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(7)連結点:国籍及び常居所【国際私法】

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連結点の確定

  • 狭義の国際私法(抵触規則)は単位法律関係について、連結点を用いて、準拠法を指定する。
  • 連結点の確定は、弁論主義によるべきか、それとも裁判所が職権で探知するべき(職権探知主義)かが問題となる。
  • これについて、弁論主義によるとするのが多数説:訴訟手続とは、要件事実に該当する事実を確定し、それにより実体法上の法律効果を確定するという構造を取っているため。

連結点の分類

客観的な連結
  • 属人的連結:国籍・常居所
  • 属地的連結:物の所在地、行為地、事実の発生地
主観的な連結
  • 当事者自治(合意による準拠法の選択) 

国籍・常居所の確定

属人法:どこへ行ってもその人に付随して適用される法律を指し、人の身分及び能力についてはこれに従うべきとされてきた。

  • 本国法主:国籍を連結点とするべきとする立場。 ex. スイスを除くヨーロッパ
  • 住所地法主:住所を基準とすべきとする立場。 ex. 英米、ラ米諸国

国籍

  • 国籍とは、個人が特定国家の構成員である資格を指す。
  • 国籍の得喪国際法上、国家の国内管轄事項であるとされる。
我が国の国籍法
  • 1899年の旧国籍法は血統主義を基本としつつ婚姻や養子縁組等によって夫婦や親子となったものの国籍を同一とする家族国籍同一主義を採用。
  • 1950年の現行国籍法は家族国籍独立主義、1984年には女子差別撤廃条約を受けて父母両系主義へ。
  • 国籍法は、国籍の取得(出生、認知、帰化国籍選択制度、国籍の喪失について規律。
重国籍者及び無国籍者の本国法
  • 重国籍法の適用に関する通則法38条1項):内国国籍優先の原則。まずは日本、外国籍同士の場合は常居所のある外国が優先、常居所のある外国がない場合は最密接関係地(国籍取得の経緯、居住状況、親族居住の有無、往来の状況等を総合的に判断)
  • 無国籍(同法38条2項):常居所地法による。ただし、本国法として同視することはできない(25条ないし27条、32条の場合を規定)

通則法第38条 (本国法)

1 当事者が二以上の国籍を有する場合には、その国籍を有する国のうちに当事者が常居所を有する国があるときはその国の法を、その国籍を有する国のうちに当事者が常居所を有する国がないときは当事者に最も密接な関係がある国の法を当事者の本国法とする。ただし、その国籍のうちのいずれかが日本の国籍であるときは、日本法を当事者の本国法とする。
2  当事者の本国法によるべき場合において、当事者が国籍を有しないときは、その常居所地法による。ただし、第二十五条(第二十六条第一項及び第二十七条において準用する場合を含む。)及び第三十二条の規定の適用については、この限りでない。 

常居所

常居所とは、一般に、人が居所よりは長期の相当期間にわたり常時居住する場所をいう。

住所概念の相違:英米法のドミサイル
  • 出生によって親から取得する本源住所、一定年齢に達した後に自己の選択によって取得する選択住所、特定の人の住所に依存する従属住所の区別がある。無住所・重住所は認められない。
  • 選択住所は、そこを本拠(home)とする意思、すなわち、永住の意思がなければ認めれない。英米法においてはこれは本拠(domicile)ないしドミサイルとされ、一つしか持つことができない。
  • この住所概念の相違から、ハーグ国際私法会議において住所の代わりに常居所概念が生まれる。
国際私法による規律
  • 旧法例では、遺言の方式、扶養義務の準拠法のみであったが、平成元年改正により、婚姻や親子関係等の規定において法例14条ー16条、21条において第二順位の連結点として導入(通則法25条ー27条、32条)
  • 通則法においては、財産法分野においても、8条2項、11条、15条、19条、20条など契約や不法行為においても広く用いられるようになった。
常居所決定の具体的基準
  • 通則法に規定ないが、居住の目的、期間、状況等の諸要素を総合的に考慮して判断しなければならない。また常居所取得の意思は問題とならない。
  • 常居所が不明の場合は、居所地法によるが、それを準用する規定には適用がない(通則法第39条)
  • 通則法によって新たに設けられた財産法分野における常居所概念と従来の身分関係のおけるそれと同一のものと解釈されるべきかについては争いがある。
  • 同一説:概念の相対性といっても、同一の法律中の概念は基本的に同内容とするのが原則であるように思われ、統一的に理解するのが基本である。身分関係で厳格に解していた常居所概念は緩やかに捉えていく方向が考えられる。
  • 異別説:本国法に代わる場合は社会的統合を重要な要素と安定性のある基準であることが望まれる(固定性・安定性を重視)一方で、扶養義務などの保護法的な事項に関しては安定性や社会的統合は不可欠の要素とはいえない。

