Dancing in the Rain

Life is not about waiting for the storm to pass but about learning how to dance in the Rain.

国際法

【メモ】米国等によるシリア攻撃の法的評価

【事実】 2018年4月、米国は、英仏と合同で、シリア・アサド政権の化学兵器施設に局所攻撃を実施。ダマスカスのほか、西部ホムス近郊の施設が標的となった。これは、ドゥーマでのシリア政府による化学兵器使用疑惑に対応するものであった(ただし、シリ…

国際法の学習資源

大学時代約2年ほど国際法を勉強した時の学習資源をまとめておきます。とりあえずザーッと書いたので折を見て全体的に補充します。 1 基本書 (1)基本国際法第2版(杉原高嶺):内容としては網羅的かつよくまとまっているので、復習用にざっと読むのに最…

(35)国際安全保障③

IV 自衛権 1国連憲章における自衛権の地位 (1)武力不行使原則と自衛権の関係:国連憲章51条が規定。 国連憲章2条4項の定める例外としての位置付け:ただし、その対象となる「武力攻撃」は2条4項の「武力による威嚇または武力の行使」よりも狭く限…

コルフ海峡事件 The Corfu Channel Case

英国 vs アルバニア 国際司法裁判所(ICJ) (1)管轄権 1948年3月25日 (2)本案 1949年4月9日 <事実と経過> 1946年5月 北コルフ海峡を通行中の英国巡洋艦がアルバニアの沿岸砲台から砲撃を受ける事件が発生。同海峡はアルバニア本土…

中国人慰安婦損害賠償請求事件(西松建設事件)

最高裁第一小法廷判決 2007年4月27日 <事実と経過> 中華人民共和国の国民である被告2人は、第二次世界大戦当時、中国において日本軍により監禁・強姦を受けたことにより、著しい身体的・精神的苦痛を被ったと主張。日本国に対して、民法715条1…

(3)国際法の法源 II

3 . 形式的法源ー法の一般原則 (1)意義 国際司法裁判所(ICJ)規程第38条①c「文明国の認めた法の一般原則」(general principles of law recognized by civilized nations)=PCIJ規程を踏襲 ※文明国は無意味 意義:各国の国内法(とくに私法や手続法)…

(15)海洋法②

Ⅵ 国際海峡 領海12カイリ制の確立にともない、国際的航行に使用される多くの海峡は領海化されることになる一方で、海峡は海上通商の要衝として船舶の通行がとくに重視される 伝統的国際法の下では領海化された国際海峡には「強化された無害通航権」が適用…

(12)国家領域②

Ⅲ 国家領域の取得 1領域権限の意義と類型 権原 title:国家が領域を法的に取得するための淵源をなす根拠及び証拠 19世紀から20世紀初頭にかけては、先占、添付、割譲、征服、時効 のちに併合も含むとする見解 区分:原始的取得 original mode of acquis…

(11)国家領域①

Ⅰ 領域主権の法概念 territorial sovereignty 1定義とその性格 国家領域とは国家主権の及ぶ範囲の空間をさすが、この立体的空間に及ぶ国家の権限を特に領域主権と呼ぶ。 ①立体性:領土・領海・領空で構成 ②包括性:当該地域すべての人・物・事象を支配 ③排…

在テヘラン米国大使館事件 本案判決

米国 VS イラン 国際司法裁判所 1980年5月24日 <経緯(在テヘラン米国大使館事件 仮保全措置命令以降> 1979年12月15日、ICJは人質の解放、大使館の明渡し等を内容とする仮保全措置を命令。 1980年4月24日、米軍は海軍ヘリによる人質…

在テヘラン米国大使館事件 仮保全措置命令

米国 VS イラン 国際司法裁判所 1979年12月15日 <事実と経過> 1979年のイラン革命によりホメイニ政権が誕生し、国王(シャー)は国外脱出、米国は病気療養のために国王を受け入れ 11月4日、これに対し首都テヘランの米国大使館周辺でデモ行…

(34)人民の自決権②

Ⅲ.自決権の今日的意義 (1)分離要求と自決権 非植民地化の過程で自決権に基づく国家の成立が認められたことの影響で、分離独立は広く自決権の実現として主張されるようになった。実際、冷戦以降の様々な地域紛争・民族紛争では、当事国は自決権の行使を正…

(33)人民の自決権①

Ⅰ.自決権の意義 ◯自決の原則(the principle of self-determination ) 人民(peoples)ないし民族(nation)は他者の干渉を受けることなく、みずからその政治的地位を決定し、かつ、みずからの経済的・社会的・文化的体制を追及することが出来る、とする原則。…

国際法【目次】

国際法は一通りアップし終えたので、以下、目次を作成しました。 このブログに書いたのは自分のまとめ用です。(公務員試験のため) したがってメモ書き程度だと思ってください。ただ復習用に網羅的にはなっています。 試験前に見直すにはいいかもしれないで…

(32)武力紛争法②

Ⅲ 武力紛争の犠牲者の保護 1傷病者の保護 第1回赤十字条約(1894年)からジュネーブ傷病者条約(第一条約) 自国の権力内にある軍隊の傷病者は性別・人種・国籍・宗教による差別なしに人道的に待遇・看護されなければならない 第一追加議定書は「軍人で…

