Dancing in the Rain

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アメリカでバックパッカー旅をするということ

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米国留学時代、何度か一人旅を経験しましたが、アメリカは一人旅(少なくとも従来型のバックパッカー旅)には向かないと思います。その理由について書いていきたいと思います(と思ってだいぶ前からこの下書きを温めていたらこのコロナで旅行どころではなくなってしまいましたが、ある意味コロナ前の世界の記録として書く意味があるかもしれないと思ったり。)。

 

アメリカで一人旅がしたい

この記事は、単身でアメリカに留学か何かで長期間滞在していて(する予定で)、まとまった休みがあるときにちょっと国内でも旅行するか、それも日本から直接行けるような大都市じゃなくて、アメリカに住んでいるから行けるような都市、かつ、経済的な(もっと言えばバックパッカースタイルの)旅がしたいという人に最も役立つかなと思います(だいぶ絞られましたね。)。

ただ、あなたがバックパッカー経験者で、アメリカでも東南アジアとかと同じようにできるかなと考えていたり、あるいは、いろいろあってアメリカで放浪でもしたいという人にも役立つかもしれません(少し広がりましたかね。)。

アメリカの旅というとニューヨークとかロサンゼルスに単発で行くとか、あるいは、西海岸~東海岸の大陸横断ロード・トリップなんかが主流で、アメリカ国内一人旅というトピックで書かれているTipsはあんまりないかなと思いました。単に需要がないというだけかもしれませんが。

僕はこれまでアメリカ以外だと、ヨーロッパ、アジア、中東、北アフリカ、中米の60か国以上でバックパッカーの経験があります。アメリカだと、南部(ジョージア、テネシー、ルイジアナ、テキサス)、中西部(イリノイ)、コロラド、北東部(ニューヨーク、バーモント、マサチューセッツ、メイン、ニューハンプシャー)、南西部(ネバダ、ユタ、アリゾナ)、それからプエルトリコを一人旅、西海岸(カリフォルニア)と南西部(アリゾナ、ニューメキシコ)を二人旅をしたことがあります。 

前置きが長くなりましたが、今回は、宿と交通手段という点から書きたいと思います。 

宿

一人旅の醍醐味といえば、やっぱり安宿に集う旅人たちとの交流というのがあると思います。たまたま異国の地でリアルな時間を共有するというのは、やっぱりソーシャル・メディアとは違う人の繋がりかたなんじゃないかと思います。そうやって旅先で築いた人間関係というのはそのあともずっと続いたりすることもあります。

(1)ホステル

まず、ヨーロッパや東南アジアなどに比べると絶対的にホステル(ないしゲストハウス)の数が少ないです。特にドミトリータイプのものは、大都市を除いてほぼほぼホステリング・インターナショナルのユース・ホステルしかない。数が少ないと競争が生まれないので、結局安宿は少ないということになります。他方で、アメリカは中級ホテルやモーテルなどは充実しているので複数人で旅する場合は結構お得に旅できるんじゃないかと思います。僕も二人旅のロードトリップ(カリフォルニアと南西部)については、ほぼモーテルでした。

ちなみに、ニューヨークやサンフランシスコといった大都市になるとドミトリー・タイプのホステルはいくつかあります。ただし、少なくとも一泊30ドル以上するので、欧州のようなお得感がありません。その代わりと言ってはなんですが、アメリカのホステルにはバスタオルがついています!地味にこれがありがたい。バスタオルって結構かさばりますよね。それに乾かしたりしないといけないし。

(2)Airbnb

さて、じゃあどうするかというとAirbnb(エアビー)という選択肢が残っているわけですが、アメリカだと大体一軒家(ないしアパートメント)の一室を借りることになります。つまり、日本みたいにアパートの空室をまるまる貸し切りみたいに利用するという感覚ではなく、家主がいるところに住み込む形になります。ただし、場合によっては、ドミトリータイプのホステルがエアビーでも募集しているという場合があります。

ただ、まあアメリカの家というのはどこも広いので割合快適に過ごせます。アメリカ人の家ってこういう感じか、といういい経験になるかもしれません。僕は、住む家が決まっていない状態で渡米したので、最初の1ヶ月はエアビーを転々としていました。これが結構ホームステイ感覚で最初に生活に慣れるという意味では良かったと思います。ちなみに、安いは安いですが、こちらも30ドル以上はします。

そして、更なる落とし穴は、安い物件は街の中心から遠いです。なんといってもアメリカの都市というのは、車社会ということもあって全てが散らばっている(spread out)ので、そこまで行くのに一時間に一本しかないバスで行くかUberやLyftで行くしかないという事態にもなりかねません。こういった場合、結局、交通費も含めたらホテルに滞在する方が安かったということにもなります。

ちなみに、エアビーならではというか、民泊だからこそ割と変わった経験ができたりします。もちろんオーナーとの心温まるような思い出というのもありますが、例えば、ユタ州にいたときは、ネイティブ・アメリカンのナバホ族の庭で車中泊ということもありました。とある都市では安いけど中には犬ネコ豚の動物だらけということもありました。なかなか痺れますね。