 

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(6)法律関係の性質決定【国際私法】

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この記事では、国際私法における法律関係の性質決定についてできるだけ分かりやすく簡単にまとめています。

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意義 

  • 法律関係の性質決定とは、抵触規則(狭義の国際私法)のうち指定概念(ex. 「相続」「婚姻」)の内容を解釈・確定し、問題となっている法律関係の法的性質を決定して、その指定概念に含まれるかどうかを決めること。
  • 例えば、不法行為による損害賠償債務の相続という問題の場合、抵触規則が適用される単位法律関係は、「不法行為」なのか「相続」なのかが問題となる。逆に言えば、(日本の場合だと)法の適用に関する通則法の第17条の「不法行為」の問題なのか、第36条の「相続」の問題なのかを決定(=法律関係の性質決定)しなければ、適用すべき準拠法を決定できないことになる。
  • このように問題となっている法律関係は多様であるのに対して、抵触規則の定める指定概念は概括的であるために問題となっている法律関係が複数の規定の定めるいずれの単位法律関係に該当するのか一見しただけでは明らかではない。

具体的に問題となるケース

  • 共同相続人の一部が相続財産を第三者に処分した場合の相続人の処分権の有無は、相続の問題か物権の問題か
  • 離婚の際の親権者指定は、離婚の問題か親子間の法律関係の問題か
  • 債権質は、物権の問題か客体である債権自体の問題か
  • 不法行為の基づく損賠債務の相続は不法行為か相続か
  • 契約債務の時効は債権を発生させた法律行為の問題か手続きか
  • 離婚に至る行為を原因とする慰謝料請求は不法行為か離婚か
  • 前婚無効の後婚の有効性は前婚の効力か後婚の成立か

解決方法

19世紀末、抵触規則が統一されても、指定概念の解釈が各国で異なるのであれば法の抵触を完全に除去することはできないという問題意識から、法律関係の性質決定が論じられるようになった。

法廷地実質法説

  • 性質決定は法廷地の実質法により決定されるべきであるとする立場。例えば、法廷地が日本であった場合は、「相続」という単位法律関係について日本の民法における「相続」と同一の概念と捉える。
  • 主権理論からの説明:抵触法により外国法を適用するのは主権の制限であり、性質決定の基準を自国法ではなく外国法に委ねれば主権侵害を招くことになる。
  • 法秩序維持からの説明:国際私法も国内法の一部であるから、一国の法の解釈として抵触規則に含まれる指定概念は特に反対の定めのない限り、法廷地実質法上の同一のものと解すべき。
  • 批判:国際私法はあらゆる国の法制度を内包しうるものでなくてはならず、また、法廷地法を優先させることは内外法平等の前提に反することになる。例えば、日本人と一夫多妻制をとるムスリムとの離婚については、日本の実質法上概念としての単位法律関係が存在しないことになる。

準拠法説

  • 準拠実質法上の概念を基準とする。ex.準拠法が米国法であれば性質決定も米国法による。
  • 批判:性質決定がなされなければその法律関係の準拠法は決定されないのだから、その準拠法によって性質決定を行おうとすれば循環論に陥る。

国際私法自体説

  • 抵触規則の指定概念の解釈は国際私法独自の立場から行われなければならない。国際私法の目的と機能が実質法とは異なることを考慮すれば、抵触規則の解釈を行う際は実質法上の概念に拘束されず、国際私法独自の観点から自律的にその解釈を行う必要がある。通説。
  • なお、判例は、具体的基準については抵触規則の解釈問題であり、関連する抵触規則間の事項的な適用範囲の確定の問題として、それらの規定の趣旨・目的を考慮して指定概念を構成すべきであるとする。

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国際経済法(WTO法)【記事一覧】

 

この記事では国際経済法(WTO法)に関する記事の一覧を作成しています。

 