(36)武力紛争法①

Ⅰ 武力紛争法の適用法理 1戦争法から武力紛争法へ (1)戦争に関する法の区分: 伝統的には二つ ①jus ad bellum:戦争に訴えることの合法・違法を規律する法 ②jus in bello:戦時における交戦国の戦闘行為を規律する法=戦争法・戦時国際法 近世初頭のグロ…

(34)国際安全保障②

5 強制措置 (1) 暫定措置 40条 39条の事態をの存在を認定した場合、直ちに強制措置を講じるのではなく、適当な勧告や必要と認める暫定措置を要請することができる(39条・40条) (2)非軍事的措置 41条 経済制裁、交通・通信手段の中断、外…

(33)国際安全保障①

Ⅰ 勢力均衡から集団安全保障へ 1勢力均衡の史的展開 対立する国家間の力のバランスを図ることで国際的安定を創出し維持する勢力均衡 balance of powerはナポレオン戦争時には機能不全に陥ったものの、伝統的には一定の役割を果たしてきた伝統的安全保障 ex.…

(32)国際紛争の平和的解決③

Ⅵ 国際仲裁裁判 仲裁裁判は紛争当事国の合意によって事件ごと(アドホック)に設置されるのに対し、司法裁判は一定数の裁判官で構成される恒常的法廷を有するものとされる。 1 国際仲裁裁判の発展史 古代ギリシャの都市国家間、ローマ時代は重視されず→中世…

(31)国際紛争の平和的解決②

Ⅲ 平和的解決の手段・方法 1 国連憲章上の平和的解決義務の位置付け 憲章33条1項:平和的解決義務 「その継続が国際の平和及び安全の維持を危なくする虞のある」紛争は、交渉、仲介、調停、国際裁判等に解決を求めるべきものとした cf.2条3項はすべて…

(30)国際紛争の平和的解決①

I 平和的解決への史的展開 1 近代国際法における紛争の解決 (1)学説の状況 国際紛争 international disputesの解決方法 ①武力による強力的解決: 報復 retorion 復仇 reprisal 抑留・差押え embargo, sequestration 平時封鎖 pacific blockade ②非武力:…

(29)国家責任法③

Ⅴ 国際請求の提起 1概説 具体的請求は事案によって異なるが、外交ルートによる賠償請求の提出、関係の国際機構への付託、国際裁判所への提訴等請求国が決める ①国家自身の権利が侵害される場合:裁判提訴の場合を除いて、特別の手続的条件や制限は なし 裁…

(24)国家責任法②

III 国際違法行為の成立 ①問題の行為の国家への帰属=帰属の問題 imputability, attribution of conduct ②当該行為による国際義務違反=客観的要件 objective element テヘラン事件で確認 1行為の国家への帰属ー主体的要件 (1)国家機関の行為 国内法上国…

(23)国家責任法①

Ⅰ 国家責任法の性格 1責任法の特質 国家責任法 law of State responsibility 国家の国際法上の義務違反によって生じた法的不正常を解消し、法適合状態を回復するための条件と手続を定める国際法の規則 通常の国家の行為規範をなす「第一次規範」とは区別さ…

(22)国際機構②

Ⅲ 国際機構の組織構造 1三部構成の一般化 常設的機関 organを有することが国際会議と峻別する基準 国際連盟と国際労働機関は全加盟国で代表される総会、執行・管理の任にあたる理事会、中立的職員で構成される事務局 これら3つの主要機関がひな形となる 2…

(21)国際機構①

Ⅰ 国際機構の概念 1国際機構の定義 存在形態が多岐にわたり、普遍的に承認された定義がない状態 しかし、国際法主体性を持つことで、非政府間組織や国際会議体とは区別 「一定の共通目的の達成のために国家間の条約により設立され、固有の意思決定能力を持…

(20)国際人権法

Ⅰ人権保障の国際化の史的発展 1国際的人権保障の前史的概要 マグナ・カルタ、権利章典、仏人権宣言、米独立宣言など欧米諸国で発展 しかし、国際法の規律事項ではなく、国内管轄事項とされた 例外①奴隷取引の規制②宗教上の少数者保護③労働者の保護のための…

(19)国際法における個人③

Ⅴ 個人の国際犯罪 1国際犯罪の概念と類型 国際法によって規律される犯罪という意味での「国際犯罪」 海賊は「人類一般の敵」 単に当該犯罪が行為が渉外性・国際性を持つにすぎないもの ex.実行地が複数にまたがる場合や犯人の国外逃亡の場合=国際的司法共…

(18)国際法における個人②

Ⅲ 犯罪人の引渡し 1犯罪人引き渡し制度の発展 古代中世ローマ法から、グロティウスによる「引き渡すか、処罰するか」、ヴァッテルも同旨 フランス革命以後、政治犯は引渡しの対象から外れる 1833年ベルギー犯罪人引渡法→19世紀以降、法的枠組みが確立…

(17)国際法における個人①

Ⅰ 国籍 1国籍の概念 国籍 nationality :人を特定の国家と結びつける法的な絆 近代国家はその構成員たる国民の存在を前提 人は国籍の取得によって場所を問わず本国の統治権に服する(国家管轄権の属人主義)国籍付与は国家の文化・経済・国防上の観点だけで…