Dancing in the Rain

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(3)無効等確認訴訟

 無効等確認の訴えとは、処分・裁決の有効・無効または存在・不存在の確認を求める訴えである(行政事件訴訟法3条4項)中心的に、議論されるのは、処分裁決の無効確認を求める訴えである。

 行政処分は、それが違法であっても当然には無効とはならず、権限ある国家機関により取り消されない限りは、原則として有効と扱われる(公定力)。また、処分の効力を裁判で否定するには原則として取消訴訟によらなければならず、他の訴訟で処分の効力を争うことはできない(取消訴訟の排他的管轄)。他方、取消訴訟には出訴期間の制約があり、また個別法により不服申立前置とされることもある。出訴期間を徒過し、必要な不服申立てを定められた期間にしなかった場合、国民の側から行政処分を争う途は閉ざされてしまう。

 しかし、行政処分の瑕疵が大きく(通説では瑕疵が重大・明白である場合とされる)、公定力を認めることが不適切と考えられる場合には、これを無効と観念し、取消訴訟を経由せずにその効力を否定できると解釈されている。無効等確認訴訟は、行政処分の無効を確認することを念頭に法定された訴訟類型であり、行政処分につき、取消訴訟における出訴期間あるいは不服申立前置の制約を外された救済手続とみることができる。この意味で、無効等確認訴訟は時機に後れた取消訴訟とみることができる。

 行政処分が無効であれば、その法的効力は当初から存在しないので、無効を前提とした法律関係について当事者訴訟または民事訴訟を提起すれば、通常、紛争解決として十分である。処分が無効なことを確認する判決を得る必要はなく、無効を前提とした現在の法律関係を争えば足りる。そこで、同法36条は、現在の法律関係を争ったのでは救済が十分でなく、とくに無効の確認を求める必要がある原告に限って提起できるものと定めている(補充性)
 無効等確認訴訟の対象は、取消訴訟と同じく、処分・裁決である(3条4項)したがって、処分性が問題となる。
 原告適格について、9条が準用されず、それを制約する36条が置かれているため、通常はその解釈が問題となるが、無効等確認訴訟を提起するにも、「法律上の利益」が必要であることは明らかであり、判例も、取消訴訟と同様に原告適格を解することが相当とする。

 36条は、無効等確認訴訟の原告適格を、①処分・裁決に続く処分により損害を受けるおそれのある者、②処分・裁決の無効等の確認を求めるにつき、法律上の利益を有する者、③現在の法律関係に関する訴えによって目的を達成することができなもの、という3つの要件により限定する。①と②が積極要件、③が消極要件という構成になっている。
 ここで、同条文の解釈につき、一元説と二元説で争いがある。すなわち、一元説は①②の積極要件全体が③に係るとする。これは条文の文言上素直な解釈であるが、①②の両場合に補充訴訟であることを要求し、予防訴訟としての無効確認訴訟を認めない点で、国民の権利救済に不十分である。これに対して、二元説は、①と②③を切り離した上で、①のみを満たす予防訴訟としての無効確認訴訟を認めることができる。また、これによると②③を満たす場合は補充訴訟としての無効等確認訴訟となる。この点につき、最高裁は、納税者が「課税処分を受け、当該課税処分に係る税金を未だ納付していないがため滞納処分を受けるおそれがある場合」について、要件③に言及することなく、当該納税者が無効等確認訴訟を提起することを認めた。判決は、要件③に触れずに予防訴訟としての無効確認訴訟を肯定し、二元説と結論を同じくする。
 さらに、要件③の解釈についても、これを現在の法律関係に関する訴えに還元不能な者に限って要件を満たすとする還元不能説や還元可能であってもその目的を達成できない場合に原告適格を認める目的達成不能説が主張されたが、近時は、現在の法律関係を争うのか、無効等確認等訴訟によるのか、どちらが当該紛争を解決するため「より直截的で適切な争訟形態」といえるかによって判定しようとする機能的解釈が有力である。これは、無効等確認訴訟の補充性というドグマよりも、出訴期間の延ばされた取消訴訟としての実質を重視し、紛争解決機能の面から解釈しようとする見解である。

 最高裁も、土地改良法に基づく換地処分につき照応の原則に反するとして無効確認訴訟が提起された事例において、「換地処分の無効を前提とする従前の土地の所有権確認訴訟等の現在の法律関係に関する訴えは右紛争を解決するための争訟形態として適切なものとはいえず、むしろ当該換地処分の無効確認を求める訴えのほうがより直截的で適切な争訟形態というべきであ」るとした。さらに、最高裁は、もんじゅ訴訟判決において、「当該処分に起因する紛争を解決するための争訟形態として、当該処分の無効を前提とする当事者訴訟又は民事訴訟との比較において、当該処分の無効確認を求めるほうがより直截的で適当な争訟形態であるとみるべき場合」にあたるとして、原子炉設置許可処分の無効確認訴訟を適法とした。