国際経済法(WTO法)

(1)紛争解決手続

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(2)譲許表

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(3)非関税障壁ー量的制限

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(4)内国民待遇ー国内税

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(5)内国民待遇ー国内規制

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(6)一般例外条項

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(7)補助金と相殺関税 I

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(8)補助金と相殺関税 II

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(9)アンチ・ダンピング措置

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(10)セーフガード措置

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(11)安全保障例外

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(5)外国判決の承認・執行 【国際私法】

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この記事は、国際私法における外国判決の承認及び執行についてまとめています。

 

総説

  • 外国で発生した出来事をわが国において法的に評価するには準拠法選択と外国判決の承認という方法がある。
  • 準拠法選択は、外国判決がなされる前の段階で、実体法上の問題について、複数ある外国の法(準則)から適用すべきものを選択し、適用されることで具体的結論を得るものであるのに対し、外国判決の承認は、すでになされた具体的で断定的な外国判決(決定)の効力をわが国でも認められるかを判断する。
  • 訴訟法上は、前訴判決があればそれが実体法上誤ったものであっても既判力によってそれを前提に処理されるところ、外国判決にもこの前訴判決と同等に扱うことができるか判断するものである。一方で、準拠法選択の場合、当該事実関係につき一から適用について判断していくことになる。

外国判決承認制度の根拠

  • 外国判決は外国の主権たる司法権の作用の結果であり、当然にはわが国では効力を持たない。またこれを承認しなければならないとする慣習法上の義務もない。ではなぜ承認制度を自発的主体的な判断として設けているのか。
  • 勝訴した当事者にとっては、もう一度わが国で裁判をやり直さないといけないとすると外国で時間や労力、資金を費やした訴訟活動が無駄となり酷である。
  • 敗訴した当事者にとっては、わが国で最初から同じことを争うことができるとするのは都合が良すぎるとも考えられる。
  • また、社会的にも外国判決の承認によって国際的な法的交流が円滑に行われ促進されることにもなる。承認国としては、自国で本案審理を再度行う必要がなくなり裁判所の人的物的資源を節約できる。 

以上の理由から、わが国では一定の要件のもとに、外国判決の承認執行を認めている。

基本原則

(1)実質的再審査の禁止

外国判決を承認するか否かの審理の際に、事実認定や法適用につき過りがないかをチェックすることの禁止するという原則。これを認めると国内の上級審が下級審の判決を再審査するのと等しく、実質的に外国判決を承認しないのと等しい。

(2)自動承認の原則

承認のための特別の手続を要しない。強制執行の場合は、執行判決という執行許可が必要(民執22上6号、24条)

承認要件  

  • 承認要件は民訴118条により規定。まず前提として承認対象となる判決は何かという承認適格性(同条柱書き)の問題があり、個々の承認要件は1号から4号により規定
  • 実体的再審査は禁止されることから、審査は外国判決における手続が適正であったかの点が中心となる。
  • 特に問題となる間接管轄(1号)と訴訟手続開始文書の送達(2号)は個別に規定し、それ以外の手続的な問題は手続的公序(3号)で判断される。内容面の審査は原則として行われないが、準拠法選択における国際私法上の公序と同様に承認国として譲ることのできない基本的秩序・価値を守るために実体的公序(3号)の規定が置かれている。最後の相互の保証(4号)は政策的に認められたもので位置付けが困難である。

第118条

外国裁判所の確定判決は、次に掲げる要件のすべてを具備する場合に限り、その効力を有する。

一 法令又は条約により外国裁判所の裁判権が認められること。
二 敗訴の被告が訴訟の開始に必要な呼出し若しくは命令の送達(公示送達その他これに類する送達を除く。)を受けたこと又はこれを受けなかったが応訴したこと。
三 判決の内容及び訴訟手続が日本における公の秩序又は善良の風俗に反しないこと。
四 相互の保証があること。

 

承認適格性

承認の前提としてその対象が外国裁判の確定判決であることが必要となる。

(1)確定

未確定の場合に承認した場合、上級審で判決が覆った場合に混乱。確定しているとは、もはや通常の不服申し立てが出来ない場合をいう。

(2)判決

「外国の裁判所が、その裁判の名称、手続、形式のいかんを問わず、私法上の法律関係について当事者双方の手続的保障の下に終局的にした裁判をいうもの」である(最判平成10年4月28日)

