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(5)外国判決の承認・執行 【国際私法】

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この記事は、国際私法における外国判決の承認及び執行についてまとめています。

 

総説

  • 外国で発生した出来事をわが国において法的に評価するには準拠法選択と外国判決の承認という方法がある。
  • 準拠法選択は、外国判決がなされる前の段階で、実体法上の問題について、複数ある外国の法(準則)から適用すべきものを選択し、適用されることで具体的結論を得るものであるのに対し、外国判決の承認は、すでになされた具体的で断定的な外国判決(決定)の効力をわが国でも認められるかを判断する。
  • 訴訟法上は、前訴判決があればそれが実体法上誤ったものであっても既判力によってそれを前提に処理されるところ、外国判決にもこの前訴判決と同等に扱うことができるか判断するものである。一方で、準拠法選択の場合、当該事実関係につき一から適用について判断していくことになる。

外国判決承認制度の根拠

  • 外国判決は外国の主権たる司法権の作用の結果であり、当然にはわが国では効力を持たない。またこれを承認しなければならないとする慣習法上の義務もない。ではなぜ承認制度を自発的主体的な判断として設けているのか。
  • 勝訴した当事者にとっては、もう一度わが国で裁判をやり直さないといけないとすると外国で時間や労力、資金を費やした訴訟活動が無駄となり酷である。
  • 敗訴した当事者にとっては、わが国で最初から同じことを争うことができるとするのは都合が良すぎるとも考えられる。
  • また、社会的にも外国判決の承認によって国際的な法的交流が円滑に行われ促進されることにもなる。承認国としては、自国で本案審理を再度行う必要がなくなり裁判所の人的物的資源を節約できる。 

以上の理由から、わが国では一定の要件のもとに、外国判決の承認執行を認めている。

基本原則

(1)実質的再審査の禁止

外国判決を承認するか否かの審理の際に、事実認定や法適用につき過りがないかをチェックすることの禁止するという原則。これを認めると国内の上級審が下級審の判決を再審査するのと等しく、実質的に外国判決を承認しないのと等しい。

(2)自動承認の原則

承認のための特別の手続を要しない。強制執行の場合は、執行判決という執行許可が必要(民執22上6号、24条)

承認要件  

  • 承認要件は民訴118条により規定。まず前提として承認対象となる判決は何かという承認適格性(同条柱書き)の問題があり、個々の承認要件は1号から4号により規定
  • 実体的再審査は禁止されることから、審査は外国判決における手続が適正であったかの点が中心となる。
  • 特に問題となる間接管轄(1号)と訴訟手続開始文書の送達(2号)は個別に規定し、それ以外の手続的な問題は手続的公序(3号)で判断される。内容面の審査は原則として行われないが、準拠法選択における国際私法上の公序と同様に承認国として譲ることのできない基本的秩序・価値を守るために実体的公序(3号)の規定が置かれている。最後の相互の保証(4号)は政策的に認められたもので位置付けが困難である。

第118条

外国裁判所の確定判決は、次に掲げる要件のすべてを具備する場合に限り、その効力を有する。

一 法令又は条約により外国裁判所の裁判権が認められること。
二 敗訴の被告が訴訟の開始に必要な呼出し若しくは命令の送達(公示送達その他これに類する送達を除く。)を受けたこと又はこれを受けなかったが応訴したこと。
三 判決の内容及び訴訟手続が日本における公の秩序又は善良の風俗に反しないこと。
四 相互の保証があること。

 

承認適格性

承認の前提としてその対象が外国裁判の確定判決であることが必要となる。

(1)確定

未確定の場合に承認した場合、上級審で判決が覆った場合に混乱。確定しているとは、もはや通常の不服申し立てが出来ない場合をいう。

(2)判決

「外国の裁判所が、その裁判の名称、手続、形式のいかんを問わず、私法上の法律関係について当事者双方の手続的保障の下に終局的にした裁判をいうもの」である(最判平成10年4月28日)

