※国家公務員試験の択一試験用にまとめたものです。2015年度以降の法改正については反映されていません。
労組法上の労働組合
- 労働組合:労働者が主体となって、自主的に労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ることを主たる目的として組織する団体またはその連合団体(労組2条)
- 組合の民主的な運営を確保するために法定された事項を記載した規約を作成することが必要(労組5条②)=組合員均等の権利、役員の組合員による直接選挙による選出、同盟罷業は過半数の同意がなければ開始しないことなど。
- 消極的要件(2条各号)
- 監督的地位にある労働者その他使用者の利益代表の参加を許すもの
- 団体運営の経費支出につき使用者の経理援助を受けるもの:最小限の広さの事務所を供与することを妨げるものではない
- 共済事業その他福利事業のみを目的とするもの
- 政治または社会運動を主たる目的とするもの
労組法上の労働者
- 労働者が事業組織に組み入れられているか
- 契約内容が使用者により一方的に決定されているか
- 報酬が労務の対価としての性格を持つか
- 補充的な判断要素:人的従属性
- 業務の依頼に応じるべき関係
- 指揮監督関係の存在
- 事業性の希薄さ
- 肯定例:自由出演契約の管弦楽団団員、期間を1年とする出演契約をした合唱団員
臨時組合費の徴収
肯定例
否定例
労働組合の運営
- チェック・オフ:使用者が労働組合との協定により、使用者が組合員の賃金から組合費を控除し、それを労働組合に引き渡すこと
- 労働組合と使用者間の組合費取立委任契約と組合員と使用者間の組合費の支払い委任契約が存在することによって成立。
- 賃金全額支払いの原則(労基24条)との関係:賃金の一部控除である以上、同条が適用=過半数代表との労使協定が必要(済生会中央病院事件)
- 反対組合員:反対組合員は拘束されず、いつでも中止を申し入れることができる(エッソ石油事件)
- 中止要請を無視して使用者がチェックオフをし続けた場合、労働組合に対する支配介入にあたる(ネスレ日本事件)
- チェックオフ協定を結んでいたX組合から独立したY組合がその中止を求めたのに対し、使用者が引き続き継続し、控除額をX組合に引き渡した場合、労働委員会がY組合に支払うよう命じた救済命令は裁量権の限界を超える(ネスレ日本事件) よって組合員個人に支払われなければならない
ユニオン・ショップ
- 使用者との間に、当該組合員でない者を解雇する旨の協定 過半数組合のみが締結できる。
- 合法性の問題:他の組合に加入しているものと関係では、同協定は憲法28条が設定する公序に違反し無効(三井倉庫事件)
- 解雇の合法性:権利濫用にはあたらない 除名処分が無効であった場合、ユニオンショップ協定に解雇義務は生じないから権利濫用として解雇も無効(日本食塩製造事件)
その他判例
- 組合員個人の立候補の自由を、統制権で制約し、これに従わない組合員を統制違反者として処罰することは、組合の統制権の限界を超え、違法である(三井美唄労組事件)
- 組合の統一候補以外の候補者に支援活動を行ったことを理由として除名処分をすることは違法 上記判例共に、説得・勧告は許されるとする
- 政治活動に対しても組合員の協力を義務付けることができる(労働組合本来の目的を達成するための広い意味での経済的活動とみられる)(広島国労本地事件)
- 在籍専従(就労せず組合の業務のみ)は憲法28条の保障する団結権に含まれず、使用者の承諾を得る必要がある(和歌山市教組事件)
- 脱退の自由:労働者の一方的な意思表示により効力を生じ、これを不当に制限する組合規定は無効(日本鋼管鶴見製作所事件)
- 脱退する権利をおよそ行使しないことを義務付ける協約部分は公序良俗に反して無効(東芝労組脱退事件)