(3)民事性

刑事事件で罰金を科すような判決は対象とならない。対等な私人間の民事紛争に与えられる解決と異なり、租税や刑事などの非民事事件では、国家としては直接の利害関心を有し、各国の利害に互換性がない。そのため、ある国から利害関心の実現を求められた国は、通常、相手が自らの利害関心にも協力することを見返りとして要求する。この共助のルートを逸脱して外国判決の承認をすることはしないと考えられる。なお、懲罰的損害賠償について判例あり。

具体的要件

(1)間接管轄(1号)
  • 判決を下した裁判所が、当該事件における裁判機関として的確であったこと。狭義の裁判権だけでなく、国際裁判管轄も含む。判断基準につき、判決国のルールを基準とすると実質的再審査の禁止に触れることから、「我が国の国際民訴法の原則から見て、当該外国裁判所の所属する国がその事件につき国際裁判管轄を有すると積極的に認められること」とする判例の立場が通説。直接管轄の基準との関係につき、以前はそれと同一であるとするのが多数説であった。
  • 同一説(鏡像理論)は、いずれも公権的判断を当事者に強制する正当性を担保するものであって、日本が自国の裁判所にそうしてよいとしている枠を逸脱することは容認できないとし、両者は完全に同一であるべきであるとする。
  • 異別説は、すでに判決国では一定の公権的判断が妥当している以上、それをできるだけ尊重して国際私法秩序の安定をもたらすことに価値を認め、直接管轄に比して間接管轄は緩やかに認めてよいとする。
  • この点、判例は「基本的に我が国の民訴法の定める土地管轄に関する規定に準拠しつつ、個々の事案における具体的事情に即して、当該外国判決を承認するのが適当か否かという観点から、条理に照らして判決国に国際裁判管轄が存在する否かを判断すべき」(平成10年判決)民訴3条の2以下の規定が設けられた現在においては、判示のいう国内土地管轄規定に依拠する必要がなくなった。後半の条理による調整は、3条の9によって例外的な個別的調整規定が存在する以上不要となるようにも考えられるが(このように解すると同一説)、管轄が否定されても個別事情によって例外的に肯定することも可能である趣旨とすれば非同一説と解される。
  • 平成26年4月26日最高裁判決は、不法行為に関する訴えにおける承認執行について、「基本的にわが国の民訴法の定める国際裁判管轄に関する規定に準拠しつつ、個々の事案における具体的事情に即して、外国裁判所の判決をわが国が承認するのが適当か否かという観点から、条理に照らして判断すべきものと解するのが相当である」とした。
(2)訴訟手続開始文書の送達(2号)
  • 訴訟開始時における被告に対する手続保障の規定。特に防御を尽くすことなく敗訴した被告の保護を趣旨とする。
  • 判断枠組みについて、上記平成10年判決は、①被告が現実に訴訟手続の開始を了知することができるものであること、②被告の防御権の行使に支障のないものであること、③国際私法共助に関する条約があればそれに定められた方法を遵守していること、と判示した。③につき、送達に関する条約の遵守の実効性確保の趣旨と解される。公示送達等はここでの送達とはいえない。また、送達がなされていなくても応訴した場合は2号の要件は満たされる。
(3)公序(3号)

判決の内容及び訴訟手続が、日本における公序に反しないこと。

  1. 手続的公序:「訴訟手続」が公序に反しないこと。これは1号・2号から漏れた手続チェックの受け皿となる規定。裁判官が買収されていた場合など。
  2. 実体的公序:準拠法選択における国際私法上の公序(通則法42条)に対応。判決内容に基づく承認結果の反公序性と、事案の内国関連性の2要件に照らして判断される。

cf.内外判決の抵触:内国判決と矛盾する外国判決を承認することは手続的公序に違反すると一般には考えられている。内外判決と執行の間にずれがある場合、その抵触の有無をいつの時点で考えるのかが問題となる。

(4)相互の保証(4号)
  • 判決国も我が国の判決を承認することを求める要件。判決国の承認要件が我が国と厳密に一致することや昭孝により緩やかであることは必要ない。
  • なお、各国の利害関心が低くその判断に互換性がある民事判決において相互の保証の要件にすることには疑問があるとするのが多数説である。

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