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Dancing in the Rain

Life is not about waiting for the storm to pass but about learning how to dance in the Rain.

(11)労働協約

労働協約の意義

 労働組合と使用者又はその団体との間でなされた労働条件その他に関する合意を、書面に記載して両当事者が署名・記名押印したもの(労組14)

 名称の如何は問わない また、基本となる協定の他に賃金協定など別個に存在してもよい

労働協約の成立条件

 労働協約の当事者:「労働組合」と「使用者又はその団体」に限られる

 書面性と署名がなければ労働協約として不成立(都南自動車教習所事件)

 有効期間の制限

  長期は3年強行規定、労組15条①)

  期間を定めない場合は、90日までに予告すれば解約できる(予告は当事者一方が記名捺印する必要)

  自動更新条項や自動延長条項は有効

  部分解約は原則不可:例外として協約のある部分が他の部分と客観的に分別でき、また当事者も分別して扱われることを予想していたなどの事情がある場合(ソニー事件)

労働協約の効力

 基本的には組合と使用者間の契約であるが、「労働条件その他労働者の待遇に関する基準」を定めた部分は、法が特別に効力を認める=規範的効力(労組16)

 規範的効力は契約内容を協約の規定内容で直接に置き換える効力のこと その範囲は協約を締結した組合の組合員に限られる

 懲戒や配転、解雇など人事について組合との事前協議条項や事前同意条項もその範囲に含まれる

 事前協議条項を定めたとしても、組合側が協議に応じず、使用者としても必要性や緊迫性がある場合はこれによらず人員整理をしても解雇は有効(池貝鉄工事件)

 不利益変更:原則として労働組合の協約締結権限の範囲内(朝日火災海上保険事件)

  限界①組合員の個人の権利性が強いものを処分する=雇用の終了や既に発生している権利の処分については個別の授権が必要(香港上海銀行事件)

    ②特定層の組合員に殊更な不利益取り扱うなど労働組合の本来の目的を逸脱する場合

    ③組合大会での承認など民主的な手続きを踏まないで協約を締結する場合

労働協約の債務的効力

  通常の契約と同様の債権債務としての効力が使用者と労働組合との間で認められる 協約当事者は義務を誠実に履行しなければならず、義務違反は債務不履行を構成

  協約事項:①組合員・非組合員の範囲②チェックオフ③組合事務所の貸与などの便宜供与④団体交渉・労使協議に関するルール

 平和義務:協約の有効期間中に協約既定事項の改廃を求めて争議行為を行わない義務=労使間の信義則、協約上明文の定めがなくても特に排除する規定なき限り当事者間に設定

  義務の範囲は協約の対象事項に限られる(相対的平和義務)=次期の協約に関して争議行為を行うことは平和義務に反しない

  義務違反の争議行為は直ちに正当性は否定されるのではなく、使用者が債務不履行責任を負うにすぎない(弘南バス事件)

  労働者が平和義務に反する争議行為をし、またはこれに参加したことのみを理由として懲戒を行うことはできない

  絶対的平和義務は、憲法28条の保障する団体行動権を奪うものであり、公序良俗違反として無効(学説)

労働協約の拡張適用

 原則として、締結組合の組合員のみ

 事業場単位の一般的拘束力(17条):一の工場事業所に常時使用される同種の労働者4分の3以上の数の労働者が適用を受けるに至った時

 地域単位の一般的拘束力(18条):一の地域で従業する労働者の大部分が適用を受けることになったとき、協約の当事者からの申し立てに基づき、労働委員会の決議を経て厚生労働大臣または知事が拡張適用を決定する

  拡張適用されるのは、規範的部分に限られる

  特定の未組織労働者(非組合員)に拡張適用することが著しく不合理であると認められる特段の事情があるときは、及ぼすことができない(朝日火災海上保険事件)