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(12)単位法律関係 II 契約(1)【国際私法】

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総説

  • 19世紀、民法における契約自由の原則が国際私法にも影響、準拠法選択に関し、当事者自治の原則を採用。
  • 当初は、権利義務関係の創設には当事者の意思によれば十分なのであって、国家法は要しないとする立場もあったが、現代では、準拠法選択において連結点として用い、選択された準拠法は当事国の強行法規も含めて関連法規が全て適用されると理解。
  • その後の議論において、契約準拠法についても客観的な連結を目指すべきだという主張。これは、準拠法条項や契約締結地、債務の履行地といった当事者の意思に基づいた諸要素が事実として考慮されるべきものであるとするもの。
  • しかし、1980年の「契約債務の準拠法に関する条約」が契約準拠法について当事者自治の原則を正面から導入したこともあり、客観連結は主流とはならなかった。
  • また、懸念されていた契約と客観的に密接に関連する法秩序の強行法規が潜脱されるという恐れも、強行法規の特別連結により対処するという考えが受け入れられるようになっている。
  • 通則法も、契約の成立及び効力につき、当事者の準拠法選択を認めている(第7条)
通則法第7条 当事者による準拠法の選択
法律行為の成立及び効力は、当事者が当該法律行為の当時に選択した地の法による。

当事者自治の原則の根拠

(1)消極的根拠

 様々な類型の存在する契約一般に適切な客観的な連結点を見出すことは困難(準拠法の不明確さを回避し予測可能性を確保する)

(2)積極的根拠

 実質法上の契約自由の原則の投影、しかし直接の根拠とすると強行法規をも選択することが可能となり質的に異なることとなり問題。そこでその背後にある私的自治を根拠にする。実際上の利点として、両当事者に都合の良い法の選択ができること、十分な知識を有していること、通常は一定の関連性を有していること、予測可能性が保証されることがある。

当事者自治の原則の意味

  • 契約全体を規律する準拠法秩序を決定するものであって、そこには任意法規のみならず強行法規も適用。
  • ただし、法廷地の国際的な強行法規(輸出入管理法や外為法、競争法)の適用を排除することはできない。
  • また、第三国の国際的な強行法規が当該契約を適用の対象としている場合は、このような法規も考慮または適用されることがある。
  • なお、上記のような觝触法的指定だけでなく、特定の法規定を契約に挿入する実質法的指定も認められる。

当事者の選択による準拠法の決定

選択の対象となる法

  • 量的制限論=契約と指定される法の間に一定以上の密接関連性を要求するが、通説は、当事者の選択を積極的に評価し、当事者が取引に適切であるないし中立であると考えると考え、契約と関連のない法を選択することも許される。
  • この点、夫婦財産制に関する26条2項とは異なり、通則法7条は、当事者が選択できる法秩序に客観的な密接関連性は要求していないとするのが一般的な理解である。
非国家法の適用

 レークス・メルカトーリアやユニドロワ国際商事契約原則など国家法以外の規範を選択することは可能か。この点、国際私法は各主権国家の国家法秩序の觝触をその対象としてきたこと、非国家法の定義や内容などが不明確であることからこれを認めないとするのが従来の多数説。しかし実質的な改正はなされておらず、依然として解釈に委ねられている。

選択の方法

(1)当事者の合意
  • 明示の合意がないときに問題となる。従来は客観的な諸事情から当事者が選択したであろうと合理的に考えられるものを合理的意思とする、黙示意思の探求によるとされた。
  • 法例7条2項では当事者の選択がない場合は「行為地」によるとされたが、通則法ではこれが排除され、最密接関係地法の探求が8条によって委ねられる。
  • 黙示意思が認められる場合としては、契約中の条項が特定の法制度を前提としている場合、国際取引の慣行上の特定国の準拠法が標準になることが明らかである場合、継続的に取引を行っている場合にかつての契約に準拠法条項が挿入されていた場合などでは認められる。
(2)分割指定:(省略)
(3)準拠法選択行為の有効性
  • 意思の瑕疵があった場合、従来の通説は、国際私法独自の立場から判断し、この点に関する規定がないために我が国の国際私法の合理的解釈として、日本民法を参照しつつ、重大な錯誤に基づくときは無効、詐欺または強迫による場合は取り消しうるとしていた。
  • 近時の有力説は契約本体、準拠法条項、管轄合意条項について判断基準が統一的であることが望ましいという観点から、準拠法条項が有効であるならば適用されるべき法によってその有効性を判断すべきであるとしている。

当事者の選択がない場合の契約準拠法の決定(8条)

  • 通則法8条は、最密接関係地法によるとし、契約において特徴的な給付を当事者の一方のみが行うものである場合には、その給付を行う当事者の常居所地法が最密接関係地法であると推定される。ただし、不動産を目的とする契約については不動産所在地法を推定する。
通則法第8条 当事者による準拠法の選択がない場合
1 前条の規定による選択がないときは、法律行為の成立及び効力は、当該法律行為の当時において当該法律行為に最も密接な関係がある地の法による。
 前項の場合において、法律行為において特徴的な給付を当事者の一方のみが行うものであるときは、その給付を行う当事者の常居所地法(その当事者が当該法律行為に関係する事業所を有する場合にあっては当該事業所の所在地の法、その当事者が当該法律行為に関係する二以上の事業所で法を異にする地に所在するものを有する場合にあってはその主たる事業所の所在地の法)を当該法律行為に最も密接な関係がある地の法と推定する。
 第一項の場合において、不動産を目的物とする法律行為については、前項の規定にかかわらず、その不動産の所在地法を当該法律行為に最も密接な関係がある地の法と推定する。
(1)最密接関係地法
  • 具体的な連結点を定めることなく準拠法選択における基本的指針を示すにとどまっている。これでは予測可能性の欠けるため、2項、3項を置くことで一定の法的安定性を確保しとうとしている。
  • なお、考慮されるべき要素として、通則法は主観的連結(7条)と客観的連結(8条)に明確に分けていることから、考慮要素は客観的要素に限定されるべき。
(2)最密接関係地法の推定
  • 特徴的給付の理論(2項):特徴的な球をなすべき当事者の常居所地法が最密接関係地法であると推定される。従来主張されていた契約締結地や履行地などの連結点は契約の本旨に関係のない契約の外形的要素による画一的な連結として退け、契約が属する社会経済的環境との連結を目指し、契約において契約当事者の一方により通常行われる金銭給付ではなく、物の引き渡しやサービスの提供といった他方当事者の反対給付を重視する考え方である。
  • ただし、当該契約において特徴的給付が決定できない場合は、この推定規定は適用されず、1項により直接最密接関係地法が探求されることになる。2項ただし書きは事業所がある場合は当該事業所の所在地法が最密接関係地法と推定される。これは特徴的給付の理論が契約において職業的行為が行われている点を重視することから、当該契約における点を重視することから、当該契約に関する行為を反復継続的に行っている事業者についてはその者の生活の本拠である常居所ではなく、当該契約に関係する事業所の方が連結点としてふさわしいと考えられたからである。
  • 不動産を目的とする契約(3項):通常所在地と密接に関係していると考えられる。登記や登録が通常問題となるため。
(3)推定に対する例外

 1項は個別具体的な場合において推定を覆す例外条項として機能する。

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