思っちゃうのが人間の性。
まあまだ少し時間があるのでぼちぼち売っていきます。まとめと題しておきながら全然まとめになってないですが、この記事が誰かの役に立てれば!
追記:何がいくらで売れたとか細かいことはもう遠い記憶の彼方なのですが、一部の植物を除いて売りたいものは全て売ることができました。ルームメイトと一緒に立ち退き(vacate)作業をし、最後の最後に文字通り空っぽになった家を見て、なんとも言えない寂しさを覚えたものです。