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(28)国際機構 国際機関の組織構造と意思決定

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国際機構の組織構造と意思決定についてまとめました。内容的には国連にフォーカスしたものになっています。

 

国際機構の概念

  • 国際機構の定義:存在形態が多岐にわたり、普遍的に承認された定義がない状態。しかし、国際法主体性を持つことで、非政府間組織や国際会議体とは区別。
  • 一般的には、一定の共通目的の達成のために国家間の条約により設立され、固有の意思決定能力を持つ常設的機関を擁する組織体、を指す。
  • ただし、網羅的でなく、たとえば「国家間」でなく欧州共同体が設立条約に加わった世界貿易機関(WTO)や欧州安全保障会議が欧州安全保障機構に発展するなどのケースがある。

国際機構の発展史

  • 近代国際機構の発展:19世紀主権国家体制①戦争の防止と②恒常的な国際交流の必要。

  • 政治的な平和維持機構と経済的な協力機構:ヨーロッパ協調と国際河川委員会・国際行政連合

  • 現代の国際機構:政治的な平和維持機構の系譜として国際連盟・国際連合、経済的な協力機構の系譜としてILO、国際電気通信連合、万国郵便連合、世界銀行、IMF、専門機関。

  • 第二次世界大戦後の傾向として、2つの系譜の相対化。国連は平和維持だけでなく、経済的・社会的・文化的国際協力の達成も主要目的とする。

  • 他方で、専門機関が国連の附属機関となるものではなく、設立条約によって認められた任務権限を越えて政治的・経済的あるいは安全保障上の問題に関与することを正当化するものではない(核兵器使用の合法性事件) 

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国際機構の法主体性

(1)一般的基準
  • 1949年国連損害賠償事件:国連は「国際的人格」を有する。
  • 法主体としての一般的な要件①自律的意思決定権、②条約締結能力、③特権免除の享有、④国際責任能力
(2)国際機構と国際裁判
  • 国際司法裁判所(ICJ)規程34条は当事者能力を国家のみに限定。条約締結能力を認めていても争うことはできない。
  • 国連とその専門機関には勧告的意見の要請権が認められているが、国家には認められていない。
  • 国連特権免除条約:本条約をめぐる国連と加盟国の紛争については国連が勧告的意見を要請するものとし、与えられた意見は当事者を拘束するものとする(30項)

国際機構法 law of international organizations

  • 設立条約:国家における憲法。基本法。機構の目的、任務、組織・構成、活動方式を規定。 ex国連憲章、ILO憲章
  • 第二次法:当該機構の組織や活動の具体化のために加盟国間あるいは加盟国と国際機構間で結ばれる条約・協定。
  • 慣習国際法:武力不行使原則や不干渉原則など国際機構も規律。
  • 内部法:当該機構の決議等によって定立されかつ法的拘束力を有する規則。財政・予算規則、意思決定の手続。 

国際機構の組織構造

三部構成の一般化:常設的機関 organを有することが国際会議と峻別する基準。国際連盟と国際労働機関は全加盟国で代表される総会、執行・管理の任にあたる理事会、中立的職員で構成される事務局。これら3つの主要機関がひな形となる。 

主要機関の構成

(1)総会 general assembly
  • 通常すべての加盟国の政府代表で構成され、当該機構の一般政策の策定や主要問題を討議する審議機関。
  • 内部事項を除いてその決定は一般的には加盟国を拘束しない。例外:南アの委任統治の終了を決定・確認する決議(1966年)
(2)理事会 council
  • 総会によって選出される限定された加盟国による、設立条約で定められた機構の任務の具体的実施や総会が作成する政策の実施など、主として執行的活動に携わる機関。
  • 国連安全保障理事会の場合、5の常任理事国と10の非常任理事国(2年の任期で総会が選出)選出は平和に対する貢献度と地理的配分によるとする。
(3)事務局 secretariat
  • 総会や理事会の任務遂行のために調査・研究・資料収集・企画調整、予算案の作成、報告書作成などを行う機関。
  • 事務総長を含む職員はその任務の遂行に当たってはいかなる政府当局からも指示を求め、また受けてはならず、地位の中立性・国際性を維持しなければならない。
  • そのため国連職員には必要な特権免除が与えられる(105条2)これらの特権は個人の利益のためではなく、機構の利益のために与えられるのであって、職員の本国その他滞在する国において与えられるのではない(マギル事件)
  • 国連の場合は事務総長 Secretary General:安保理の勧告に基づき総会が任命(憲章97条)任期5年2期まで。国連事務総長は単に「行政職員の長」ではなく、その資格において総会、安保理等の機関の会議に出席し、またこれらの機関から委託された任務を遂行しなければならない(98条)また、平和の維持に関して安保理の注意を喚起することができる(99条)