(3)民事性

刑事事件で罰金を科すような判決は対象とならない。対等な私人間の民事紛争に与えられる解決と異なり、租税や刑事などの非民事事件では、国家としては直接の利害関心を有し、各国の利害に互換性がない。そのため、ある国から利害関心の実現を求められた国は、通常、相手が自らの利害関心にも協力することを見返りとして要求する。この共助のルートを逸脱して外国判決の承認をすることはしないと考えられる。なお、懲罰的損害賠償について判例あり。

具体的要件

(1)間接管轄(1号)
  • 判決を下した裁判所が、当該事件における裁判機関として的確であったこと。狭義の裁判権だけでなく、国際裁判管轄も含む。判断基準につき、判決国のルールを基準とすると実質的再審査の禁止に触れることから、「我が国の国際民訴法の原則から見て、当該外国裁判所の所属する国がその事件につき国際裁判管轄を有すると積極的に認められること」とする判例の立場が通説。直接管轄の基準との関係につき、以前はそれと同一であるとするのが多数説であった。
  • 同一説(鏡像理論)は、いずれも公権的判断を当事者に強制する正当性を担保するものであって、日本が自国の裁判所にそうしてよいとしている枠を逸脱することは容認できないとし、両者は完全に同一であるべきであるとする。
  • 異別説は、すでに判決国では一定の公権的判断が妥当している以上、それをできるだけ尊重して国際私法秩序の安定をもたらすことに価値を認め、直接管轄に比して間接管轄は緩やかに認めてよいとする。
  • この点、判例は「基本的に我が国の民訴法の定める土地管轄に関する規定に準拠しつつ、個々の事案における具体的事情に即して、当該外国判決を承認するのが適当か否かという観点から、条理に照らして判決国に国際裁判管轄が存在する否かを判断すべき」(平成10年判決)民訴3条の2以下の規定が設けられた現在においては、判示のいう国内土地管轄規定に依拠する必要がなくなった。後半の条理による調整は、3条の9によって例外的な個別的調整規定が存在する以上不要となるようにも考えられるが(このように解すると同一説)、管轄が否定されても個別事情によって例外的に肯定することも可能である趣旨とすれば非同一説と解される。
  • 平成26年4月26日最高裁判決は、不法行為に関する訴えにおける承認執行について、「基本的にわが国の民訴法の定める国際裁判管轄に関する規定に準拠しつつ、個々の事案における具体的事情に即して、外国裁判所の判決をわが国が承認するのが適当か否かという観点から、条理に照らして判断すべきものと解するのが相当である」とした。
(2)訴訟手続開始文書の送達(2号)
  • 訴訟開始時における被告に対する手続保障の規定。特に防御を尽くすことなく敗訴した被告の保護を趣旨とする。
  • 判断枠組みについて、上記平成10年判決は、①被告が現実に訴訟手続の開始を了知することができるものであること、②被告の防御権の行使に支障のないものであること、③国際私法共助に関する条約があればそれに定められた方法を遵守していること、と判示した。③につき、送達に関する条約の遵守の実効性確保の趣旨と解される。公示送達等はここでの送達とはいえない。また、送達がなされていなくても応訴した場合は2号の要件は満たされる。
(3)公序(3号)

判決の内容及び訴訟手続が、日本における公序に反しないこと。

  1. 手続的公序:「訴訟手続」が公序に反しないこと。これは1号・2号から漏れた手続チェックの受け皿となる規定。裁判官が買収されていた場合など。
  2. 実体的公序:準拠法選択における国際私法上の公序(通則法42条)に対応。判決内容に基づく承認結果の反公序性と、事案の内国関連性の2要件に照らして判断される。

cf.内外判決の抵触:内国判決と矛盾する外国判決を承認することは手続的公序に違反すると一般には考えられている。内外判決と執行の間にずれがある場合、その抵触の有無をいつの時点で考えるのかが問題となる。

(4)相互の保証(4号)
  • 判決国も我が国の判決を承認することを求める要件。判決国の承認要件が我が国と厳密に一致することや昭孝により緩やかであることは必要ない。
  • なお、各国の利害関心が低くその判断に互換性がある民事判決において相互の保証の要件にすることには疑問があるとするのが多数説である。

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