(3)モーテル

モーテルというのは、日本だとあまり馴染みがないかもしれませんが、自動車で移動する人を主に対象とした低価格帯の宿泊施設です。大抵ハイウェイ(幹線道路)から降りたところに集中しているので、ロード・トリップをする際には便利です。値段は中級ホテルよりは安いといったところ。見た目はアパートをそっくりそのまま宿泊施設にしたような感じだったりします。

モーテルというと僕はノーカントリーという映画を思い出します。この映画は、テキサスのエルパソという街を舞台にしたスリラーですが、モーテルの一室がキーとして出てきます。僕はあまりにもこの映画が美しくて実際にエルパソまで行ってしまいました。この映画に限らず、モーテルというのは犯罪の現場になったり、いかがわしい(shady)なことが行われていたりと、なんだか薄暗いイメージです。

ただ、あなたが例えばデリーのパハールガンジの安宿とかで泊まったことがあるなら、モーテルはその数百倍綺麗で、数百倍快適です。モーテルは、あくまで車で旅をしていて、どこか中継点でとりあえず一夜過ごさなければいけない、となったときに都合がいいです。一人旅だとあまり選択肢にはならないかもしれませんが。でもまあアメリカならではなので、いい思い出になると思います。

交通手段

バックパッカーといえばバス移動ですね。僕も最近でこそ格安航空会社を利用して旅することもしばしばですが、昔は空路は邪道だと勝手に思ってヨーロッパなら常にバスか電車でした。

(1)飛行機

国土が広い分アメリカではFontieer Airline、Jet Blue, Sprit Airといった格安航空会社(LCC)は充実しているので移動には困りません。

特にアジアのLCCと違いはなく、飲み物等は有料ですが、荷物に関しては、かなりゆるいような気がしています。僕がよく使うのはフロンティアですが、機内持ち込みの荷物をチェックされたことはありません。割と座席も窮屈感はありません。もちろん機内のエンターテイメントはないので、何か時間を潰せるものを持ち込まないと、例えば西海岸から東海岸まで行くのに8時間くらいの苦行になります。

(2)バス

じゃあ、バスはどうか。これは基本的には、Greyhound(グレイハウンド)かMega Bus(メガバス)しかありません。特に僕の住んでいる南部だとまさにこの2社だけになります。圧倒的に疲れます。窮屈だし設備は古いし、それに客層がちょっと、、、といった感じです。旅先でグレイハウンドで来たんだというと、ああと何かを察したように同情してくれます。他方で、例えばニューヨーク~ボストンとか、西海岸で使う分にはいいのかなと思いました。都市部によっては、この二社以外にも運行していたりします。テキサスを旅したときは、Ourbusを使いました。早く東海岸にも来て欲しい。

何よりバスの使い勝手が悪いのは、とんでもない時間設定だったり、路線による値段の高低差がすさまじかったり、治安が良くなかったりというのがあります。

アメリカ人は車で果てしない距離を移動します。僕の友達なんかはノースカロライナからメキシコまで1日かけて走ります(もちろん家族交代制です。)。都市部でも車がないと実質的に移動できない。

誰に聞いても public transportation sucks (公共交通機関はクソだ)と言います。パンクチュアルじゃないし、それにバスは車を持てない人が乗るものだという認識がある。ちなみに電車は情緒こそありますが割高です。

(3)レンタカー

となると長距離移動は、レンタカーか飛行機かということになります。

僕は、ラスベガスからアリゾナ、ユタと巡った時はレンタカーでした。ただやっぱり一人でレンタカーというのはなかなかしんどいところがありますね。それでも複数人だと割安なので、というのはアメリカのハイウェイ(フリーウェイ)は無料(一部有料)だからです。日本だと高速代を考えるだけで結構高くついてししまいますね。これはアメリカのいいところ。

複数人いればフリーウェイを降りたところにモーテルが集中していたりして便利です。あるいはこれがアメリカの王道旅なのかもしれませんが。レンタカーするときって、国際免許証がいるんじゃないのとなりますが、実はほとんどの州で国際免許証は不要です。むしろ国際免許証の効力を認めていない州もあります。日本の免許証を使えばいいのです。これについてはまた別の機会に書こうと思います。

一人旅をしないアメリカ人

正直、アメリカの一人旅は辛いです。ホステルがあまりないから誰かと仲良くなるという機会も圧倒的に少ない気がします。

アメリカ人も旅行好きですが、一人ではまずないです。家族か友達と旅行します。個人主義と言われるアメリカですがこの点は違います。よく考えてみれば僕が世界の旅先で出会った旅人もほとんどアメリカ人はいなかったように思います。だから、僕がまた一人旅してくるというと、ルームメイトはいつもクレイジーなやつだという目で僕を見ていました。そんなだから、アメリカの一人旅インフラはまだまだ発展途上なのです。

だから、もしあなたがアメリカに住んでいるなら、一緒に旅行できるような人を見つける(あるいは日本から連れてくる)というのが得策なような気がします。でもまあ修行だと思って一人旅するのも、不便だからこそなんとも言えず懐かしい気がしています。

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