国連安保理とその他の機関の関係

国連の目的は「平和の維持」と「国際協力」だが後者は前者に依存、前者に第一次的地位 (国連経費事件)平和の維持の達成のための憲章システムによる紛争の平和的解決と集団安全保障。
(1)総会と安保理の関係
  • 一般的には基本方針を総会が策定し、理事会がこれを実施するという形態。国連総会は憲章の範囲内のいかなる問題にも討議勧告を行う一般的権限を有する。cf.国連経費事件では、PKO派遣の権限も一般的権限を逸脱するものではない、とした。
  • 安保理は平和の維持について「主要な責任」を負う(14条1項)安保理の任務遂行中、総会は同じ問題についていかなる勧告もなしえない (12条)
  • 平和の維持で「行動 action」を必要とするものは、総会はこれを安保理に付託しなければならならない。
  • 憲章12条の制約の意味:安保理優位の制度的保障 と 相異なる勧告の同時的成立の回避。ただし、例外としての平和のための結集決議。
(2)安保理とICJとの関係
  • ともに紛争解決を目的とするが両者の権限の関係につき憲章は何ら規定せず。両者が現実に同一の事案を扱うことは稀ではない。 ex.エーゲ海大陸棚事件、在テヘラン米大使館事件、ニカラグア事件、ロッカビー事件
  • 併行的任務遂行論:「安保理は付与された政治的性格の機能を有するのに対し、裁判所は純粋に司法的機能を有するのであって、それゆえ両機関は、同じ事案について個別的ではあるが補完的な任務を遂行するのである」(ニカラグア事件)
  • ロッカビー事件の問題提起:リビア航空機爆破事件の犯人引き渡しの当否。裁判継続中安保理は、憲章第7章の行動として引き渡しを義務付ける決定。安保理による裁判の主題の強行介入。

 

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国際機構の意思決定

 
国際機構の構成員は一般には国家であり、意思決定の参加資格は加盟国の代表。ただし3者構成をとるILOは異なる。国際機構が構成員となるケースがみられるが、投票権を有するまでには至っていない。

意思決定制度

  • 表決制度は絶対的平等:全会一致から相対的平等(多数決制)へ。表数については形式的平等=1国1票制度から機能的平等ないし大国優位=加重表決制・拒否権制度へ。
(1)全会一致制
  • 国家平等原則を忠実に反映。国際連盟(ただし手続事項、新加盟国の承認、理事国の増加等は多数決)
  • 構成国の意思の尊重、決定事項の履行の円滑化。一方で、表決成立の困難性、決議内容の実質の乏しさ。
(2)多数決制
  • 任務・機能の実効性確保:ただし、単純多数決によらない多様な表決方法。ex. 国連総会、「重要な問題」は3分の2、その他の問題は過半数。

  • 加重表決制:1国1票制では大国の表決力は相対的に低下。IMFや世銀では出資額や割当額に応じて票数を配分。活動基盤の考慮という現実的考慮。貢献度による差異の設定が実質的な平等を確保。

(3)コンセンサス方式
  • 事前に当該問題の決定に反対がないことを確認したうえで、投票を行うことなく意思決定を図る方式。
  • 加盟国の対立を顕在化させず決定の実施段階で円滑化、一方で調整に手間がかかり合意内容が曖昧化する恐れ。コンセンサスの限界の時は表決による。この点で全会一致制とは異なる。
(4)拒否権制度(veto)
  • 安保理の表決は9理事国の賛成によって行われるが、手続事項以外の決定には常任理事国を含む9票の賛成を必要とする(27条3)手続事項はいずれか9理事国の賛成でよい。主権平等原則の例外。高度の政治的考慮から導入。

  • 二重拒否権:ある問題が手続事項か否かは非手続事項(サンフランシスコ宣言Ⅱの2)

  • 棄権・欠席:常任理事国の棄権・欠席は拒否権の行使とはみなされない。安保理の慣行であったが、ナミビア事件で肯定・承認。

  • 紛争当事国の強制的棄権:憲章第6章の紛争の平和的解決を図る時は、紛争当事国は投票を棄権しなければならない(27条3但書)ただし第7章下の決定についてはこの制限は適用されない。この区別は憲章作成時にヤルタ会議において採用(ヤルタ投票方式)

  • 拒否権制度の見直し論:冷静時代における拒否権の濫用。様々な改革案が存在するが、憲章の改正には5大国の同意が必要となる(108条・109条)

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