大学時代、法学部で約2年ほど国際法を勉強していた時のおすすめの基本書等をまとめました。とりあえずザーッと書いたので折を見て全体的に補充します(2017年8月)。
2020年1月、見直しました。流石に3年も経てば版を重ねるものもありますね。今から思えば、他にもメジャーな基本書もあるのだと思うのですが、まあ自分が使っていたものしか紹介しようがないので、こういう感じになるんだと思います。
基本書
順不同です。それぞれのレベル・状況に合わせてどうぞ。
基本国際法(杉原)
必要なトピックを押さえた上で網羅的にまとまっているので、復習用にざっと読むのに最適。複数人の著者による編著でないところもGOOD。ただし通読するには初学者にはとっつきにくい。自分も他の基本書で一通り国際法を学んでから読みました。本ブログの記事の多くはこの本をベースにしたもの。
国際法有斐閣Sシリーズ(松井他)
非常にコンパクトにまとまっていて導入に最適。そしてハンディ。なんだかんだ一番お世話になったかもしれない一冊。
国際法(酒井他)
高度で専門的。最先端の議論をフォロー。分厚い。お値段もそれなり。よっぽど好きならいいのかなと思いつつ、図書館で読むくらいでした。持ってたらかっこいい。
国際法(浅田他)
恩師の編書。編書ということもあり各章でムラがある印象だが、基本的にはわかりやすく解説されていてトピックごとにはよく参照していました。章末問題がついているので頭の体操にもなる(演習本の少ない国際法では重要!)。いつの間にか第3版、と思っていたら第4版。
国際法(有斐閣アルマ)
初学だとコレを勧められるのでしょうか。パラパラとしか読んだことがないので分からないですが、やっぱりちょっと浅いので、上記のSシリーズの方をオススメします。
実践国際法(小松他)
もはやこれは番外編と言ってもいいでしょうか、その名の通り実務者の目線で書かれた実践的な国際法。外務省国際法局長等を歴任した小松一郎氏のほか、現役の外交官の手によるものです。使ってなんぼの実学としての国際法。上級者向けです。
演習用
国際法の演習本というのは数少ないです。基本書の章末問題や公務員試験の過去問等も併用するとGOOD。自分は学部の試験対策と公務員試験対策に使用していました。
プラクティス国際法(柳原他)
ズバリ演習用の教材。他の法律科目と違って演習本が少ない国際法において貴重な一冊。学部の試験はこれでイメージ得つつ対策。
プラクティス国際法(香西他)
上記1と同名の著作なるも関係性は不明。現在は絶版。中古では存在。旧外交官試験や公務員試験の過去問を題材にしており、その手の試験対策においては最良の書。図書館の地下書庫から引っ張り出してきて読んでいたのもいい思い出。もはや古文書の様な風格。
判例集
判例集は編著なのでどれか一冊というよりはケースごとに参照するのがいいかもしれないですね。
国際法判例百選(小寺他)
法律学習者にとっては言わずと知れた「百選」。ただし、後述する観点からあまり使用せず。まあでも他の法律科目でも百選を使っていて体裁にも慣れているという場合はこちらでもいいんじゃないでしょうか。
判例国際法(薬師寺他)
各事案に含まれる国際法上の論点をそれぞれ事案ごとに解説。こちらは事案ベースの記載であり、「百選」は論点ベース。例えば、ニカラグア事件一つとってみても、自衛権、慣習法、行為の国家への帰属などの国際法上重要ないくつか論点が含まれていますが、判例国際法は、これらの論点をトピックとして切り離して解説するのではなく、ニカラグア事件という一つの事案として取り上げています。国際法の判例は、基本的に一つの事案に様々なイシューが含まれており、それを複合的に解釈する必要がある以上、こちらの判例集のまとめ方の方がいいんじゃないかと思っています。久々にチェックしたら2019年に(待望の)第3版が出版されていました。自分が使っていた第2版は2006年分までしかカバーしていなかったのでこれは嬉しい。
国際法基本判例50(杉原他)
コンパクトかつ事件ベース。いい意味で浅く広く学べます。
条約集
条約集といえば下記二択のように思います。あんまりこだわりはありません。コンパクトさ重視。気に入ったものを使えば良いと思います。
コンサイス条約集(位田他)
ベーシック条約集(浅田他)
国際条約集(植木他)
上記とは異なり、逆に六法みたいにずっしりした重量が欲しいという場合はこちら。